「眠りたい……好きなだけ、心ゆくまで眠りたい……」 　会社を退職し、心の疲労から眠れなくなってしまった六藤逢は、『好きなだけ眠れる』『夢の世界に入ることができる』カフェ、夢幻館にたどり着く。 　店主の城川によって案内された眠りと夢の世界は、絵と音楽とお菓子に包まれた、確かに癒しの時間だった。しかしその世界の奥で逢は、涙を流す、知らない男の子と出会い――そこで逢は目を覚ました。 「あなたは本当...

＜毎週火、金、２０時に更新＞　＜NSP02優秀賞受賞作＞【遺体の九割が密室で、残る一割は部屋の外】（完結済）　おそろしく異様で、奇妙な密室殺人事件が起こった。　遺体の九割が密室の中で、残る一割だけ部屋の外にある怪事件。　被害者の女性、長門うさぎは生前から死後まで、ＳＮＳが常に炎上し続けている。うさぎの親友だった汐見秋は、怪事件を何度も解決してきた男、黒葛川幸平（つづらがわこうへい）に事件の捜査を依頼する。【朽ちゆく廃墟で未解決事件を願う者がいた】（連載中）　ある廃墟の密室の中。有名ブロガーと主婦が毒で亡くなった。　しかしふたりの間には、なんの関係性も発見されなかった。　事件は未解決となる。自殺か？　他殺か？　ブロガーは亡くなる半年前から、何者かに狙われているようなことをブログに記していたのだが……。　ブロガーのファンだった青年、佐野敦は、黒葛川幸平と出会い謎の解明を依頼する。　その果てに待っていた、奇妙な無関係心中事件の真相とは――

二十五歳の女性アルバイト、汐見秋は小学生からの親友、長門うさぎが殺されたことを知る。　それも死体の九割が密室内、一割が室外という異様な状態で殺されていた。　その上、殺された後も彼女が歩いている姿が目撃され、カメラにも映像が残っている。　うさぎはパパ活をやりながら、キラキラした情報をＳＮＳにアップし続けていた女性だった。　そのために、生前から死後までアカウントは常に炎上し続けている。　うさぎが殺され...

二十五歳の女性アルバイト、汐見秋は小学生からの親友、長門うさぎが殺されたことを知る。　それも死体の九割が密室内、一割が室外という異様な状態で殺されていた。　その上、殺された後も彼女が歩いている姿が目撃され、カメラにも映像が残っている。　うさぎはパパ活をやりながら、キラキラした情報をＳＮＳにアップし続けていた女性だった。　そのために、生前から死後までアカウントは常に炎上し続けている。　うさぎが殺され...

明治三十三年の佐賀県にて。 「腹いっぱい、飯が食いてえ」 　十八歳の若き行商人、越智三郎は飢えていた。 　愛媛にある実家はひどく貧しく、なりわいとして選んだ漆器の行商はうまくいかない。 　それでも、自分はいつか金持ちになるのだと夢だけは大きい。 　その三郎、一目惚れした宿娘のサキに「かんざしを預けるから高く売ってきてほしい」と頼まれる。 　漆器も売りたい。 　かんざしも売りたい。 　安くで...

家出をした姉が別人となって帰ってきた

寂しかった、あなたとまた2人で一緒に過ごしたかった……。 さあ、あなたもほたると一緒に過ごしてみませんか?