梁山 璃枝(Ryouzan Rishi)
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梁山 璃枝(Ryouzan Rishi)
@oqdn1vayow0jl9p.bsky.social
『思想や感情の上澄みを言葉で表現する』
好きな言葉を自由に表現して、詩を創作しています。
X(旧Twitter)→@oQdn1VayOW0jL9p
#詩
風が散らした言葉を
日記帳の横欄に並べて行く
裏表紙一つ手前の頁を飾るのは
季節の晩れが与えてくれるような
「またね」が楽しみになる別れだった
掌の中に納まる物語の続きを
買いに向かう道程に桜蕊降る
祝福が瞳の上で紅色に映えた
April 22, 2024 at 12:36 PM
#詩
君の声が遠ざかるほど
踏切の跫音は輪郭を帯びて
冷たい花の咲き乱れる園へと
私を艶めかしく手招きする
幾度も死に返る心に反して
極めて健やかな肉体が恨めしい
私の臓腑に宿る小さな種子よ
芽吹きの春は何処の停車駅にか
横切る電車の影は疾々と
私を独り置き去りにしていく
April 20, 2024 at 2:58 PM
#詩
君の涙で固められた
砂の城に旗を立てては
潮風の行方を探している
脱いだ靴を後ろに放り投げて
青空の息を吸い込んだような
生暖かい白砂に足を沈めれば
指紋塗れのレンズに囚われた
そんな私であったとしても
生きていて良いと言ってくれた
君の優しい感触を思い出すのだ
April 12, 2024 at 2:03 PM
#詩
花柄のスカートを履いた雌鹿
潤んだ瞳に恋慕の情
星柄のバッグを肩に掛けた雄熊
困惑と拒絶の起立 気を付け 前ならえ
御代官乗せた列車は出発進行
権威は稀星 農奴は帰省
残るは寂寞たる広野のみ
風吹きゃ揺れる山袴
履く人いなきゃ桶狭間
将軍焦りて明日は来ず
行く先見るなり驚天動地
April 9, 2024 at 1:49 PM
#詩
曙の産声が陶酔の均衡を崩した時
この瞳で私は確かに感じたのだ
曇天に隠匿されていた妖艶な滴りを
緊張と興奮によって収縮した瞳孔
乾き切った心臓をラグドゥネームに浸し
茫漠たる砂漠を征く駱駝のように
朧気な夢想を瘤の内に蓄えながら
未だにご機嫌に微睡む地平線を目指して征く
April 8, 2024 at 5:37 AM
#詩
菜の花包んだ風船を
風の流れの気分に任せて
そっと空に解き放った
あの赤色の風船は
何処に漂着するのだろうか
柔らかな掌の内側にか
爽やかな季節の外側にか
雪の刹那に触れたら割れて
寒さに震える背伸びの少女に
一輪の希望を届けられたら良いのに
April 6, 2024 at 2:27 PM
#詩
言葉は万能ではない
説明できないことの多さを
私は誰よりも知っている筈なのに
小難しい言葉を捏ねくり混ぜて
歪な陶器を創り出している
自己満足に浸ってばかりで
汗の滲む掌を握ろうともせず
ただ滾々と思想の流れに身を委ねて
共に下流へと向かう落ち葉を数えている
April 5, 2024 at 12:44 PM
#詩
束の間が灼熱の囁きとなって
鼓膜の表面を焼いている
理不尽さが春空の下に陽炎浮かべ
時計の歯車は溶けて地面に垂れて行く
されど 血管を流れる灰色の残滓よ
簒奪の絶望に心まで塵と化すな
この鈍き肉体に魂を響かせるのは
お前の執念と希望なのだから
April 4, 2024 at 2:40 PM
#詩
何もする気が起きなくて
毛布を足掛け 窓外を眺む
退屈濛々と耳を濁ませ
水滴深々と街を抱く
裁断した糸のように細い雨
天の彼方に神様が居るのならば
神様は手先が器用でないに違いない
偏頭痛の姦しさに苛立ちつつも
そうと思えば同情も湧いてくる
私の筆が滞るのも
きっと神様のせいに違いない
April 3, 2024 at 8:17 AM
#詩
白雲に押された焼印
紋白蝶の飛び交う川辺にて
子供達の快笑が木霊する
いつかに見失った君の影
舌上で転がした飴の味
表情豊かに桜は咲き零れて
胸に綻ぶ無言の悲しみを
その柔らかい花弁で煌めかせ
優しく慰めてくれている
桜花と白雲が交叉して
隠れた影に溜息一つ
君の影送りが恋しく実る
April 2, 2024 at 3:02 PM
#詩
親愛なる忘却よ、憂鬱の背中よ、
君は覚えているのだろうか
私が蹴り上げた丸い石ころの
甘い秘匿の手触りを、あの残光を、
それが齎した静かな幸福の切れ端を
爪先に絡む塵を穿るだけの毎日
埋もれた知識を漁るだけの毎日
その時、その瞬間、その切れ間、
本当に私は生きていたのだろうか
April 1, 2024 at 12:30 PM
#詩
不協和音に船を浮かべて
純正律に離別の漁歌を捧げよう
髪に絡み付く水沫の冷たさと
指を震わす喪失の恐ろしさとを
強風に翻る白帆へと託して
あの澄まし顔した満月よりも先に
こちらから夜明けを迎えに行く
道標は眩い光で無くとも良い
征くべき道と語るべき言葉は
この心臓に宿るものなのだから
March 30, 2024 at 10:42 AM
#詩
雨上がりに晴れ色の道
狂ったように踊ってばかりの
道化師も笑顔を忘れるような
清く透き通った水溜りには
分厚い化粧の奥に隠された
懐古の情が波紋を浮かべていた
迷いを心臓に宿しながら
鼓動に震える掌を握り締める
眩さの底に沈殿する安寧に別れを告げ
私は小魚咥えた白鷺の背中を追いかけた
March 29, 2024 at 7:31 AM
#詩
神様の作ったジオラマで
不正解で構成された人形達が
無機質な肌を照からせながら
時計の歯車を回すように
交差点に影を落としている
March 28, 2024 at 1:52 PM
#詩
溢れそうなほど
嘘で満たされたコップ
嗚呼 氷が溶けていく

硝子向こうの空から
懐かしい柑橘系の匂いが
色と共に運ばれてくるのに
輪郭の歪んだ仮面には
霧雨の痕が刻まれていた

立ち昇る愚かしさに
空は晴れていますか なんて
尋ねても虚しくなるだけ
味のしない液体の
生温さが喉を湿らせた
March 27, 2024 at 2:53 PM
#詩
旅客船の甲板に立ちて
寒風に揺られる星を仰ぐ
蛾も寄り付けない凛光
静けさで彩色された その懐で
裂かれた波の痛みを想いながら
私は内陸の君に向けて愁吟する
煙突から立ち昇る真っ白な梯子
それが空と海を結び付けて
寂しがり屋の星と意固地がりの人
二種類の孤独を分かち合えたなら良いのに
March 26, 2024 at 3:09 PM
#詩
気象予報士の振るった指揮棒
錆と埃で汚れたラジオから
清夜駆る流星群の前奏
一向に進まない小説の頁を
伸び切った爪 その指先で
弾きながら私は夢想する
誰かの望遠鏡を逃れた白線が
閉ざされた帳の裏面に
救難信号を響かせる瞬間を
夢物語に夢物語を重ね合わせて
漸く時間に実像が灯り始めた
March 25, 2024 at 1:14 PM
#詩
扉の隙間を抜けた光線
生きる意味に飢えた獣の
脂ぎった毛の先端に
寂しいだけの露を浮かべた
床に転がる血濡れた刃
キラリと皮肉気に笑った
蠍座の一等星のように
眩しさの向こうから差し出された
掌の体温が頬を包み込むと
湧き上がる安心と不安に
曖昧だった鼓動が覚醒して
また光が怖くなる
March 24, 2024 at 2:51 PM
#詩
煌めくばかりの毎日
空っぽの賛辞が鼓膜を震わした
朝陽も夕焼けも煩わしくて
只管に暗がりを求めて来た
隣の芝生は青いと言うけれど
それはただの言い訳だ
同じ視点に立つことができないで
拍手するだけの機械達の
唾棄すべき怠慢の欠片だ
March 23, 2024 at 2:34 PM
#詩
藤色の高台で
風が吹くのを待っている
柵に乗せた手の甲の
皺は深く夕波を湛えて
鴎の飛び回る海岸に
哀音の質感を添えている
この町に漂い着いて幾星霜
霞みつつある君の声に
懸命にしがみ付きながら
身動きしない風車を
高く、高く、掲げている
March 22, 2024 at 2:10 PM
#詩
檻のない監獄に留まり
小さな高窓から覗く雪片に
醜い憎悪を抱くのは
己が探究の道程の先に
導の星明りを見出せない
己の無力さが憎いからなのであろう
手元を濡らす天井灯
蛍光色の揺らめきは永久に
March 21, 2024 at 2:34 PM
#詩
椀によそわれた熱々の大根に
箸を入れる幸福を噛み締め
思考に穢れた脳内を洗浄して
忘れ去られた透明の名を
黄金の液体の上に浮かべる、
そんな細やかな反逆の夜
March 20, 2024 at 2:24 PM
#詩
命は引力と結ばれて
命は重力に反発する
耳の奥に流れる夜の鼓動
遍く星々の願いを汲み取って
死して底へと落下する
そのくらいならば
生きて底へと飛び込んでみる
鋭い歯が皮膚を突き破り
猛毒が身体を蝕もうとも
覚悟を抱きしこの心ならば
毅然と背筋を伸ばしたまま
中指を高く掲げられるはずだ
March 19, 2024 at 4:37 PM
#詩
言葉を細密に分解した先に
雪解けの刹那に垣間見る
あの星火の如き喜悦が
本当に在るのであろうか
分厚い辞書を片手に
赤子の頬にも似た白面に
歪な記号を刻んで埋め尽くす
この一方的な要請に
春告げ鳥は応えるのであろうか
March 18, 2024 at 1:29 PM
#詩
独り善がりな淋しさ
抱えてゴチるは恨み言
梅木の影を踏みながら
頭上の花の艶やかさに
君の頬の色を重ねてしまう

君の居ない映えスポット
春色は騒々しい明るさだ
横に傾けたスマートフォンの
赤くて、丸い、シャッター
それを私は押せないままで
木末に掛かる薄暮の月を
無気力に仰ぎ見ている
March 17, 2024 at 1:16 PM