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書きかけ作品とか置場
棲み分け用
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お久
ツイに入らない内容書くとかで私用するかも
文字数カウントを自分で作っても良いけれども、ンな時間はない
私用文章はここに繋げておく
November 12, 2025 at 5:05 AM
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昨日
August 3, 2025 at 11:04 AM
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今月中旬の空
July 31, 2025 at 6:42 AM
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July 18, 2025 at 1:42 PM
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今日の空
June 29, 2025 at 9:48 AM
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どこで出しても良い話題だけど、一応こっちにしておこう。

youtu.be/svXaUdifdzM?...

面白かった
ツイ→×当時の荒れ具合がよく反映されてて
今も荒れてんだったか
ツイは大して使ってないから、文字数制限以外の不満は特にないかな
割と他人事として見てますサーセン
【総統閣下シリーズ】総統閣下はイー〇ン・マスクに対して不満がある様です…。(嘘字幕)
YouTube video by ブロりヒター
youtu.be
June 28, 2025 at 5:08 AM
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特に理由なく、遠隔でキスできる状況ってのを調べてたんだが、こんなの見つけた
作成者なんか見たことある名前してんなと思ったけど、多分ちゃんと見たことあるな
omocoro.jp/kiji/192279/
違うこれじゃない感はあるが、これはこれで狂っててアリ
表で上げても良かったんだが、何となくこっちにうpっとく
【工作】一人暮らしが寂しいから『おかえりのキス』をしてくれる装置を作った | オモコロ
孤独に打ち勝つために『おかえりのキス』をされたい！
omocoro.jp
June 22, 2025 at 1:42 AM
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進捗
これは表に上げても良いのでは……となり出しているやつ
どうタグ付けしたもんかな……
印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。付記に「spinel（仮）」、「同級生？／434136」と記載されています。 以下は本文の内容です。 　この世界には、二種類の人間がいる。特殊な体質を持つ者と、そうでない者だ。 　それは人間固有の特徴だったが、吸血鬼と血が交わることにより、その特性が失われていった。しかし、それでも体質として残っている者がいる。人間であっても、半人間（ダンピール）であっても、体質の問題は付いて回ることがある。だから、その特徴が強く現れることは稀であっても、保健体育で取り上げられるのだ。 　ぼんやりと、何度も読み込んだ教科書の内容を反濁する。回らない頭がぐるぐると回る。 　センチネルとガイドは、かつて人間に備わった性質で、現在も発現することがある。センチネル（ｓｅｎｔｉｎｅｌ）はパーシャル（ｐａｒｔｉａｌ）の上位互換であり、五感覚すべてを強化すること、および自身の身体的外傷の治癒を早めることができる。パーシャルは、五感のうちのいずれかの強化、あるいは外傷の回復能を有する。 　悪魔祓いのいた時代において、その体質を利用することで、悪魔、すなわち吸血鬼を、パーシャルやセンチネルは探り当てたという。ただし、全能と見做されるセンチネルにも、致命的な弱点が存在する。 「ミ……、………ょ…」 　声が自分の身体を包む膜に触れ、反響しては琴線を敲く。しかし、思考を止めるには小さく、火花は勢いを失って消えた。 　センチネルは、圧倒的な五感強化と回復力を誇っているが、その跳躍的な身体能力には代償が 付き纏う。ガイドが居ない状態で自身のリミッターを外した場合、意識が現実に戻って来られないことがある。廃人化、ゾーンアウト……最悪の場合、それは死と呼ばれるものだ。 「……ッ…………、…………る……」 　声が聞こえる。そんな気がする。今もあらゆる声が聞こえている。それらは遮断することも叶わず、耳に入って鼓膜を侵す。鳴り響く騒音の矛先を逸らすため、思考に溺れようと悪足掻きをしている。 　現在、センチネルは極力、身体機能を抑制することが推奨されている。退治人の中にもセンチネルは紛れ込んでいるが、新人が最初に学ぶことは、自分の体質の制御だ。そして、センチネルとしての役割、相対するガイドについても、みっちりと仕込まれる。 　ガイド（ｇｕｉｄｅ）はゾーンアウト（ｚｏｎｅ　ｏｕｔ）に陥ったセンチネルを救うことができる。その過程はケアと呼ばれることもあるが、近年は廃れつつある慣習となっている。センチネルもガイドも、その体質が特異的なほど発達することは、現代では殆どないからだ。かつて、ガイドはときに、身の危険に晒されることがあったという。そのため現代でも、ガイドは吸血鬼と同様、自らを法の庇護下に置くことができる。 　センチネルとガイドについて、自身の体質が明確になってからは、随分と調べ込んだものだ。
June 15, 2025 at 5:20 AM
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進捗
June 14, 2025 at 12:32 PM
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遊んだやつ(1/2)
印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。付記に「AIノベリストで作成した経過／行為」、「神ミキ・ミキ神／434136」と記載されています。 以下は本文の内容です。 　拳を下ろし、説明を促す。壁に声が反響する。 「お前らに○○○○○○もらわなきゃ出られない部屋なんだよ！！」 「……あ？」 「だから、条件を満たさなきゃ此処は開かないんだ！　じゃなきゃお前らも道連れなの‼」 　早口で捲し立てる声の中から、神在月の気弱な声が小さく聞こえた。 「え……じゃあ、もしかして……その瓶の中身……」 　三木は部屋の中央に位置する机から瓶を一本取り、ラベルを上に掲げて呟く。 「Ｂ薬」 　ラベルには、黒いインクでそう書かれていた。白くて丸い部屋と、小瓶のコントラストが目に突き刺さる。 「誰が飲むんだよそんなの」 　瓶を軽く振ると、小さな音がする。最初に確認した通り、とろりとした液体が揺れる。そういえば、ホワイトチェストの上にもガラス製のグラスが置かれていた。ベッドの側にある棚に近づきつつ、三木は神在月の言葉を待った。 「……どっちが飲む？」 　数秒間の沈黙の後、神在月は細い声を絞り出して質問を投げ掛けた。 「ミッキーも自分で飲む？」 「まあな」 　ホワイトチェストの上に乗っていた瓶を置くと、神在月はもごもごと口を動かした。内容の発され る気配のない口元を暫し見つめたが、結局閉じられてしまった。 　手に持ったまま、三木は温くなりそうな小瓶の蓋を開ける。金属の外される音を聞きながら、部屋に向けて言葉を放った。 「おい、本当に飲めば解放されるんだな？」 　部屋が答えたのは、瓶が傾けられる音だけだった。 「あ」 　神在月の間抜けな声が、白い部屋に響いた。 「え？」 　三木は振り返り、友人の方を見遣った。神在月はチェストの上に置かれたグラスに、液体を注ぎ終えたところだった。空になった瓶をチェストに置き、グラスを持ち上げる。 「おい」 「……何？」 「お前……それ、飲む気か……？」 　薬の効能は知っているはずだ。そんなものを飲めばどうなるかも、分かっているはずだ。神在月はグラスをチェストに置き、三木の方に向き直った。 「だって……これ飲まないと出られないって」 「だからって、そんな得体の知れないもん飲むのか？」 「……でも、それしか方法ないんでしょ？　だったら仕方ないじゃん」 「仕方なくないだろ」 　神在月の目を見据えて言うが、彼の視線は逸らされるばかりだ。その態度に苛立ちを覚えつつ、三木は言葉を続けた。 「お前な、もう少し危機感を持て。何が起きるか 分からないんだぞ」 「じゃあ、このまま何もしなくても、何時間か経てば誰か助けに来るかもしれないでしょ？　その可能性がゼロじゃない限りは、飲むよ」 　神在月の表情は、あくまで穏やかだった。冗談や悪ふざけで言っているわけでないことは、十分に見て取れる。彼の断固とした意思を目の当たりにし、三木は深く溜め息をついた。 「……そうか」 　それきり黙り込んだ友人を見つめつつ、神在月は言った。 「悪いけど、ミッキーにも付き合ってもらいたいな」 「もちろん」 　瓶の中身をグラスに注ぎ、三木はそれを口に含んだ。舌の上を滑る液体は仄かに甘かったが、それより先に苦味が鼻腔を通り抜けた。嚥下すると胃の中からじわりと熱が昇ってくるような感覚を覚える。 「……これでいいのか？」 　神在月も瓶を空にし、チェストの上にグラスを置いた。白い部屋に沈黙が流れる。 「……何も起きないね」 「そうだな」 　神在月はベッドに腰掛けて、あくびを漏らしている。 「眠いのか？」 「ん……ちょっと」 　三木は頷き、神在月の隣へと座る。ベッドがぎし、と音を立てた。神在月の頭がぐらりと傾ぐ。その肩を抱き寄せ、自分の肩に凭れさせた。 「寝ていいぞ」
June 11, 2025 at 10:04 AM
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進捗(1/3)
印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。付記に「行為」、「神ミキ・ミキ神／434136」と記載されています。 以下は本文の内容です。 　神在月と三木は、窮地に立たされていた。部屋の中心に二本、白くて丸い机の上に、瓶が置かれている。二本の瓶は褐色で、中にはとろりとした液体が入っている。色は半透明のようにも、黒色のようにも見えた。 　四隅から中心まで白い部屋へと、嬉々とした声が内部に響き渡った。 「我が名は吸血鬼『〇〇〇〇〇〇もらわないと出られない部屋』‼︎」 　肝心な部分にノイズがかかり、何ひとつとして聞き取れなかった。 「なんて？」 「だから、〇〇〇〇〇〇もらわないと――」 「〇〇〇〇〇〇って何だ？」 「それは私も分からない‼︎」 「何だそれ」 「お前らの腸内の中身は亜空間に飛んでいったから、準備も不要だ‼︎」 「メッチャ便利」 「健康診断とかに使えよ、その能力」 「さあ、存分に〇〇〇〇〇〇くれ‼︎　俺にセックスを見せろ‼」 「シンジ、こいつ何言ってるか分かるか？」 「いや、俺もよくわかんない……」 で、媚薬を一気飲みする男前三木と純粋に心配する神在月 この部屋から拝借した　コンドームとかローションとか 神在月は自分じゃ買わない　何かで使うかなと思って　お狂いのときに 帰路についている最中に、最初は割とにこやかに喋ってた三木だったが、徐々に口数が少なくなり、最終的には表には出ないものの、常ならず寡黙になる。 神在月は何かを察しているけれども、核心を突くには至らない 「ミッキー」 「大丈夫」 「でも」 「大丈夫だから」 「うん……」 神在月がドアを潜り、三木がその後に続く。鉄の扉を閉めた瞬間、三木はその場にしゃがみ込んだ。辛うじてドアの鍵は、後ろ手に閉めている。限界だった。 「え、ちょ、大丈夫！？　じゃないな！？　ミッキー！？」 「…………」 　少しでも声を出したら、その瞬間、それは嬌声に変わる気がした。そのせいで三木は、友人の心配に応えられないままでいる。 眼だけで訴えると、喚いていた神在月が声を止めた。慎重に上下する肩に触れるが、その身体はびくりと揺れた。 「っ」 目は睨みつけるものに変わったが、神在月は気に留めることはないようだった。 「ベッドまで行ける？」 「……ッ、ぁ」 　口を抑えたが、至近距離にいる神在月には聞かれてしまっただろう。声を上げるほどの情けない様は、どうしても見られたくなかった。 既に上気した顔が火照るのを感じながら、友人の方を見返した。神在月の方が居た堪れない表情をしている。 「わぁ、大変なことになってるね……！？　」 「ぅ……みるな、っ、ふ……ッ」 　息を荒げながら、どうにか返答する。だが、どうしたって気持ちの悪い、高い声と呼吸が混じる。 「でも、放（ほ）っとけないよ」
May 22, 2025 at 1:27 PM
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進捗（没案）
印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。付記に「好意」、「神ミキ・ミキ神／434136」と記載されています。 以下は本文の内容です。 隣人とのオフ会は次の日に催される 今回はカレーを作る予定だった 吸血鬼（ポンチ）「しゃっくりする奴最高」と「泣き顔もっと見せろ」により、泣きじゃくる三木が錬成される できるだけ人気のない路地を通って、時折出会う下等吸血鬼を退治しつつ、神在月の家へ向かう三木 「泊めてくれ」と涙声で電話口に言う 「ミッキー、風邪でも引いたの？」 「いや。何でだ？」 「……なんでもない！　待ってるね」 「ああ」 みたいなノリで 神在月パート 玄関を開くと、呼吸が止まった。そこには泣きじゃくる友人が居る。 ちゃんと心配してくれている神在月 何なら説明しても信じてくれない 前々日が締切だったから、焙られていたのがいけなかったのか 何がまずかったのか とか、色々なことを考えている神在月を見たい 元々の話（流れ的に没！） 便モ三の料理買い出し、ルーは吉田かクラ―ジィが担当だった ので、ルーだけは買ってなかった 三木が買い出しに再び行こうとして、神在月が 「俺が買ってくるよ」 って言うやつ。「材料買ってもらったし」みたいなことを言うが、本当は（心配だから；≠独占欲とかサムシング）「外に出したくない」が理由 ポンチじゃなく本当の感情だったら、という不安がある（※） で、最寄りの店に行って帰る神在月 「何円だった？」と言いながら、財布を出そうとする三木 「秘密に決まってるでしょ」 「酷、っいな」 「尋く方がね」 「そ、うか？」しゃくり上げながら、三木は疑問を呈した。 「まあ、こっちも買ってきて貰ってるし？」 「そうか」 （※）三木に不安定な自分を見せているが、神在月も三木が不安定な時期を知っている ただし、今まで書いた同級生とは別アースなので、しみじぃ宅の三木と神在月のようなことは、おそらく起こっていない 少なくとも、同じ形では起こらない じわじわと泣き疲れてきてる三木 返事が雑になっていくやつ
May 20, 2025 at 10:57 AM
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遊んでるやつ
コイツとの会話は中々楽しい
平然と僕よりいい案を出してくるところが口惜しいところ
もしかすると何かを採用するかもしれないから、進捗としてうｐしておく
1 2
May 20, 2025 at 8:29 AM
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進捗(1/2)
印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。付記に「海と宇宙（仮）」、「進捗」と記載されています。 以下は本文の内容です。 海と宇宙 「我が名は吸血鬼『海と宇宙』！！　天地逆転しろ――ッ！！」 　今日も悠々と、吸血鬼（ポンチ）の声が響く。ここは新横浜（シンヨコハマ）。街を歩けば、イカれた高等吸血鬼が声高々に叫ぶ。そして、イカレポンチがひとたび宣言すると、大抵は碌なことにならない。大体は、ポンチにとって最高の娯楽へと変貌するのだ。 　今夜、街全体に淡い青色の光が伝播する。オーロラのように、半透明の光は帳を降ろし、新横浜中にぶわりと結界が広がる。新横浜湾は騒（ざわ）めき立ち、海洋生物がぬるりと外へと這い出（い）でて来た。 　シンヨコの空からは、星が降ってくる。星に住んでいるおじさんが降ってきたときの星は、土の惑星だった。しかし、今回は恒星らしく、強い光が柔らかく落ちてきている。ただし、それを視認できているのは未（ま）だ、喧騒の中心に居る者だけである。 　顔がワヤワヤした吸血鬼は、確かに満足そうに微笑み、泰然として腕を組んだ。 「よし、これで我が願望は――」 「おらぁっ！！」 　吸血鬼の充足はそこで打ち消された。赤いマントを翻し、黒い拳を飛ばす退治人。名前はロナルド、この世界の主人公である。その傍らには、黒い外套を変化（へんげ）させ、特徴的な髪をシルエットに残す吸血鬼。 　黒い吸血鬼は、ポンチの上空に佇む長身の吸血 鬼へと、声を張り上げた。 「御真祖様！　軽率にポンチへ肩入れしないでください！！」 　かつて『白銀の狼』と呼ばれた高等吸血鬼。ロナルドの相棒ではなく、その父である。ドラルクはタワシに手足が四本生えた奇怪な姿で、父の肩にしがみついている。低い声が底響きする中、複数ある腕の一本をのんびりと天に突き上げた。ピスピス声を上げながら「頑張ってください、お父様ぁ」と呑気に宣（のたま）っている。 　真祖と呼ばれた吸血鬼は、底の見えない静謐な瞳で、じっと自らの血族を見つめた。表情の見えない虹彩は、どこか喜ぶ色が残る。 「楽しそうだったからブイ」 　白いグローブの中で、二本の指が一対、大きな肢体の前に添えられた。おどけた動作に、ロナルドが空に向かってがなり立てる。 「二次創作だからって、やっていいことと悪いことがあるだろ！」 「何も言うな、メタゴリラ」 「殺した」 　殺害宣言とともに、ロナルドはドラウスの肩、正確には肩の上の謎生物へと拳を叩き込む。ドラルクの声帯を模した生物は、一気に灰色の砂へと変わり、地面へと流れていった。本革の靴の傍に居たイデアの丸が、悲嘆の声を上げる。 「ヌー！！」 　ドラルクの使い魔、ジョン・Ｏ・ガーディアン。別名、イデアの丸。メロンパンのように香ばしい背中は、涙を零して丸められた。 　息子を殺された父は、殺害者へと怒鳴った。白髪のアンテナが逆立ち、背景に『オーーッ！！』と いう擬音がついている。 「おい、何をするクソポール！！」 「ポールじゃねえっての！」 　ロナルドとドラウスが掛け合いを始めた。その足元で、砂に変わったドラルクは本来の形を為し、人型へと再生する。使い魔を抱き上げた吸血鬼は、鮮やかな赤の外套の端を引き、同居人へと声を掛けた。 「おい、ポールくん」 「ああ？　んだよクソ砂」 　ドラルクは徐（おもむろ）に、遥か上空を指差した。その表情に焦燥は見えず、自らの視界を報告することだけを、目的としているようだ。 「あれ、魚だよね？」 「はあ？」 　胡乱なものを見るかのように、呼ばれた相手はドラルクへと応える。吸血鬼の相棒は、「ほら」と無言で空を指し続ける。同居人の第二指を碧眼で辿り、空を見て、ロナルドは声を上げた。 「うおっ！？」 　示指の先では、ザトウクジラが宙を旋回していた。下顎、筋の入った凹凸は、夜に溶けることなく、灰がかった銀白色を明確に主張している。空中で遊泳して、背骨でうねりを打っていた。対流圏下でも息を継ぐため、巨大な腹を成層圏へと向け、地上からは艶やかな深い黒藍が露出する。巨視的な生命の躍動が、絶え間なく泰然と鰭（ひれ）を動かしていた。 「おぉ……」 　大気圏外のシンヨコハマムーンとのコントラスト、白色のライトが重なって、紡錘形の鯨躰が映える。ロナルドは声を失い、無心で回遊を眺めて いた。 「あそこにも居るよ」 　ドラルクがロナルドに語り掛ける。相棒の様子を見かねてか、声は平生とは異なり、酷く穏やかだ。揶揄も煽りも含まれない和やかな声に、ロナルドは素直に従った。 　肩に添えられた、やや温度の低い手。それとは反対の手が、鯨とは反対の方角を指した。銀髪の青年が、白布で覆われた骨ばった指の先を追い、蒼穹の瞳を見開いた。 「サカナだ……」 　鰯の群れが蜷局を巻いて、東の空を往来している。黒銀の躰が月と街灯の火を反射し、断続的に白腹が点滅する。マイワシの大群はトルネードを為し、空の彼方へと泳いでいった。 　ドラルクがフッと笑い、静寂に張った糸を緩めた。 「七三八六匹、だ」 「何恰好（カッコ）つけてんだよ、キメェ」 　ドラルクにパンチを入れるまでもない、ロナルドは半目で同居人を一瞥する。些細な日常のやり取りが、漸く戻ってきた。状況は未だに変わらない。ミドリガメは足元を通過していて、カブトクラゲが月の代わりに浮遊している。しかし、神妙な空気感は離散した。 「見事なものだな」 「不本意にも見惚れてしまった」と続けてドラウスは告げる。ドラルクは半ば呆れたように、父へと相対した。 「お父様、しんみりターンは終了してますよ」 「俺は空気の読めないウジ虫」 「だから公道で蹲（うずくま）るな」
May 19, 2025 at 7:52 AM
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進捗(1/2)
印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。付記に「海と宇宙（仮）」、「進捗」と記載されています。 以下は本文の内容です。 海と宇宙 「我が名は吸血鬼『海と宇宙』！！　天地逆転しろ――ッ！！」 　今日も悠々と、吸血鬼（ポンチ）の声が響く。ここは新横浜（シンヨコハマ）。街を歩けば、イカれた高等吸血鬼が声高々に叫ぶ。そして、イカレポンチがひとたび宣言すると、大抵は碌なことにならない。大体は、ポンチにとって最高の娯楽へと変貌するのだ。 　今夜、街全体に淡い青色の光が伝播する。オーロラのように、半透明の光は帳を降ろし、新横浜中にぶわりと結界が広がる。新横浜湾は騒（ざわ）めき立ち、海洋生物がぬるりと外へと這い出（い）でて来た。 　シンヨコの空からは、星が降ってくる。星に住んでいるおじさんが降ってきたときの星は、土の惑星だった。しかし、今回は恒星らしく、強い光が柔らかく落ちてきている。ただし、それを視認できているのは未（ま）だ、喧騒の中心に居る者だけである。 　顔がワヤワヤした吸血鬼は、確かに満足そうに微笑み、泰然として腕を組んだ。 「よし、これで我が願望は――」 「おらぁっ！！」 　吸血鬼の充足はそこで打ち消された。赤いマントを翻し、黒い拳を飛ばす退治人。名前はロナルド、この世界の主人公である。その傍らには、黒い外套を変化（へんげ）させ、特徴的な髪をシルエットに残す吸血鬼。 　黒い吸血鬼は、ポンチの上空に佇む長身の吸血 鬼へと、声を張り上げた。 「御真祖様！　軽率にポンチへ肩入れしないでください！！」 　かつて『白銀の狼』と呼ばれた高等吸血鬼。ロナルドの相棒ではなく、その父である。ドラルクはタワシに手足が四本生えた奇怪な姿で、父の肩にしがみついている。低い声が底響きする中、複数ある腕の一本をのんびりと天に突き上げた。ピスピス声を上げながら「頑張ってください、お父様ぁ」と呑気に宣（のたま）っている。 　真祖と呼ばれた吸血鬼は、底の見えない静謐な瞳で、じっと自らの血族を見つめた。表情の見えない虹彩は、どこか喜ぶ色が残る。 「楽しそうだったからブイ」 　白いグローブの中で、二本の指が一対、大きな肢体の前に添えられた。おどけた動作に、ロナルドが空に向かってがなり立てる。 「二次創作だからって、やっていいことと悪いことがあるだろ！」 「何も言うな、メタゴリラ」 「殺した」 　殺害宣言とともに、ロナルドはドラウスの肩、正確には肩の上の謎生物へと拳を叩き込む。ドラルクの声帯を模した生物は、一気に灰色の砂へと変わり、地面へと流れていった。本革の靴の傍に居たイデアの丸が、悲嘆の声を上げる。 「ヌー！！」 　ドラルクの使い魔、ジョン・Ｏ・ガーディアン。別名、イデアの丸。メロンパンのように香ばしい背中は、涙を零して丸められた。 　息子を殺された父は、殺害者へと怒鳴った。白髪のアンテナが逆立ち、背景に『オーーッ！！』と いう擬音がついている。 「おい、何をするクソポール！！」 「ポールじゃねえっての！」 　ロナルドとドラウスが掛け合いを始めた。その足元で、砂に変わったドラルクは本来の形を為し、人型へと再生する。使い魔を抱き上げた吸血鬼は、鮮やかな赤の外套の端を引き、同居人へと声を掛けた。 「おい、ポールくん」 「ああ？　んだよクソ砂」 　ドラルクは徐（おもむろ）に、遥か上空を指差した。その表情に焦燥は見えず、自らの視界を報告することだけを、目的としているようだ。 「あれ、魚だよね？」 「はあ？」 　胡乱なものを見るかのように、呼ばれた相手はドラルクへと応える。吸血鬼の相棒は、「ほら」と無言で空を指し続ける。同居人の第二指を碧眼で辿り、空を見て、ロナルドは声を上げた。 「うおっ！？」 　示指の先では、ザトウクジラが宙を旋回していた。下顎、筋の入った凹凸は、夜に溶けることなく、灰がかった銀白色を明確に主張している。空中で遊泳して、背骨でうねりを打っていた。対流圏下でも息を継ぐため、巨大な腹を成層圏へと向け、地上からは艶やかな深い黒藍が露出する。巨視的な生命の躍動が、絶え間なく泰然と鰭（ひれ）を動かしていた。 「おぉ……」 　大気圏外のシンヨコハマムーンとのコントラスト、白色のライトが重なって、紡錘形の鯨躰が映える。ロナルドは声を失い、無心で回遊を眺めて いた。 「あそこにも居るよ」 　ドラルクがロナルドに語り掛ける。相棒の様子を見かねてか、声は平生とは異なり、酷く穏やかだ。揶揄も煽りも含まれない和やかな声に、ロナルドは素直に従った。 　肩に添えられた、やや温度の低い手。それとは反対の手が、鯨とは反対の方角を指した。銀髪の青年が、白布で覆われた骨ばった指の先を追い、蒼穹の瞳を見開いた。 「サカナだ……」 　鰯の群れが蜷局を巻いて、東の空を往来している。黒銀の躰が月と街灯の火を反射し、断続的に白腹が点滅する。マイワシの大群はトルネードを為し、空の彼方へと泳いでいった。 　ドラルクがフッと笑い、静寂に張った糸を緩めた。 「七三八六匹、だ」 「何恰好（カッコ）つけてんだよ、キメェ」 　ドラルクにパンチを入れるまでもない、ロナルドは半目で同居人を一瞥する。些細な日常のやり取りが、漸く戻ってきた。状況は未だに変わらない。ミドリガメは足元を通過していて、カブトクラゲが月の代わりに浮遊している。しかし、神妙な空気感は離散した。 「見事なものだな」 「不本意にも見惚れてしまった」と続けてドラウスは告げる。ドラルクは半ば呆れたように、父へと相対した。 「お父様、しんみりターンは終了してますよ」 「俺は空気の読めないウジ虫」 「だから公道で蹲（うずくま）るな」
May 19, 2025 at 7:52 AM
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進捗
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印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。付記に「無題」、「ミキクラ・クラミキ／434136」と記載されています。 以下は本文の内容です。 いつも苦しそうな顔でクラ―ジィを汚す（犯す）三木 クラ―ジィが少しでも涙目になろうものなら、ペースを落としてくれるやつ 性欲と気遣いの間で揺らいで相当苦しいので、息で肩を上下させたまま、声を出さずに喘いでいる クラ―ジィは元々それが三木のデフォだと思っていたが、ノースディンに事の顛末を喋っていると、「あれ、もしかして違うのでは？」という話になる ある日、直前に三木へと訊ねる。 「ミキサン」 「はい」 「ムリ、シテマスカ？」 「えっ？」 「アノ、ソノ……」 「……」 「……ベッドノ中デ」 「無理、って？」 「イツモ苦シソウ」 「い、っや、そんなことは」 「今日ハ、ミキサンノ好キニシテクダサイ」 「オ、ッ……クラさん。そんなこと言っちゃダメです。自分を大事にしてください」 「ミキサン、苦シイ。ソレ、自分ヲ大事ニシナイノト一緒……違ウ？」 「……」 「分かりました。でも、クラさんの身体が一番大事ですからね」 「ワタシニトッテハ、ミキサンガ大事」 「お、ぉ。うん、はい……ありがとうございます」 「フフ、可愛イ」 「せめて格好いいって言ってくださいよ」 「可愛イデス」 「楽しんでますね……」 「モチロン。ミキサント話スノ、楽シイデス」 「ああ、まあ、そうですねえ」 　そういうことではないのだが、そういうことにしておこう。三木は心の中で、密かに決めた。 「無理シナイデクダサイ、良イデスネ」 「うーん、努力します」 最中 三木が苦しそうにすると、クラ―ジィが喘ぎながら、それを止めろと言ってくる 泣きそうな顔をしながら、ぐずぐずにクラ―ジィへと酷くする三木
May 17, 2025 at 7:04 AM
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引用っつっても、剽窃に抵る可能性もあるんだよな
もしそうなら消しますので、ご報告願います
May 17, 2025 at 2:34 AM
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引用文４
May 16, 2025 at 9:21 AM
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引用文３
これは、先ほどとは違う本からの引用
May 16, 2025 at 9:16 AM
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引用文2
以前にﾙﾏについて調べたのだが、鶏やおかみさんが登場する話は多いイメージがある。
他にも、羊飼いが登場する話もある。
May 16, 2025 at 8:56 AM
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本からの引用文１
何か感じるものがあった
印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。付記に「悪魔の炎」、「日本民話の会・外国民話研究会「世界の妖怪たち」より引用」と記載されています。 以下は本文の内容です。 　ミナルケンのシュテファンじいさんは言った。 　わしは十八で、村のアンドリッヒ・ハイツィ―神よ、安らかに眠らせたまえ―のとこで働いてたんだ。おかみさんがビラクで用事があって、わしを一緒に連れて行った。夜ひとりで森を抜けて、高くて細い小橋をわたって帰ってくるのが怖かったのさ。夜は真っ暗で、水は深かったんだ。 　わしらが帰るときは、もう夜になっていた。空は曇っていて、月も星も見えんかった。森にさしかかったときは、暗くて三歩先も見えんほどだった。 「わしにつかまってください」 と、わしはおかみさんに呼びかけた。 「わしは道をよく知ってますから」 　少し進んだとき、十歩ほど先の地面から、突然赤い炎がひらめいた。 「こりゃ驚いた、あれは何だい？」 と、おかみさんが言った。 「神様にしかわかりませんよ。でも少なくとも、道が少し先まで見えるようになりましたよ」 　すると急に炎は消え、わしらはまた暗闇の中にいた。だがまたすぐに、わしらの少し前にそいつが現れたんだ。わしらは何も考えずに炎の方へ歩いて行った。なにしろ周りは真っ暗だったんだ。炎の後をどんどんどんどんついて行った。炎の奴はずっと同じ感覚で現れたり消えたりした。一度だけ、この岩だらけの道は正しい道じゃないんじゃないか、って気がしたがな。時々足元が変に柔らかかったり、つるつるするようになった。いきなり、炎がわしらのすぐ前で止まった。わしはそいつをよおく見た。ああ、なんてこった！　そいつは悪魔だったんだ。悪魔は肩の上にロウソクをのせていて、目は燃えていた。それが、わしらを案内した明かりだったんだ。 「膝まずいてください。そして目を覆ってください」 と、わしはおかみさんに行った。そして出せるかぎりの大声で叫んだんだ。 「お助けください、聖母様。困っている人々をお助けになったように、わしらもお助けください」 　悪魔はそこに立ったままで、一度もわしらに近づくことはできんかった。わしもひざまずいていたんだが、時々炎がゆらゆらしているのが見えるだけだった。そうしてわしらがひざまずいていたら、轟々という恐ろしい音が聞こえたんだ。ものすごい嵐が始 まったにちがいなかった。嵐は、どんどんひどくなって荒れ狂っていった。だが、あれは何だ？　耳をすませた。鶏の鳴き声だ。たぶんミュラーのとこの鶏だろう。すると、一瞬にして炎もろとも悪魔が消え失せたんだ。奴はきっと地面の中に落ちていったんだろう。足跡も何も見えんかったからな。雲が少し散っていて、夜が白みはじめた。それでわしらはゆっくりと立ち上った。そして、ぎょっとした。わしらの前には堰があって、水がすごい勢いでうちつけ、泡立って、ザワザワいっていたんだ。これがさっきの嵐の轟々いう音の正体だったのさ。もちろん悪魔の奴はわしらを川に落とそうとしてたのさ。奴さんはなんていっても人間を憎んでいるからな。もしわしがあの時、「聖母様、お助けください」と言って悪魔をはらわなかったら、それにミュラーのとこの鶏が鳴かなかったら、わしは今ここにいなかっただろうし、あんな恐ろしい川の底から見つけてくれる人もいなかっただろう。 　そういうことさ。一番窮地に陥った時が、神様の助けが一番近くにあるときなんだよ。それが真実だし、これからも変わらないのさ。（ドイツ語資料より）
May 16, 2025 at 8:51 AM
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cp萌え語りするやつを繋げる
May 11, 2025 at 12:55 PM
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進捗2
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注：sen...verse
印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。付記に「spinel（仮）」、「神ミキ・ミキ神／434136」と記載されています。 以下は本文の内容です。 センチネルの三木とガイドの神在月 ガイドに対する保護：吸血鬼に対するものと同程度 吸血鬼が思うセンチネル：ゾーン（内臓が大変なことになる）に入れば格好の餌 三木がゾーンに陥り、神在月が助ける話　高校時代 宇勇を観に神在月の家に行く三木 時折上の空になる三木　疑問に思う神在月 完全にゾーンに入る 相性の良いガイドが一部に触れてると戻る 「ね、ねえ、ミッキー……大丈夫？」 「……」 「ミッキー？」 手に触れる 神在月は、三木がセンチネルだということに、薄々気づいていた 神在月は未覚醒だったが、ケアの真似事のつもりで手を出したら覚醒する 裏路地に意識朦朧としながらも入る三木 鼻血と吐血 センチネルの説明　ゾーンアウト寸前のセンチネル 三木が衝動（生存本能）で神在月を抱き締める。 「……へ？」 「……っ、」 「ミ……三木？」 「……」 力が強まる。何かあったのだ。 察しつつも、背中をポンポンする神在月 で、ふと我に返る三木 「――ッ！」 「あ、気がついた？」 「……！？」 「少しはましになった？」 「は、」 「ん？」 「っ、す、すまん。本当に悪かった」 「……何が？」 「とぼけなくて良い、お前を、俺は」 　利用した、と続けようとして、神在月の指に唇を押さえられた。 「言わないで。三木のためなら、それくらいはやれるよ」 「……ありがとう」 「どういたしまして」 「まだ顔色悪いけど、休んでく？」 「い……や、それは」 「じゃあ、俺の話に付き合って」 「わ、かった」 「」
May 10, 2025 at 8:59 AM
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進捗(1/2)
印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。付記に「風呂（仮）」、「神ミキ・ミキ神／434136」と記載されています。 以下は本文の内容です。 　神在月と身体を洗い合う関係になってから、何年経ったのだろう。 　三木は時折、その時間を指で数えようとするものの、未だにきちんと最後まで数え切れたことがない。指を一本ずつ手の中へと丸める度に、あんなことがあった、こんなこともあった、と思い出ばかりが先走り、ついには何回、指を伸ばしたか忘れてしまうのだ。昔はそんなことはなかった。脳が老化しているのだろうか。仕事をするときには、こんなことはない。職場では感じたことのない懐古が、胸の内に湧き出している。 　湯船に張った、体温よりも高い温度の水。透明な液体を揺らした。シャンプーボトルのポンプを押す神在月。「シャンプー、少なくなってきたかな……」とぼやきながら、数回空押しを繰り返している。貧相な身体つきを眺めながら、三木は考えた。 　眼前のダンピールは、片付けが上手くない。締切を守るのも苦手なタイプだ。それに 巻き込まれているのは三木自身だから、神在月の性格は嫌になるほど分かっている。友人を嫌いになったわけでも、唐突に旧友を貶そうとしたわけでもない。ただ、年月を数える作業は、整理整頓とよく似ていた。 　片付けは得意な方だ。押入れから出て来た漫画に、作業を中断させられることはない。そもそも家に、碌に雑誌すらない。神在月の漫画や関連書籍を除いて、の話だが。納期を守るのも苦ではない。神在月に締切を守らせるよりは、よほど簡単な工程だ。 　三木は神在月が絡むと、ただのミッキーになれるのかもしれない。高校時代からの渾（あだ）名を冠する、それだけの存在に。 「ミッキー、何してるの？」 「いや。お前と最初に風呂入ったのは、いつだったかと思って」 「えー……？」 　神在月の少し高い声が、狭い風呂場で反響する。癖のある黒髪を泡立てる、骨ばった手。 「そうだなあ」と、空気が震える。生ぬるい室温が対流して、数畳の空間を廻り巡る。 　泡のついた薄い皮膚を眺めながら、返答を待つ。三木は湯船に腕を乗せて、その上に 自分の頭を置いた。 「いやあ、覚えてないねえ。急にどうしたの？」 「たまに気になるんだが、毎回数え損ねてる」 「ふーん」 　この話題はあまり、お眼鏡には適わなかったらしい。裸眼の金色は三木を一瞥した後、興味があるような、ないような、曖昧な相槌だけを返す。わしゃわしゃと自分の頭を洗う手つきは、気が進まないようで億劫だ。 　すぐにでも止まってしまいそうな手を見かねて、三木が神在月へと声を掛けた。 「頭、洗おうか？」 「やっりい！」 　疑問を投げたときよりも幾分か楽しそうな声とともに、頭上の手は即座に作業を止め、ガッツポーズを胸の前で作った。 「おまえ、狙ってただろ」 　三木がじとりと半目を寄越すと、神在月は舌を出した。 「やっぱりバレた？」 「当たり前だ」 　何年間、一緒に居ると思ってるんだ。ささやかな文句は、溜め息にして胃へ流し込む。二十年の月日は伊達ではない。食道を通った言葉は、音もなく溶けて消えていった。 　神在月が、相手へと背を向ける。脊椎の位置がはっきりと分かる猫背を、目でなぞりながら、三木は手を伸ばした。湯船に浸かったまま、中途半端に泡立った髪に指を埋める。 　以前はもっと、丁寧に洗ってやっていた。湯船から身体を乗り出していた。そうすると、肉体分だけ湯が減る。濡れたままの身体を移動させる、そんな営みをしていた時期もあった。だが、今となっては惰性だ。拒否をすることは一切ないが、ゆるゆると、重力に反して腕を動かす。雰囲気に流されていることは否めない。手は抜かないものの、浴槽の湯の温さも悪くはないと思えていた。 　黒い癖毛の間に指を通して、頭皮をくにくにと解す。いつもよりも少し、ほんの僅かに硬い。疲れているのかもしれない。 　神在月の口から、ほう、と小さい吐息が漏れた。 「みきぃ、それ上手いよね」
May 9, 2025 at 11:12 AM
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没文章繋げるやつ
May 9, 2025 at 10:21 AM