人々を煽るリバーブがかった歩さんの声
歩さんが指定した特等席から俺は、彼女のラストライブに魅入っていた
彼女はもう戻れない。止まらない
自分が自分らしく生きたいという魂のままに、全ての不条理が消え去るまで蹂躙を続ける
人々が彼女にひれ伏すまで。日本を縦断し海を渡り、大陸を世界を焦土に変えるだろう
それは、そのままの意味で、この世の終わりだ
だけど俺は逆に、ありのままを晒す彼女を愛しいとさえ思う
今まで散々苦しかっただろう。怖かっただろう
俗世という暴君にひれ伏してしまった彼女はいま心のままに反旗を翻し、世界の暴君へ変貌していった
人々を煽るリバーブがかった歩さんの声
歩さんが指定した特等席から俺は、彼女のラストライブに魅入っていた
彼女はもう戻れない。止まらない
自分が自分らしく生きたいという魂のままに、全ての不条理が消え去るまで蹂躙を続ける
人々が彼女にひれ伏すまで。日本を縦断し海を渡り、大陸を世界を焦土に変えるだろう
それは、そのままの意味で、この世の終わりだ
だけど俺は逆に、ありのままを晒す彼女を愛しいとさえ思う
今まで散々苦しかっただろう。怖かっただろう
俗世という暴君にひれ伏してしまった彼女はいま心のままに反旗を翻し、世界の暴君へ変貌していった
ズゥゥゥゥン……ズゥゥゥゥン……
ズドォォォォ!ズドォォォォ!ズドォォォォン!!
彼女の蹂躙と破壊の行為は、心の痛みと叫びの表れだった
俺は、歩さんの悲痛を知った上でまた彼女の重荷を下ろす手助けがしたかった
「そっか。ありがとう。我慢する必要無かったんだ」
目が微笑む彼女に俺はウンウンと大きく頷く
我慢なんてしたら、掴めそうな夢が遠のいてしまうと叫んだ
「じゃあ、したい事してもいいのね。じゃあ…君の言う通りに。俺達の夢を邪魔する奴らを全部潰してやるかは、そこから動かないでね」
歩さんは気が晴れたように軽やかな声だった
ズゥゥゥゥン……ズゥゥゥゥン……
ズドォォォォ!ズドォォォォ!ズドォォォォン!!
彼女の蹂躙と破壊の行為は、心の痛みと叫びの表れだった
俺は、歩さんの悲痛を知った上でまた彼女の重荷を下ろす手助けがしたかった
「そっか。ありがとう。我慢する必要無かったんだ」
目が微笑む彼女に俺はウンウンと大きく頷く
我慢なんてしたら、掴めそうな夢が遠のいてしまうと叫んだ
「じゃあ、したい事してもいいのね。じゃあ…君の言う通りに。俺達の夢を邪魔する奴らを全部潰してやるかは、そこから動かないでね」
歩さんは気が晴れたように軽やかな声だった
都市は歩さんによって瓦礫と炎を包まれていた
彼女は車や人々を踏み潰しながら進撃し、目立つ高層ビルを次々に破壊する
淡々としている破壊者の眼は虚ろで蔑んでいるような目だ
情報を集めると、歩さんのバンドは掲示板で誹謗中傷を浴び、そして大人の事情という明確なものではい理由でライブハウスの貸し出しをドタキャンされ。遂には歩さんは枕をしたという噂がたっていた
そしてバンドは、今日がラストライブになるだろとの事だった
彼女の心情を考えればこう強く思う
「こんなクソッタレた世界、全部潰してしまえ」
と。実際に叫んでしまったであろうか。歩さんが止まる
都市は歩さんによって瓦礫と炎を包まれていた
彼女は車や人々を踏み潰しながら進撃し、目立つ高層ビルを次々に破壊する
淡々としている破壊者の眼は虚ろで蔑んでいるような目だ
情報を集めると、歩さんのバンドは掲示板で誹謗中傷を浴び、そして大人の事情という明確なものではい理由でライブハウスの貸し出しをドタキャンされ。遂には歩さんは枕をしたという噂がたっていた
そしてバンドは、今日がラストライブになるだろとの事だった
彼女の心情を考えればこう強く思う
「こんなクソッタレた世界、全部潰してしまえ」
と。実際に叫んでしまったであろうか。歩さんが止まる
この言葉と巨体と、他を気にもとめない破壊行為だけで何となく察した。この人は明らかに精神的に擦れている
「ねぇ。君は…こんな私を受け入れてくれるのかな?夢を追う事に疲れたわたしなんかをさ」
長考した上、俺は叫んだ
「好きな事をしたらいい!疲れたら休め!やりたい事をやりたきゃやる!それだけだ!」
彼女は座っているビルから飛び降り、そしてそれを蹴り崩した
「そっか。我慢しなくていいんだ。ありがとう、これでスッキリしたよ」
彼女はこちらに背を向け、ズシンズシンと立ち去っていく
ズッシィィィン……
ズッシィィン……
歩さんの残響はどこか悲しみに満ち溢れてきた
この言葉と巨体と、他を気にもとめない破壊行為だけで何となく察した。この人は明らかに精神的に擦れている
「ねぇ。君は…こんな私を受け入れてくれるのかな?夢を追う事に疲れたわたしなんかをさ」
長考した上、俺は叫んだ
「好きな事をしたらいい!疲れたら休め!やりたい事をやりたきゃやる!それだけだ!」
彼女は座っているビルから飛び降り、そしてそれを蹴り崩した
「そっか。我慢しなくていいんだ。ありがとう、これでスッキリしたよ」
彼女はこちらに背を向け、ズシンズシンと立ち去っていく
ズッシィィィン……
ズッシィィン……
歩さんの残響はどこか悲しみに満ち溢れてきた
歩さんの全体重がビルにのしかかり、屋上から10数フロアがペシャンコになっている
そこから更に、彼女の体重に負けたフロアが潰れ、だるま落としのようにあゆみさんの身体が降りてくる
ゴシャアアァァ…………ズドォォォォ……
ビルの崩壊が安定し、状態をくの字に曲げた歩さんがこちらを覗き込む
「びっくりした?怪我はない?」
俺は大きく丸のジェスチャーをする
「丈夫だね」
そもそも何故こんなに非現実的な事が起きているのか理解が出来なかった
色々考えていると歩さんが語りだす
「言いたい事は分かるよ。なんでこんなに大きくなったのかって。それはね……絶対教えない」
歩さんの全体重がビルにのしかかり、屋上から10数フロアがペシャンコになっている
そこから更に、彼女の体重に負けたフロアが潰れ、だるま落としのようにあゆみさんの身体が降りてくる
ゴシャアアァァ…………ズドォォォォ……
ビルの崩壊が安定し、状態をくの字に曲げた歩さんがこちらを覗き込む
「びっくりした?怪我はない?」
俺は大きく丸のジェスチャーをする
「丈夫だね」
そもそも何故こんなに非現実的な事が起きているのか理解が出来なかった
色々考えていると歩さんが語りだす
「言いたい事は分かるよ。なんでこんなに大きくなったのかって。それはね……絶対教えない」
「やば!足元沈んできた!地盤弱いのか!場所変えるから着いてきて」
歩さんは身体を横に向かせると
ドズゥゥゥン!!ドズゥゥゥン!!ドッズゥゥゥン!!!!ドォォン!!
と建物を立てに揺らしながら窓の端からフェードアウトしていった
俺が自室から出ると他の客室の扉がほぼ全て開かれていた。恐らく、客が大慌てで逃げて行ったのだろう
何度も歩さんの縦揺れに耐えながら彼女を追う
建物を半周したところだろうか
あゆみさんの轟音が……つぎの瞬間
ゴッシャァァァ!!ズズゥゥゥン!!ゴォォォォン……!!!
客室の一室から窓を見ると歩さんがビルに座っていた
「やば!足元沈んできた!地盤弱いのか!場所変えるから着いてきて」
歩さんは身体を横に向かせると
ドズゥゥゥン!!ドズゥゥゥン!!ドッズゥゥゥン!!!!ドォォン!!
と建物を立てに揺らしながら窓の端からフェードアウトしていった
俺が自室から出ると他の客室の扉がほぼ全て開かれていた。恐らく、客が大慌てで逃げて行ったのだろう
何度も歩さんの縦揺れに耐えながら彼女を追う
建物を半周したところだろうか
あゆみさんの轟音が……つぎの瞬間
ゴッシャァァァ!!ズズゥゥゥン!!ゴォォォォン……!!!
客室の一室から窓を見ると歩さんがビルに座っていた
俺は大きく丸のジェスチャーをする
「そっか。妹ちゃんと弟君は?大きくなったでしょ?」
キィィィント耳鳴りがする中、「もちろん。みんな息災だよ」という意味で俺はまた大きく丸をする
「そっかそっか!中々そっちに行けなくてごめんな」
俺は持参したiPadで、その年のゴールデンウィーク中に行ったキャンプの動画を開き、歩さんに見せる
するお歩さんの顔がゴオッと近づく。彼女の心音と暴風のような呼吸が窓を振動させる
「妹ちゃんデカ!これ弟君!?劇的ビフォーアフターじゃない!?痩せすぎ!お母さんは相変わらず若い!お父さんも変わらずだ!」
耳が痛い
俺は大きく丸のジェスチャーをする
「そっか。妹ちゃんと弟君は?大きくなったでしょ?」
キィィィント耳鳴りがする中、「もちろん。みんな息災だよ」という意味で俺はまた大きく丸をする
「そっかそっか!中々そっちに行けなくてごめんな」
俺は持参したiPadで、その年のゴールデンウィーク中に行ったキャンプの動画を開き、歩さんに見せる
するお歩さんの顔がゴオッと近づく。彼女の心音と暴風のような呼吸が窓を振動させる
「妹ちゃんデカ!これ弟君!?劇的ビフォーアフターじゃない!?痩せすぎ!お母さんは相変わらず若い!お父さんも変わらずだ!」
耳が痛い
遂に歩さんは俺のいる宿に到達し、立ち止まった
その光景は圧巻だった。歩さんの肉体が……鍛えられた腹が窓一面を埋め尽くしていた
ゴォッと音がすると、今度は歩さんの顔が現れ、こちらを覗き込んでいる
「あ、いたいた。久しぶりだね。元気だった?」
歩さんは巨大だけど、その声は紛れもなく優しい姉貴分だった。ただ、爆音の音量設定を鳴らしているイヤホンをしているかのような五月蝿さを覗いて……
彼女が手を振るとブォン!ブォン!と風切り音が鳴る。動作の一つ一つが圧巻で……そして、扇情的だった
遂に歩さんは俺のいる宿に到達し、立ち止まった
その光景は圧巻だった。歩さんの肉体が……鍛えられた腹が窓一面を埋め尽くしていた
ゴォッと音がすると、今度は歩さんの顔が現れ、こちらを覗き込んでいる
「あ、いたいた。久しぶりだね。元気だった?」
歩さんは巨大だけど、その声は紛れもなく優しい姉貴分だった。ただ、爆音の音量設定を鳴らしているイヤホンをしているかのような五月蝿さを覗いて……
彼女が手を振るとブォン!ブォン!と風切り音が鳴る。動作の一つ一つが圧巻で……そして、扇情的だった
歩さんが1歩歩く度に鈍い地響きが轟き、芯を帯びた縦揺れが俺を……地上のあらゆる全てを貫く
歩さんは地上の事なんて気が向いてない様子
首が痛くなるほど見上げたビル。ショッピングモール。俺が見てきた、憧れの都会の風景は歩さんの膝下にも及ばず、多くのビルは彼女の靴底により瓦礫と散りと化し、蹴飛ばされた瓦礫が周囲の建物へと二次災害を及ぼす
怪獣映画のようなこの光景は俺にって恐怖ばかりではなく。歩さんの知られざる顔を知ったという事実が扇情させた、不思議な感情があった
ズゥゥゥゥン!!ズゥゥゥゥン!!!
歩さんが真っ直ぐこちらを見て、近づいくる。そして
歩さんが1歩歩く度に鈍い地響きが轟き、芯を帯びた縦揺れが俺を……地上のあらゆる全てを貫く
歩さんは地上の事なんて気が向いてない様子
首が痛くなるほど見上げたビル。ショッピングモール。俺が見てきた、憧れの都会の風景は歩さんの膝下にも及ばず、多くのビルは彼女の靴底により瓦礫と散りと化し、蹴飛ばされた瓦礫が周囲の建物へと二次災害を及ぼす
怪獣映画のようなこの光景は俺にって恐怖ばかりではなく。歩さんの知られざる顔を知ったという事実が扇情させた、不思議な感情があった
ズゥゥゥゥン!!ズゥゥゥゥン!!!
歩さんが真っ直ぐこちらを見て、近づいくる。そして
ホテルにチェックインし、俺は歩さんが訪れる時を心待ちにしていた
歩さんのバンド「モーフィアス」の楽曲を聞いているとズシン……ズシン……とリズムカルな縦揺れが俺の身体を貫いた
首都直下地震
それを予感させたが、それにしたって様子がおかしい。あまりにも小刻みすぎる
となると、原因はホテルの近くで爆発事故が発生したか
俺は外の様子を見るために窓を見ると、この世のものとは思えない光景を目の当たりにする
東京タワーと同じくらい巨大な歩さんがコッチに来るのだ
ホテルにチェックインし、俺は歩さんが訪れる時を心待ちにしていた
歩さんのバンド「モーフィアス」の楽曲を聞いているとズシン……ズシン……とリズムカルな縦揺れが俺の身体を貫いた
首都直下地震
それを予感させたが、それにしたって様子がおかしい。あまりにも小刻みすぎる
となると、原因はホテルの近くで爆発事故が発生したか
俺は外の様子を見るために窓を見ると、この世のものとは思えない光景を目の当たりにする
東京タワーと同じくらい巨大な歩さんがコッチに来るのだ
縁が疎遠になり始めたのは彼女が小学校を卒業した後
。時たまにする程度の会話はいつも音楽……バンドマンへの夢だった
そして彼女が高校を卒業すると同時に、携帯の電話番号のメモを残して上京していった
そして留守番電話でやり取りをする事数年後
俺は歩さんのバンドのライブに招待され、東京へ赴く。指定された宿で合おうと約束をしていたのだが……歩さんは想像を超える存在になっていたとは思いもしなかった
縁が疎遠になり始めたのは彼女が小学校を卒業した後
。時たまにする程度の会話はいつも音楽……バンドマンへの夢だった
そして彼女が高校を卒業すると同時に、携帯の電話番号のメモを残して上京していった
そして留守番電話でやり取りをする事数年後
俺は歩さんのバンドのライブに招待され、東京へ赴く。指定された宿で合おうと約束をしていたのだが……歩さんは想像を超える存在になっていたとは思いもしなかった