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【工具レビュー】ここぞという時に頼れる一本。仕上げに差が出る「細い綿棒」のススメ。 #工具 #nippper #プラモデル
【工具レビュー】ここぞという時に頼れる一本。仕上げに差が出る「細い綿棒」のススメ。
 模型を楽しんでいる人の多くは、耳掃除だけでなくプラモデルの塗装においても「綿棒」に助けてもらっています。スミ入れ、デカール貼り(これらのテクニックは以下にリンクを貼っておくので、初めて聞くな〜という人はぜひ読んでください)といった工程では無くてはならない存在でしょう。そしてそんな綿棒、ここぞという時のための「必殺綿棒」を持っておくと、より綺麗に塗料を拭き取ることができ、あなたのプラモデルもさらにかっこよくなりますよ!  僕は通常の拭き取り作業には、このような先が尖ったタイプとスパイラル形状のものを使用しています。先端が尖っているものは細部を狙えたり、雨垂れやサビ垂れ表現をしたい時に、細い線を描くように塗料を拭き取ったりできます。スパイラルも広い面積だけでなく、膨らんだ部分だけを当てるようにして塗料を拭き取ったり、デカールの水分を吸収したりするのに便利です。  しかし形状が違っていても、同じサイズのものだけで塗料を拭き取っていると、拭き取らなくても良い箇所の塗料まで拭ってしまう事も多いです。そんな時こそ「小サイズ」の綿棒を用意しておくと良いのです。僕が良く使用しているのは100円ショップのネイルコーナーに売っている「コットン付きウッドスティック」。ネイルのような細かい塗装の修正に使用される綿棒なので、とても細く作られています。また両サイドが綿棒になっているので、1本で2回使用できます。  袋にチャックがついているのもナイス。塗装時において綿棒がバラバラ〜と机の上に転がった時は、塗料をこぼした時と同じくらいダメージを受けます。そんな予防策もバッチリです。  これは戦車模型の転輪。ゴム部分を黒で塗り分ける時に、ホイール部分に黒がはみ出してしまいました。こういう細部のはみ出し修正は、まさに細い綿棒の独壇場です。  あえて先端を使わずに「腹」をパーツにそわせるようにして拭き取ります。こうすることで、パーツの出っ張りにだけ綿棒が触れるので綺麗にはみ出した塗料を拭き取れます。太い綿棒でこの方法をやってしまうと、タイヤ部分にも綿棒が触れて余計な箇所まで拭き取ってしまいます。  このように、全て同じ綿棒で作業するのではなく、細部作業用の綿棒をひとセット準備しておくと塗装作業はより快適になります。タミヤから発売されている模型用綿棒「クラフト綿棒 XSサイズ」各種も最高におすすめ。ぜひここぞという時のための綿棒をあなたの工具箱にセットしてくださいね。
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November 12, 2025 at 1:00 PM
イスから始まる、「筋の通った」プラモ体験/エアフィックスの1:48 ホーカー・ハリケーン #キットレビュー #軍用機・旅客機 #nippper #プラモデル
イスから始まる、「筋の通った」プラモ体験/エアフィックスの1:48 ホーカー・ハリケーン
 操縦席が、主翼上に根を張っています。いやあるいは、主翼上の部材が玉座を囲むようにも見えましょうか。いずれにしてもこのプラモ、パイロットが座るイスを包むようにして機体が組み上がります。 飛行機プラモの組み立て序盤に登場する、イス。機体の最奥部ゆえ仕方ない——と、普段なら“下ごしらえ”感覚で組みがちです。しかし今回は、イスを中心に機体が生えていく。すると不思議なもので、初手のイスに意味を感じてうれしいんですね。「やっぱ、人間が操るマシンだしな……」なんて妙な納得感さえ生まれてきました。  そんなこのキットは、エアフィックスの1:48 ホーカー・ハリケーン。WW2前半の英国を代表する戦闘機、その本場物プラモといえますね。エアフィックスとして2代目にあたるこのキットは、2015年の発売。有名機だけに新装版が定期的にリリースされていて、現在でも比較的出会いやすいプラモでしょう。  軟質のプラパーツの上には、くっきり深い彫刻と布張り部分のやわらかい凹凸が豊かな影を落としています。そんな各パーツには確かなボディ感があって、どんどん切って貼って組み立てるぞ! という気持ちを強くさせてくれますね。  パーツの合わせは良好。あのイスから始まる構造を外板が包みこみ、機体のフォルムがすぐに現れます。これは精密さの追求よりも、どっしり安定した肉感や、機体の陰影を楽しむ味付けでしょう。リラックスして組める絶妙なバランス感覚こそ、2010年代エアフィックスの真骨頂かも。ハリケーンは、そんな傑作のひとつだと思います。  なお、主翼内部に並ぶ8丁の機銃まわりの構造を見せる選択肢も用意されているので、細密な作業とボリューム感を好む向きは挑戦の価値ありでしょう。逆にそこを飛ばしてシンプルに組めば、第一印象よりもずっと手軽に組み上がったのはうれしい誤算でした。 完成するとキットの陰影がウェザリングカラー類の効きを強く引き出して、なかなか存在感ある姿になりましたね。主翼の角度がばっちり安定するのも、あの桁構造のおかげでしょう。  機体の体幹を支える背筋として機能し、あるいはイスから始まる組み立て工程に一本のスジを通してくれたあの内部構造は、もはや外から見ることはできません。まさにインナーマッスルだったんですね……。 同様の構造を備えたキットは古今東西ほかにもありますが、なかでも今回は納得感高め。やはり何事も体幹と筋道なのか……としみじみ勉強になるプラモ体験でした。
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November 12, 2025 at 11:00 AM
【レビュー】複雑怪奇な造形はプラモデルで把握せよ/エクスプラス 1:700 レギオン #キットレビュー #ヒーロー・怪獣・モンスター #nippper #プラモデル
【レビュー】複雑怪奇な造形はプラモデルで把握せよ/エクスプラス 1:700 レギオン
 我々は昆虫を知っている。幼少期の「なんかこう、虫だよね」という低い解像度は、小学理科の授業を受けることによってドラスティックに変化する。「まず昆虫という仲間がいて、彼らの体は頭/胸/腹の3つに分かれています。そして、胸からは6本の脚が生えています」と習い、その知識を前提に昆虫を観察すると、なるほど確かにセミもアリもチョウチョも全く違うカタチをしていながら、昆虫というルールのなかで生まれたバリエーションだということがわかるのだ。  さて、われわれはレギオンという怪獣をスクリーンで見たはずなのだが、その形態がいったいどのような要素の集合体であるのかまではっきりと理解できている人間はさほどいないだろう。例えばレギオンの脚は何本あり、どこからどう生えていて、尖った爪のような部位は膝なのか爪先なのか、カニなのか虫なのか(by 螢 雪次朗)、それとも地球の何か例えるのがそもそも間違いなのか。これは正直、レギオンのプラモデルの巨大なハコを開けてもなお、全然わからないのが正直なところである。食虫植物にインスパイアされたような先端形状を持つ巨大なパーツは、いったいレギオンのどこを構成するのか。  ということで、組む。かなり大きいパッケージに圧倒されるが、パーツのひとつひとつもかなり大きい。ひとつ接着するたびにドシンバコンと大きなユニットが現れ、奇っ怪な怪獣の各部位が机の上にゴロゴロと散らばっていくのが痛快だ。曲面主体のプラモデルなので、ゲート(パーツを切断する場所)の出っ張りをタミヤのモデラーズナイフで丁寧に削り取っておくことが肝要だ。幸いプラスチックは柔らかめなので、それぞれの工作に力は必要ない。  昆虫で言うところの腹のようなものには丸く穿たれた脚の付け根が左右それぞれ3つずつ観察できる。これだけパーツが大きいと塗るタイプの接着剤はパーツに付けた端から乾燥してしまうので、パーツを合わせた状態で接合面に流し込むタイプの接着剤を使うべき。ほんの僅かにパーツが歪んでいて隙間が開いてしまっても、速乾タイプのものであれば30秒ほど圧着しておくだけでビシッと所定の位置にパーツが収まる。  昆虫に習って便宜上「頭/胸/腹」と呼びたくなる体幹を組み立ててから、「前足」と書かれたユニットを腹の前方に貼り付けた状態で自立する。太ももの横からカニの爪のような部位が張り出しており、「なるほど脚にも腕にも見えるデザインというのは秀逸だな!」と感心する。同時に、巨大なツノや後方に張り出した腹部を無視すれば、思ったよりも猫背の着ぐるみライクな怪獣としてオーソドックスなバランス取りなのも見て取れる。これは組む過程でしか見えない景色なので、なおさらおもしろい。  おわんのようなカタチの胸からニョキッと生えた頭部。その左右から伸びる10本の触覚はそれぞれワンパーツで成形されており、このプラモデルの組み立てにおいてフィナーレを飾る。などとカッコよく書いているが、造形的にも大きさ的にもカニの脚を延々貼り付けているような感触であり、普段我々はカニをバラして食べているがカニ状のものを再構築するというのはなかなか倒錯的であるなと思ったりもする。  かくして取り返しのつかない大きさのレギオンが完成。後方からフカンで眺めると、やはり「なんだかわからないもの」がそこに佇んでいる。しかしこのプラモデルを作る前と間違いなく違うことは、私はこのレギオンから脚や触覚を取り去った姿を、脚がそれぞれどんなカタチをしているのかを、そしてそれがどこから生え、どのように空間を占めるのかを知っているということだ。ただぼんやりと眺めているだけでは全体の雰囲気しか掴めなかった立体物が、いちど組み立てさえすれば親密な関係を築ける……というのがプラモデルの美点だ。  エクスプラスのECサイト、「少年リック」限定版にはマイクロ波放射時の開いた大角と怒り状態の目を再現できるパーツが付属。小さなランナー2枚の特典だが、通常時のレギオンとは違う表情が楽しめるし、これを使えば塗装の趣も変わろうというものだ。また、通常版も限定版も、胸部のエッグチェンバーには透明パーツが奢られているので、これを生かした電飾もひとつの作り方として提案できる。  有機的な造形、甲殻類的なテクスチャ、固定ポーズ/接着式キットならではの強固な手触り、そしてボリュームと重量によって「なんだかすごいものが手に入ったな」と思わされるレギオン。全高約20cm、全長29cmというサイズなのでディスプレイする場所の確保は必須だが、エクスプラスならではの野心的な造形、分割設計が存分に楽しめる一品だ。  レギオンに対する「なんかこう、ガメラと戦ったエグい宇宙怪獣だよね」という解像度の低い日々は終わった。いまやレギオンは友達である。ヤツのかわいいところも、不気味なところも、案外素直な立ち姿も、プラモデルを組めば掌中に収まったも同然。プラモデルをひとたび組めば、映画を10回観るよりも写真を100枚眺めるよりもずっと距離が縮まる……と実感した1日だった。
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November 11, 2025 at 1:00 PM
【レビュー】話題のプラモデル「ゴーストメック コフィンズ」完全解析!コトブキヤ×新川洋司の最新到達点 #キットレビュー #ロボット・アニメメカ #nippper #プラモデル
【レビュー】話題のプラモデル「ゴーストメック コフィンズ」完全解析!コトブキヤ×新川洋司の最新到達点
 数々の先駆的なメカニック/ギアデザインを考案し続け、国内外に大きな影響を与えているクリエイターである新川洋司氏による密造兵器群“ゴーストメック”が、KOJIMA PRODUCTIONSのゲーム「DEATH STRANDING 2」で発表されたことで、SFメカデザインの現在を示すマイルストーンとしても注目を集めています。そして、これまで精力的に新川氏のデザインをプラスチックモデルキット化してきたコトブキヤから、“コフィンズ”がリリースされました。  本機は、劇中に複数のモデルが登場するゴーストメックの中でも、特にそのフォルムやムービーシーンでの活躍も印象的な大型機体です。キットは全高18cm(1/20スケール)というボリュームになっており、SFメカデザイン・新川洋司氏によるフォルムとディテールの”最新形態”が余す所なく立体化されています。ハイディテールな機体イメージに反して、パーツ数は非常に少なくまとめられており、その組み易さから現在のプラスチックモデル製造技術の進化を体感することもできるキットでした。  まず、キットの成形色が絶妙な色味で設計されています。無塗装でもしっかりとデザインと劇中イメージをユーザーに立体で追体験してもらいたいという開発陣の意図が感じられ、箱を開封した瞬間に嬉しくなるポイントです。  組み立て説明書は通常形態の本機がクローズアップされています。過酷な劇中世界で運用される機体であり、デス・ストランディング世界の重要な物質である“タール”との関連も強い本機ならではのテクスチャーに富んだウェザリング塗装も可能であるという示唆が感じられます。説明書を開くと、冒頭には機体設定と共に新川氏のデザイン画も収録されていました!ゲームだけでなくSFメカニックファンも意識した構成は、組み立てへのテンションをさらに高めてくれます。  一見すると複雑に見える関節部ですが、ここも最適かつシンプルなパーツ構成。シリンダーなどがまるで動くかのような彫刻となっています。実際には伸縮したりしない分、可動させる際にも安心感のある剛性を実現しています。  本機のディテールの中で、1/20というスケール感をフィギュア無しでも感じさせてくれるのが、胸部に配された同スケールの人間大腕部です。士郎正宗作品における「アップルシード」のランドメイトに代表されるデザインから、日本における複腕構成メカの系譜が始まっているというのが個人的な認識なのですが、他のメカデザインと一線を画しているポイントがここにあります。  腕だけではなく、現用兵士を彷彿とされるタクティカルベストが装備されていることで、一見すると人間の上半身が埋め込まれているように見えるという視覚的インパクトは、人間と同様の装備を運用可能という合理性や、“らしさ“というリアリティの組み込み方として秀逸かつ、縮尺/スケールにおける人間のサイズ感を認識させる非常に有効な機能です。この腕部とタクティカルベストを再現したパーツも、一体成形や極力少ないパーツによって構成されています。パーツにはモールシステムを彷彿とさせるベストのモールドもしっかり入っており、把持するライフルと合わせてコトブキヤオリジナルコンテンツ「ヘキサギア」の ガバナーにおいて培われたノウハウの厚みを感じさせてくれます。待機状態、構え状態がそれぞれワンセットづつ入っているのも嬉しいです。  機体名の由来ともなっている背面にマウントされる棺桶型ユニットも、外装の大きなパーツ分割の中にしっかりとディテールが詰め込まれていました。  工業製品を感じさせる角の丸みなど、新川デザインにおける真骨頂がひとつのパーツとして実体化されています。加えて、棺桶ユニットの内殻もしっかりと再現されているのも注目ポイントです。  組み上がった状態では開閉しない仕様であっても、しっかりと蓋部分は別分割とすることで劇中シーンを再現したいファンモデラーへの余白も設けてくれています。上述の成形色の絶妙さがここでも発揮されており、棺桶ユニットが組み上がった際の量感とプラスチックプロダクトの美しさを感じることができる最高にテンションが上がるポイントでもあります。  獰猛な肉食獣を連想させる四脚形態へとモードチェンジするコフィンズでは、尻尾にあたるケーブルを再現するためのリード線が付属しています。  程よい強度で任意の形状を作ることができる事から、通常形態で立たせる際のサポートとしても機能します。組み立てて行くと訪れる胴体、棺桶ユニット、そして尻尾ケーブルを接続した際の一体感がたまりません。  頭部も多色成形が活かされた構成となっています。曲面部には現実の無人航空機を思わせる広い面を設けつつ、人間の頭部を延長したようなフォルムの先に配された顔を思わせるディテールの密度感という緩急は、SF映画の金字塔「エイリアン」においてH・R・ギーガーが発表したクリーチャーデザインへのオマージュも感じさせます。  ムチっとした量感に溢れつつ、生物的なフォルムに散りばめられた工業製品的なディテール、脚部だけでもひと目で新川デザインであることが分かります。通常形態における上半身のボリュームを支えるべく、固定する部分とスイングできる部分がバランス良く組み合わされた程よい嵌合によって、任意のポージングを確実に取らせることが可能となっています。  近接戦闘用アーム(ブレード)は差し替え無しで収納→展開することができます。ここでも適度な嵌合によって、アームを任意の角度で保持することができるので、通常形態、四脚形態問わずポージングの選択肢を広げてくれます。  強力な威力を誇るカイラル粒子方砲、量産型ゴーストメックの中でも大型機である本機が装備可能な兵装であり、棺桶ユニットの左右どちらのハードポイントにも取り付けられるように対応したパーツが用意され、砲身も差し替えで長短2本が付属しています。  各部位を楽しみながら、気づけばあっという間に組み上がっていました。説明書でも言及されているように、接着剤の使用が推奨されるのは胸部の人間大腕における手先の部分だけであり、他は接着剤を使わなくても十分な剛性と嵌合になっています。この、剛性と嵌合も相まって、組み上がった後にまず驚くのは、通常形態時にリード線による尻尾ケーブルによるサポートが無くても自立可能な重心設計となっている点です。それぞれの脚部は面では無く、点で立つデザインとなっているため、棺桶ユニットや付属する複数の兵装も考慮すればサポートは必須と思っていたところ、これは最後の驚きポイントでした。  もちろん、ポージングのスタイルや長期間のディスプレイとしては、尻尾ケーブルやベースを使用する必要はありますが、プロダクトとしてのクオリティの高さを立ち姿からも感じさせてくれました。こうした点からも、モデラーとしても広く知られ、時には模型誌作例も手がける新川氏による平面やモニターの向こう側だけに留まらない、立体化/プロダクト化された際のことも想定された妙技が現れています。  また、2024年の『ホビージャパンエクストラ 特集:新川洋司ARTS & CRAFTS』内の巻頭インタビューにも収録されているように、「Ma.K.(マシーネンクリーガー)」に代表される造形作家・イラストレーターである横山宏氏からの影響という言及も合わせると、また一層興味深く見る事ができるのではないでしょうか。本キットのスケールである1/20と言えば、現在はカーモデルだけでなく、マシーネンクリーガーの標準スケールとしても広く認知されています。アーティストによる模型誌発のオリジナル造形作品がプラスチックモデルになるという現象の先駆けとなったマシーネンクリーガーと、これに対する新川氏の強いリスペクトが反映されたクリエイター同士の繋がりも感じさせるスケール設定です。  また、本機はゲーム劇中でも非常にフレキシブルに稼働し、迅速に四脚形態にモードチェンジする設定や演技を実現するという条件に則した広い可動域が確保されています。この原則をクリアしつつ、主人公と対峙する凶悪かつ唯一無二の個性的なビジュアルという要素を併存させるべく、生物感のあるフォルムと量感のある棺桶型ユニットを合わせるという発想は、国内外からクリーチャーマスターと評される韮沢靖氏へのオマージュも感じられてさらにグッときてしまいます。このように、人気ゲームタイトルに登場する敵メカニックというだけでなく、日本で連綿と受け継がれてきたSFメカ・クリーチャーデザインの系譜という視点から、今この瞬間も世界へと発信を続けるクリエイターの力を垣間見ることのできる特筆すべきキットでした。  このように、本キットはデス・ストランディングのファンモデラーだけでなく、SFメカ系のキャラクターモデルが好きな方からプラスチックモデルに初めてチャレンジしてみようという方まで広く手に取っていただきたいキットです!さらに、SFメカのイラストを練習したいという方は、直にそのフォルムに触れ、組み立てるというアクションを通したインプットにもなりますし、描画する際のモチーフとしても活用できます。  先日の『第63回全日本模型ホビーショー』のコトブキヤブースでは、さっそくコフィンズの派生機である“コマンダー”のキット化が発表されました。加えて『東京ゲームショウ2025』に続いて公開され話題沸騰の大スケールアクションフィギュアからも目が離せません。さらなるキット、プロダクト展開への期待を胸にコフィンズを組み立て終わったのも束の間、気づくと2機目を追加配備していたのでした。  SFメカデザインとプラスチックモデルプロダクトの現在を同時に目撃することのできる2025年最良のキャラクターモデルキットのひとつを皆さんも是非体感してください!!
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November 11, 2025 at 11:00 AM
【レビュー】タミヤの“旨み”を凝縮。小さくてもリッチな戦車模型「ソビエト陸軍戦車 BT-7 1937年型」 #キットレビュー #戦車・軍用車両 #タミヤMM #nippper #プラモデル
【レビュー】タミヤの“旨み”を凝縮。小さくてもリッチな戦車模型「ソビエト陸軍戦車 BT-7 1937年型」
 アニメ『ガールズ&パンツァー』で大活躍した継続高校の「BT-42 突撃砲」のベース車両となっているのが、今回ご紹介する「ソビエト陸軍戦車 BT-7」です。タミヤは1935年型、1937年型と2種類のBT-7をキット化しています。今回は後期タイプである「1937型」をご紹介します。一見地味な戦車なのですが、プラモデルは超リッチ! ぜひ手に取って欲しい戦車模型なのです。  見るからにコンパクトな戦車。第二次世界大戦の初期だけでなく、1939年に日本との間に起きた「ノモンハン事変」でも投入されて、日本陸軍ともやり合っています。完成したプラモをよーく見てもらうと、金属パーツとかもちらほら見えますね。そう、アップデートパーツを他社のディテールアップパーツから持ってくることなく、最初から箱に入っているパーツだけで、最高にクールでかっこいい戦車プラモが完成するのです。  まだ地味だな〜〜と思っているあなた。キットにはしっかりと本車両の解説シートがセットされています。1935年型より改良された新型砲塔について、そして本車両を経由して生まれたと言われる超傑作車両「T-34」への道も記されています。ソビエト戦車の歴史にとって大事な車両なので、本車両の前後のストーリーも読むことができますよ。  1935年型と1937年型の見た目の大きな違いは「砲塔」です。1935年型の方が、ハチマキ型アンテナがついて見た目にもかっこいいのですが、1937年型はより実戦向きな傾斜装甲を取り入れた砲塔にチェンジします。さらに足回りも異なります。履帯のセンターガイド部がプレス式となり、スプロケットホイールも異なったデザインのものがセットされます。これは、プラモデルを作った人がより違いを実感できる箇所と言えるでしょう。  車体上面のパーツの後部に注目。板(エンジンルーバー)が斜めに生えてます。こんな変わった形状部分も車体と一体成型にしてしまうんです。角度もタミヤが最初からバシッと決めてくれているのも嬉しいですね! しかしこんなにかっこいいエンジンルーバーも、この上からエッチングパーツによるカバーが被されて見えなくなります。作った僕たちだけの秘密ってわけです。  アニキは2体入り。「あっち!」「どっち?」というやりとりが聞こえてきそうなポーズで造形されています。  そして本キットの豪華特典である「エッチングパーツ」。エンジンルーバーカバーやグリルネットなどを、金属パーツだからこそ表現できる薄さと細かなディテールで楽しめます。でもエッチングパーツの扱いってプラパーツよりもプレッシャーがかかりますよね。  安心してください。治具がセットされます。この治具でエッチングパーツを挟み込むことで、綺麗な丸みを帯びたエンジンルーバーカバーを作ることができます。  カバーパーツをデザインナイフで切り出して、治具にセット。そしたら上からもう一つの治具でプレスします。  プレスして、カバーを外せばこの通り! とっても綺麗なエンジンルーバーカバーが爆誕です。車両へのフィッティングも良いので接着も難しくありません。むしろ細切りのネットの方が僕的には大変。カットして貼るだけなのですが、瞬間接着剤を塗る糊代が少なくて、何度もやり直しました。  そしてタミヤの工夫が治具にもう一つ隠れています。センターにゲートのようなものがありますね。これも戦車のパーツになるんです。エッチングパーツを貼った後に登場するので、使い終わった後に治具を捨てないように気をつけてね!  車体は各面を箱を組むように貼り合わせていきます。それにより、本車両の特徴でもある車体側面壁の2重構造を組みながら体感できるようになっています。小さい戦車の中に、本当に多くのこだわりが詰まっているのです。  そしてプロレスラー・スイーツ真壁(真壁刀義)を彷彿とさせる立派な金属チェーンが最高。黒染めされているので、装着するだけで実感たっぷりです。アクセサリーパーツの質感が良いと、一気に模型が引き締まります。  タミヤMMシリーズの中でもコンパクトで作りやすい「BT-7」。そして実車の特徴を体感させてくれる組み立て工程、シャープなプラ製の履帯、エッチングパーツ、金属チェーンとリッチな気分にさせてくれる要素も満載になっています。組んだ後の充実感がとてもある戦車模型ですので、ぜひこの機会にあなたも組んでください。それでは!
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November 10, 2025 at 1:01 PM
圧倒的な物量で「かわいさだけを抽出した美少女プラモ」に挑む中国メーカーのレニーちゃんをレビュー! #キットレビュー #美少女プラモ #nippper #プラモデル
圧倒的な物量で「かわいさだけを抽出した美少女プラモ」に挑む中国メーカーのレニーちゃんをレビュー!
 世はまさに大美プラ時代。この世の全てかどうかは知りませんが、数多くのメーカーからそれぞれ特色を持ったかわいいプラモがでるのは楽しいですね。今回買ったのは、中国の新興メーカーPR Productionから発売、「異世界旅行手帳 01 新人戦士 レニー・ブラウン」ちゃんです。  「デフォルメした女の子のプラモデル」というのは、あんまり見ないところ。誰もいなかったブルーオーシャンというよりは、各社が挑んで散っていった偉大なる航路(グランドライン)と言った趣もありますが、新商品としては新鮮です。中国では「とくに原作はないけどプラモデルファンに刺さりそうなそれっぽいデザインでオリジナルのシリーズを立ち上げていく」というムーブメントが起きていますが、本シリーズでは次作に魔法使いちゃんが控えています。キャラが増えると世界観が広がっていく。いいことです。 しかしなにより箱がでかすぎる。2000円というのでちっこい箱でくるかと思いきや、異常な物量。交換用パーツを多く用意するメーカーさんの設計思想を感じます。  設計思想。まさにこれを感じることがいろんなメーカーのプラモデルを組むことの面白さのひとつと言えましょう。レニーちゃんは細かい関節をくみ上げて可動部位を完成させていく作りです。可動軸のまあなんて細いこと。ちょっと誤ればねじ切ってしまいそう。他の組み立てもピッタリ!とまではいきません。ダボがきついところがあったりとか、少し段差ができるところがあったりとか。色分けなども最低限となっています。  この辺りはその辺に力を割きすぎないようにするという思想なのでしょう。まず定価がある。そこに合わせて、レニーちゃんのかわいいところをみせたい。だから丁寧な塗装のフェイスパーツは2個つけたい。木でできた剣や盾で新人感を出したい、でもパーツを分けたりは難しいから塗装パーツにしちゃおう。ちょっと合わせ目とか出ちゃうけど、もっとかわいくしたいなら頑張って!  「かわいくしたい力」をさらに感じるのがこれ。でっかい箱がコレクションケースになること。これは偉い。ついでに余剰パーツもあらかたしまえて偉い。無論、透明度なんかは市販のケースには敵わないですよ、箱なので。でもこれがあれば「とりあえずここに置いとくか」の気持ちが生まれてくる。完成した、よしどっかにしまっとこう、から、まあ入れるところあるから入れて飾っておくか、になるわけです。  うーん、かわいい姿を見せたいという思想がいろんな角度から攻めてきます。こうなると、ちょっと塗装なんかを頑張ってよりかわいくしてあげたくなりますね。新人戦士と手を取り合って、美プラの海に漕ぎ出すことにいたしましょう。
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November 10, 2025 at 11:00 AM
バンダイスピリッツが贈る約40年ぶりの1:24スケールカーモデル「TOYOTA IMV オリジン」をガチンコレビュー! #はたらくのりもの #キットレビュー #自動車 #nippper #プラモデル
バンダイスピリッツが贈る約40年ぶりの1:24スケールカーモデル「TOYOTA IMV オリジン」をガチンコレビュー!
 ジャパンモビリティショー2025のトヨタブースで披露されたコンセプトカー「IMVオリジン」は、荷台から剥き出しの操縦席が生えたような不思議な見た目をしている。アフリカを主たるターゲットに据えたこのクルマは、未完成のまま出荷されるのが前提なのだとか。工場で土台となるフレームや駆動系を組み立てるにとどめ、最終的な用途に合わせて実際に使う人達がカスタマイズする。荷台を載せるのか、キャビンをくっつけるのかは用途次第。それならプラモデルがあったらおもしろいですね。あった。実物の横に。  バンダイスピリッツがJMS2025のTOYOTAブースでプラモデルを配布しているらしい……というのはSNSで読んでいたが、人気沸騰大行列で到底ありつけないだろうと思っていた。しかし平日の閉場間近であったからか、組み立て体験コーナーを囲む巨大なランナー状の造作をまじまじと見ていたら「いまならすぐにご案内できます」とスタッフに声をかけられた。ラッキー。着座するなりパッケージを渡され組み立てスタート。  再生プラスチックを使ったことを示す「エコプラ」の文字と通り一遍の注意書き。接着剤もニッパーも必要ないということは、ガンプラのエントリーグレードやポケプラクイック!でおなじみのタッチゲートでありましょう。フタの裏に組立説明書が印刷されていますから、そちらを参考に組み立ててくださいとのこと。ハコが大きめでパーツもそこまで多くないので説明書はすこぶる見やすかった。  ランナー(パーツを収めたワク)は2枚。金型ひとつで作った1枚の成形品をパキッと2枚に割って箱詰めしたもので、ビニール袋に入っていないことに驚いてひとりで「お!」と声を出してしまった。スケールは1/24ということだが、軽トラック的なサイズなので乗用車よりもふたまわりほど小さい。色分けや可動ギミックのない単色のプラスチックだが、濃いめのグレーバイオレットのおかげで彫刻の陰影はくっきりして見える。  パーツは見間違えようがないので一気呵成にガシャーっとパーツを外してずんずん組み立て。各部のハメ合わせは軽く、プラモデルに慣れている人ならばものの5分程で完成させられる内容。パーツを外したあとのランナー(=不要部分)の各所にも簡単に折れるよう切れ目が入っており、車体の各部に規則性を持って開けられた3mm穴に差し込めば自分なりにクルマの用途をカスタマイズできるという仕掛けだ。え、実車のコンセプトをプラモデルで理解させるのがうますぎなのでは……。  完成させたモデルをスタッフに持ってもらったので大きさが把握できるでしょう。スケールは1/24ということだが、ゴルフカートに毛が生えた程度の大きさなので可愛らしいサイズ感。運転席を囲うフレーム前面のパーツだけは「こんなんで固定されるの!?」とちょっと面食らう設計だったが、それ以外は本当にガンプラライクな組み味で安心できる。こんなボリュームのものが無料配布されてるってやっぱりすごいよバンダイスピリッツ。  「お時間があればこのプラモデルを使ったさまざまな作例があるので見ていってください」と声をかけられじっくりと見て回るが、どれもこれも熟練のモデラーが作ったと思しき素晴らしい作例(そう、言葉どおり「こんなふうに作ると楽しいですよ!」という例としての"作例"だ)であるため、「うわ、オレもなんかしなきゃ!」とモチベーションがMAXに。会場での位置取り、キットのコンセプト、組み立て空間の設計どれも満点。すばらしいプラモデル体験だ。  バンダイスピリッツ(旧バンダイ)が放つ1/24のカーモデルとしてはおよそ40年ぶりとなるTOYOTA IMV オリジン。こんなにリッチなプラモデルがあれだけ多くの人でごった返す巨大なショーのために作られ、多くの人がTOYOTAとプラモデルに触れる機会を提供していると思うと本当に頭が下がる。願わくば、ここではじめてプラモデルに出会った来場者のなかからひとりでも多くのモデラーが生まれんことを……。市販してくれ〜とは言わないけど、またこんな機会があるといいなぁと切に思うのでした。いや、満腹!
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November 9, 2025 at 1:00 PM
【レビュー】塗らなくても映える、組むだけで惚れる/「エアフィックス 1/72 ウェセックス HC.2」がもたらす最高のヘリ模型体験。 #キットレビュー #軍用機・旅客機 #nippper #プラモデル
【レビュー】塗らなくても映える、組むだけで惚れる/「エアフィックス 1/72 ウェセックス HC.2」がもたらす最高のヘリ模型体験。
 ヘリコプターの飛行機というと、僕はこれまで5機くらいしか組んだことがありません。そんなヘリコプタープラモ体験の中でもぶっちぎりに楽しくて、パーツを眺めるたびに「カッコ良すぎる!」と唸ってしまったのが、この「エアフィックス 1/72 ウェストランド ウェセックス HC.2」です。英国のプラモデルメーカー・エアフィックスが、2025年に完全新規金型で送り出してきたバキバキのプラモデルになります。  まずはこの本体パーツの佇まいを見てください。これまでのエアフィックスの良さでもあるメリハリある彫刻は健在なのですが、決して野暮ったさはなく、彫刻に深さもあることからさらに立体感が増しています。この存在感によって、パーツを眺めるだけ・パーツをそのまま貼って素組みするだけでも最高にかっこいいヘリコプターがあなたの机上に爆誕します。塗る人だけがスケールモデルのかっこよさを表現・体感できるヘリコプタープラモではありません。  こちらはキットのバージョンとは異なりますが、イギリス・ヘンドンのロイヤルエアフォースミュージアムで見たウェセックスHCC4。胴体先端にあるエアインテーク部分がチャームポイント。このヘリコプターはアメリカのシコルスキー S-58を、英国がライセンス生産したもの。運用しながらイギリス独自の改修が加えられ、多方面で活躍したことにより、英国でも認知度の高いヘリコプターとなったそうです。  キットは、ローターおよび機体尾部を折り畳んだ状態も選択可能。そのため展開状態と折り畳み状態用のパーツが混在するので、パーツ数は多く見えます。実際に組んでみると、使うパーツは限られてくるので、見た目よりもカロリーは低いです。  内部のパーツも素晴らしく、その中でもこの椅子はシートの皺の雰囲気まで表現されています。キャビン内に多数の椅子をセットした瞬間、このヘリコプターはこんなに人乗せられるんだ! と椅子が教えてくれるのです。  展開状態のローターは、自重で弛んだ形状で成形されています。この絶妙なカーブが、組み上がったヘリの色気を加速させます。  窓のクリアーパーツの透明度も抜群! 本体同様、クリアーパーツにもめっちゃメリハリある彫刻が施されています。これは塗り分ける人にとってもガイドになって嬉しいですね!  横並びの2人席の合いもピッタリ。コクピット内のパーツがカチカチと合わさっていくので、左右の胴体を貼り合わせるときもガタついたりしません。スイッチ部分のディテールも最高ですね。  そしてアイコンとも言えるエアインテークパーツは、別パーツとして分割されています。このパーツが、胴体にピタリと合わさって、まさにイギリス味を感じるへリコプターのシルエットが爆誕します。インテークのネットパーツは彫刻で表現されています。細かな彫刻によってパーツの情報量がここだけすごく上がっています。プラスチックのパーツだからこその味わいがある部分だなと思っていて、個人的にすごくかっこいいと思っているポイントです。  尾部の部分は折りたたみ箇所で分割されています。ここは接着面積が他のパーツに比べて狭いので、慎重に接着しましょう。  完成!! ローターや尾部の折り畳みのほかに、窓の開閉なども選択できるので思い思いのシルエットをや情景を追求できます。  でも、何よりもこの組んだだけでも非常に存在感あるプラモデルの佇まいに僕は一瞬でやられました。この状態で今部屋のお気に入りスポットに展示しています。2025年生まれの最新エアフィックスの旨みが凝縮されているプラモ。このヘリコプタープラモからエアフィックスの味を知ることができる幸せな人が1人でも増えることを願っています! 最高なのでぜひ!!
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November 9, 2025 at 12:00 PM
スライムと合わせてベースも抜群の良さを感じるドラクエプラモを楽しもう! #キットレビュー #フィギュア #nippper #プラモデル
スライムと合わせてベースも抜群の良さを感じるドラクエプラモを楽しもう!
 しのはらさんの寄稿を読んで「俺もメタルスライムにしたいじゃん!」と叫んだ全国の皆さんこんにちは。私もそのひとりで、思わずポチッたのがこの『ライムスライム ダンジョンベースつき』。草原ベースの方が初期装備で初エンカウントした「あの頃感」を彷彿とさせるのだが、このダンジョンベースの並々ならない造形物としての良さ……すなわち造形パワーを感じたのでこのキットをチョイスした。  箱を開けるとスライムがバーン! ダンジョンベースがドーン!と思っていたよりボリューミー。そして一体成型でズコんと抜かれたダンジョンベースが抜群に良い。想像以上に良い。石組の表面の微妙なうねりがまさに石。って感じ。目地が深く落ちているので石の塊感、石板の厚みを感じられるディテールとなっている。室内灯、自然光のもとで見つめると深い目地にしっかり影が落ちるのでスミ入れ塗装とか不要だと思えた。箱から出したまんまで充分使えるプラモのベースと言える。  ただそれでも「プラスチックをリアルにしてぇ……」という衝動が湧いてはしまうのはプラモ愛好家の性みたいなものだ。なおかつ面倒なく、手軽に。という気分だったので『タミヤウェザリングマスターE(ドライブラシカラー/黄・灰色・緑)』を引っ張り出してきた。戦車プラモのエッジにハイライトを加えて立体感を出すという、専用スポンジ筆付きの簡易ドライブラシセットだ。別売りで細かいタッチを施せるスポンジ筆も用意されていてこれも重宝する。  と、スポンジ筆を紹介しつつも3色のカラーパステルを指で塗りたくっていた私。いや、地味にタッチする面積が広いのである。パステルなのでハンドソープで簡単に洗い流せるので心配無用。そう、なのでプラスチックにまぶしたパステルも簡単に拭えてしまう。トップコートを吹いて保護してもいいし、逆にトップコートの上からタッチを加えていけばパステルが食い付くので剥がれにくくなる。ただ、今回は「ちょっとディテールを足せれば満足」という気分だったのでこれで一旦のゴールとした。  繰り返しになるが、このダンジョンベースは箱から出したまんまでも充分に満足できる造形をしている。こうやってスケールモデルのベースとしても利用できるので活躍の幅は大きいので本当オススメ。小柄な欧州車を置くと旧ヨーロッパの市街地のように見えてくる。いや、1/24スケールの石畳としてはひとつひとつの石が大きすぎかな? どうあれシンプルな構成ながら100点満点のフォルムのスライムが良し、ボリューミーかつ満足ディテールのベースが良しのナイスキットだった。そして3色のスライムを揃えてスライムタワーを建立させるのもちょっとしたロマンがある。ドラクエプラモの第一弾としては大成功な内容なのでは? 次のモンスターも楽しみだなー。
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November 9, 2025 at 11:00 AM
【レビュー】キュートなグローグーと至高のメカチラのプラモデル/スター・ウォーズ マンダロリアン N1スターファイター #キットレビュー #SFメカ #nippper #プラモデル
【レビュー】キュートなグローグーと至高のメカチラのプラモデル/スター・ウォーズ マンダロリアン N1スターファイター
 バンダイスピリッツからひさびさに発売されたスター・ウォーズプラモデルの新作、N-1スターファイターです。ハコ開けるとネロネロに輝く銀色のパーツとド渋い焼鉄色のゴチャメカパーツが飛び出してきて気分がブチ上げ。やはりメタリックパーツは人の心を踊らせてくれます。1/48スケールという表記ですが実在する戦闘機と比べるとだいぶ小さいんだなキミ……。  そしてこのキットの白眉はグローグーです。宇宙子連れ狼冒険活劇こと『マンダロリアン』に登場するヨーダと同じ種族の赤子(50歳)です。超可愛い。機体後部のガラスドームに収まった姿とマンドーに抱かれた姿の2ポーズがそれぞれワンパーツで表現されており、小指の爪くらいの大きさながらその愛くるしいフォルムが存分に表現されているのがわかります。袖と手の関係とか、良すぎるだろ……。このパーツのために買っていいよこのプラモ。  そしてマンドーは「単品」と「グローグーを抱いた姿」の両方が楽しめるよう2体入り。片方のマンドーには腹部にグローグーを嵌め込むための穴が空いており、しっかりと両腕の間に乗せて宇宙を航行できます。『マンダロリアン』は私の息子が生まれる前に始まったドラマですが、いまではこの姿勢でメシを食べたりテレビを見たりするのが日常化しており、現実子連れ狼冒険活劇の楽しさとハードさをもってマンドーと心を同じくするわけです。  プリクエル・トリロジーやクローン・ウォーズに登場したナブー・スターファイターを出自に持つN-1スターファイターですが、共和国滅亡後の世界で老朽化とレストアが施され、「見た目はボロだけど性能はピカイチ」というSWのオリジナル・トリロジー成分を味わえてしまうという超美味しい文脈こそが本機の見どころ。肉眼では追いきれないほど複雑で精緻なメカの彫刻が入れられた内部パーツは見ているだけでも興奮する仕上がり。バンダイのスター・ウォーズプラモはこうでなくっちゃ……。  レンゲの上にミニラーメンを作って食べる人間を良しとするか否か……という問題は人類が滅亡するまで議論され続けるのでしょう。そしてここにもまた、宇宙駆けるレンゲの上にギチギチのディテールが入ったメカパーツが重層的に隙間なく詰め込まれた様子があり、スター・ウォーズの存在する世界で良かったなぁと思いを新たにするわけです。どういうわけでしょうか。  こんな内部メカは共和国ありし日には流麗極まりない外装によって覆い隠されていたわけですが、マンドーが乗る機体は外板が穴だらけ&左右非対称なディテールでいわゆる「メカチラ」を存分に味わえます。とは言え内部メカのほとんどは見えなくなるのでそれをどう活かすかはユーザー次第といったところ。そうそう、コクピット後方の丸いところには先述したようにグローグーを乗せるか、あるいはR5ユニットを乗せるか選択式となっています。  ひとつだけ問題があるとすると、これまでのバンダイスピリッツ製プラモの中でも最高レベルに光輝感の強いシルバーをプラスチック素材で表現するために、外板のパーツにはかなりの量のクリアープラスチック(透明でツヤのある表面を形成し、金属光沢を強調してくれるがとても硬い)が混ぜ込まれています。 おかげでプラスチックの柔軟性が著しく低く、いちどバチンとパーツを組み付けると取り外しがきわめて困難になります。とくに胴体中央上下のパーツなどは無理に外そうとすると変形するより前にビシッとパーツが割れてしまいそうになるので、上下で挟み込むパーツを入れ忘れたり、セットの方向を間違えたりしないよう充分気をつけてください。  ナブー・スターファイターのプラモデルと言うと古くはドイツレベルやファインモールド製のものがあったなぁ……とちょっと遠い目をしてしまうのですが、こうして(違う姿に姿になってはいますが)バンダイスピリッツ製のシャキシャキなモデルとしてふたたび世に送り出されたことに感慨を覚えます。 美しさと無骨さを同居させたデザイン的なアイディアもさることながら、「まだバンダイスピリッツからスター・ウォーズ関連の新製品が発売されるんだ!」という嬉しみも合わせて非常に幸せな気分になれるN-1スターファイター。手に取れるうちにぜひともお買い求めください。そんじゃまた。
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November 8, 2025 at 1:00 PM
【コトブキヤ直営店限定】“ゴジラ(1989)”購入で、「スーパーX2のプラモデル」がもらえる! #キットレビュー #ロボット・アニメメカ #ヒーロー・怪獣・モンスター #nippper #プラモデル
【コトブキヤ直営店限定】“ゴジラ(1989)”購入で、「スーパーX2のプラモデル」がもらえる!
 コトブキヤの「ゴジラ(1989)」を、コトブキヤ直営店(コトブキヤ立川本店、コトブキヤ秋葉原館、コトブキヤ日本橋-大阪)で購入すると、なんと『ゴジラVSビオランテ』に登場したメカ「スーパーX2」のプラモデルがゲットできます。プラモを買うともう一つプラモデルがもらえるキャンペーンって、マジですごいですね! 店頭在庫限り(オンライショップ版は売り切れ)なので、ぜひ今すぐゲットしてください。壽屋(KOTOBUKIYA) 『ゴジラVSビオランテ』 ゴジラ(1989)  本キットは、ゴジラとのサイズ比に合わせて立体化。しかも完全新規造形となっています。こんなやばいプレゼントプラモ、なかなかありませんよ!  小さいサイズでも存在感が出るように、各パネルラインのメリハリはくっきり。本体下部の推進器のディテールは本キット最大の見所! 成型色もグリーンなので、ここと後方のノズルをメタリックで塗ってあげるだけで雰囲気抜群になります。  スーパーX2と言えば、機体前部に装備された主武装の「ファイヤーミラー」。少年時代にスクリーンで見た時は大興奮しました。こちらはパーツの差し替えで表現されます。  ちょうど手に収まるミニチュア感が、とても気持ち良いです。こんな風に握って、ゴジラの周囲を飛行させて遊んでいると、少年時代に『ゴジラVSビオランテ』を観た思い出が蘇ってきます。気軽に組めて、満足感もある素晴らしいキャンペーンプラモです。ぜひまだ店頭にあるうちにゲットしてください! それでは〜〜。
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November 8, 2025 at 11:00 AM
無責任なデカさが欲しい/Valom 1:72 Handley Page H.P.54 Harrow #キットレビュー #軍用機・旅客機 #nippper #プラモデル
無責任なデカさが欲しい/Valom 1:72 Handley Page H.P.54 Harrow
 たまに大きな飛行機が作りたくなる。綺麗に箱に収まったプラスチックの部品を言われるがままに組み立てるととんでもない大きさになって、ものすごい高揚感に包まれるのと「これはどこに置くのだろうか」と困惑するといった二つの感情に同時に襲われるのがたまらなく気分がいいのだ。無責任にそういうことをできてしまうというか。  Valomの1/72 Handley Page H.P.54 Harrowは翼がほとんと映らないくらいの構図で書かれた箱絵が印象的だった。予想もつかない大きさを期待させるのも良いと思って購入した。1/72というスケールで完成サイズがものすごく大きい飛行機のプラモデルを作るのは初めてで、パーツを見るとコックピットと機体の大きさのギャップに改めてデカさを感じた。  箱を開けてみるとプラスチックの色がとても綺麗なベージュ色。この色ってたまに東欧のプラモデルメーカーで見かけることがあるけど、箱を開けてみるまでわからないので出会えるとラッキー。それ以外にも、ものすごい小さいエッチングパーツとレジンでできたエンジンが入っていて、見た目は大きい飛行機だが細かい部分も再現していくぞという気持ちを感じる。  組み立てようとしてパーツを切って合わせてみるとちょっと変わった作り心地であることに気づく。切り欠きを頼りにパーツを合わせたり、薄く引いてあるスジ彫りが接着剤をいい感じに逃がしてくれたりと些細な工夫が組み立てをガイドしてくれている点がそれで、意味がわかると容量がつかめてくるのが新鮮だった。 言語や文化風習が異なる国の人と共通のテーマでコミュニケーションが取れたような感覚は「Valomへの理解が進んだ」と言いたくなるような気持ちにさせてくれる。  エッチングパーツがものすごく柔らかくて、シートベルトをシートに追従させるのはたやすいが、手元で操作するレバーは小ささもあってグニャグニャとした仕上がりになった。それでも「ここまで手を入れたんだ」と思える達成感はひとしおだった。 胴体に座席をつけてみると改めて実感するけど、この飛行機は本当に大きい。翼をつけたらとんでもないことになりそうだが、完成した姿を早く見たいし、「作ったはものの……」と部屋をそそくさと片付ける時間も楽しみである。
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November 7, 2025 at 11:00 AM
花金だ!仕事帰りに買うプラモ。TV放映から42年。遂に「1/24スケールプラモデル」で爆誕したラビドリードッグを思いっきり楽しもう #キットレビュー #ロボット・アニメメカ #ボトムズ #nippper #プラモデル
花金だ!仕事帰りに買うプラモ。TV放映から42年。遂に「1/24スケールプラモデル」で爆誕したラビドリードッグを思いっきり楽しもう
 週末の模型ライフが楽しくなっちゃうプラモを、フミテシの独断と偏見でお届けする「花金プラモ」。今週は、TVアニメ『装甲騎兵ボトムズ』を愛する最低野郎(ボトムズファンのことを指します)が歓喜した究極のボトムズプラモ「PLAMAX 装甲騎兵ボトムズ SV-04 1/24 Scale X・ATH-02-DT ラビドリードッグ」をご紹介します。TV本編において、主人公のキリコが最後に登場する最強のAT(アーマードトルーパー、装甲騎兵ボトムズに登場する人型のロボット兵器)を、この週末に作ろうぜ!!  まず「1/24スケール ラビドリードッグ」のプラモデルという単語だけで、ロボットプラモの様々な怨念や憧れがそこかしこから湧き上がってきます。そのお話をしてしまうと、プラモを作らずに花金の向こう側(それは土曜日)を迎えてしまうので、濃い話はnippperライターでも屈指のボトムズファンである、けんたろうさんに今度してもらいましょう。  とにかく、『装甲騎兵ボトムズ』のクライマックスメカでありながら、ボトムズプラモのメインスケールである「1/24スケール」のプラキットがどのメーカーからも発売されなかったのです。アニメ放映が終わって40年以上たった今、遂にプラキット化されたということだけで事件なのです。  そういったお話も、マックスファクトリーの代表取締役社長のMAX渡辺氏の言葉で語られます。『装甲騎兵ボトムズ』と共にモデラー人生を歩んできたMAX渡辺氏の言葉には重みがありますので、ぜひ読んでください。  ではプラモデルの話に参りましょう。PLAMAXのボトムズシリーズ、ストライクドッグとブラッドサッカーは、かつてマックスファクトリーが発売してきたレジェンドソフビキットをベースに開発されてきました。しかし、このラビドリードッグは、マックスファクトリーもソフビキットでは発売してないモチーフ。そのため、第1弾のストライクドッグをベースに、ラビドリードッグ部分は完全新規でデザインされています。このデザインに立ち向かったのが20代前半のマックスファクトリー原型師・相樂ヒナト。ここにあるフィギュア以外の新規パーツは、彼の手で生み出されています。そのこだわりも、説明書内で解説されています。  こうやってみると新規パーツの量も膨大なのが確認できます。まさにストライクドッグをベースに性能を向上させた機体という設定の流れを、プラモを組むことで楽しめるのです。  個人的にすごくかっこいいアレンジだと思ったのが、脚部のサンドトリッパー(砂漠走行用の装備)の解釈。設定イラストでは、ベルトコンベアみたいなシンプルなディテールなのですが、現代の戦車の履帯を思わせるようなデザインとなっています。1/24スケールという大型モデルにおいて、この解釈はディテールの密度感も気持ち良くなるので、素晴らしい選択だと思います。そして何より、しっかりと走りそうです。組み立てしやすくなるように、少ないパーツ数で分割しているのも良いですね。  放映当時に発売されたタカラの伝説的プラモデル「1/24 スコープドッグ」の肩には、設定画にはない「リブ」が刻まれていました。プラモデル化するにあたって彫刻されたこのリブは、ボトムズファンにとってはお馴染みのディテールとなり長い間愛されています。そして、PLAMAXラビドリードッグでもこの肩のリブが表現されています。  しかし、第1弾のストライクドッグにはこのリブは表現されておらず、設定画のようなつるんとした肩にリベットが打ち込まれていただけでした。その理由を開発担当者に聞いてみると、「ストライクドッグの後に、ラビドリードッグを出すことは決まっていました。その時にあのリブを肩につけて、ストライクドッグがアップデートされて生まれたATなんどぞというメッセージを込めたいんです」という狙いがあったそうです。派手なディテールではないですが、プラモ化によって生まれたディテールをどう解釈して自分たちの商品に落とし込んでいくのか……そんなこだわりを知ることができる、素敵なディテールとパーツなのです。  中央のカメラの曲面が非常に美しい流れでバイザーと融合しています。頭部の形状は、何度も修正を繰り返したそうで、説明書の中には最初期の頭部のCGデータから完成までの変遷も紹介されています。ぜひキットを組んだら、そのCGと見比べてください。  ストライクドッグの胸部にも同じような装甲が付くのですが、ラビドリードッグはより大型化された装甲が付きます。設定画のラインも、かなり丸みを帯びた形状で描かれていて、PLAMAXもそのラインを拾った丸みのあるパーツで表現しています。箱のようなボディに、実際の突撃砲などに見られるコンクリ装甲みたいな丸みあるパーツが胸部のアクセントとなってかっこいいのです。  背中のミッションパックや、ハンディソリッドシューターと言った武装の分割は素晴らしいです! 本体を組んだ後に、武器の製作にカロリーはかけたくない! というメッセージがビンビン伝わってきます。  左右分割ではなく、このように輪切りのように3分割されたハンディソリッドシューター。あっという間に完成する上に、合わせ目なども目立ちません。  おまけにしては凄すぎるのが、フィアナが搭乗したベルゼルガDTが装備しているアサルトライフル。左右貼り合わせたパーツに、上からカバーをするようにパーツをセットすることで、よく見える上側に合わせ目が一切来ない分割になっています。  壊れた左腕パーツも付属するので、アサルトライフルを持たせれば最終回「流星」でのシーンも楽しめます。ベルゼルガDTを突き飛ばしたと同時にアサルトライフルを奪っているキリコの凄技に、びっくりさせられます。  そして搭乗者の主人公、キリコ・キュービィー。フィギュアメーカーであるマックスファクトリーですから、こちらも素晴らしい造形でプラキット化されています。通常の顔とワイズマンを欺くために演じていた際の邪悪タイプ(キリコは演技も上手い)の顔がセットされます。台座も、ミニマムファクトリーシリーズで培われたヴィネット形式となっているので、キリコ単品としても成立するプラモとなっています。  完成すると圧巻の迫力。でも4時間もあれば完成します。両手・両足もシンプルな構成となっているので、ストレスなくサクサク組み立てられるので、最高に気持ちの良い週末になること間違いなしです。令和の世に、遂に「1/24スケール」として世に放たれたラビドリードッグ。この祭典にぜひあなたも参加して、最高のロボットプラモデルを机上にお迎えください。それでは!!
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November 7, 2025 at 3:00 AM
プロが考えた「うまく作る」のすべてがここにある/JMS2025✕キッザニア MAZDAブース観察記 #コラム #nippper #プラモデル
プロが考えた「うまく作る」のすべてがここにある/JMS2025✕キッザニア MAZDAブース観察記
 東京ビッグサイトで開催されているJAPAN MOBILITY SHOW 2025の会場には、コンセプトカーやステージイベントのキラキラとはまったく雰囲気の異なる「キッザニアコラボゾーン(アウト・オブ・キッザニア)」があって、ここがすこぶる面白い。小学生を対象にしていながら、わずか30分で「砂型鋳造・磨き・塗装職人の仕事」を一気通貫に体験できる……ということからSNSでもだいぶ話題になっていたマツダブースを覗いてみると、ちょうど体験終了を告げるブザーが鳴り、子供たちがイスをしまい、「終業」の挨拶をしているところに出くわした。そこから次のローテーションとなる30分間を最初から最後まで見学したところ、私は心の底から感動してしまった。というわけで、そのレポートを書きたい。書かせて。お願い。  大前提として、アウト・オブ・キッザニアに訪れる子どもたちの年齢や経験値、手先の器用さはバラバラである。しかしマツダブースには「正しい用具の選択と使い方、工程の意味の説明、工程の平準化を精密に積み重ねれば、わずか30分の間に未経験者が砂型鋳造と磨きと塗装を完了させられる」というガチンコの体験があり、そのなかで誰でも安全に美しい成果物を得られるように工夫する……という生産現場の工夫と試行錯誤の真髄があった。ちなみにこうした体験会は今回が初めてではなく、MAZDAが数年前からさまざまな場所で開催しながら内容がブラッシュアップされ続けている、ということはあらかじめ言い添えておきたい。  スタッフに促されて「ヨシ」と指差し確認しながら入場した子供たちにまず手渡されるのは、3Dプリンターで出力された樹脂製の原型だ。全長50mmほどのマツダ・ロードスター(ND)のボディを象ったちいさなカタマリに太い湯口が付いている。子供たちは緊張した面持ちでそれを木製の型枠の中央に置き、コップに入った細かい鋳造砂を流し込む。金属を流し込んでも崩れないようチューニングされた稠密な砂を観光地にあるスタンプのような工具でトントン突き固めていくと、小さな鋳型ができる。こぼれた砂は作業台の端にある排出口に掃き集めるよう指示があって、作業スペースを汚さないことの重要性もそっと教えてくれる。そうだ。僕らも作業台はいつだってキレイにすべきである。  型枠を持ち上げて底面から原型を注意深く外すと、砂の中にロードスターの反転型が出来上がっている。砂型を壊さないよう子供たちがそ〜っと移動する先は鋳造コーナーだ。電熱器の上に据えられた鍋の中身で溶けているのは毒性が少なく、見た目にも金属光沢が美しく、さらに231.9℃と融点が低い(=融解も凝固も早い)スズ。溶けたスズを型に注ぐスピードが遅すぎると途中で冷えて固まってしまい、型の奥まで届かない。反対に一気にドバッと注げば空気の逃げ場がなくなって成形不良を起こしてしまう。実際に注型を担当するのはそうした勘所を熟知したMAZDAのスタッフで、柄杓で掬い上げたスズを子供たちの作った砂型に注ぎ、子供たちはアクリル製の防護板越しにその様子を眺める。 注型が終わり、スタッフが湯口に「魔法のステッキ」(高い熱伝導率を持つ真鍮棒)をそっと当てると、型の中のスズは熱を一気に奪われて凝固する。スタッフはさらに砂型から取り出した成形品を水にくぐらせて温度を下げ、手際よく湯口をカットし、金属ヤスリでバリを削り取ってから銀色のロードスターを子供たちに手渡す。  次に訪れる磨きの工程では、まずスタッフがロードスターをヤスリで磨く前と後のサンプルを示し、磨く理由とその方法を説明する。ベルクロを貼った薄手のスポンジ(これも硬すぎず柔らかすぎないものが選ばれている)を当て木代わりにした#400の布ヤスリが手渡されると、子供たちは無心にロードスターの表面をゴシゴシと研磨する。 ブースの外周に立っていたスタッフに#400の布ヤスリを選んだ理由を尋ねたところ、「いろいろと試した結果、子供たちの手の力にもっともマッチしていたのがこの番手。こまかな逆エッジまでキレイに磨くのは時間的に難しいので、磨いた効果が見た目にわかりやすいほうを選んだ。段階的にヤスリの番手を上げていけば鏡面にもできるが、表面が滑らかになりすぎると次の工程で塗る塗料含まれたフレーク(金属製の小片)が寝てしまって見た目が地味になってしまう。あえて磨き目を残すことで表面に細かな凹凸が残り、キラキラ輝く塗装面になる」と淀みなく説明され、私は圧倒された。僕らはなぜヤスリをかけるのか、何番まで磨くとどういう効果があるのか、自分でちゃんと説明できたっけ。  磨きに与えられた時間はわずかに2分。しかし研磨されたスズの表面と同じようにキラキラした表情の子供たちは大事そうに工作物を手のひらに乗せ、今度は塗装工のコーナーに着席する。塗装ブースはモデラーにもおなじみのエアテックス製レッドサイクロンが2台。安全面を鑑みると有機溶剤を含む塗料は使用できないため、プラモデル用マーカーから中身を抜き出したアルコール系の塗料を使うのだそうだ(メタリック塗料のフレークが寝てしまう……というのは乾燥に比較的時間のかかるアルコール系塗料を使うからか!)。 これを吹き付けるのに使うのはアネスト岩田製のSPARMAX FLYER-SR2というかなり独特な機構のハンドピースである。聞けば、当初はペン型のマーカーをそのままエアブラシ化できるツールを使ったこともあったのだが、塗料の撹拌、ペン先位置の調整、乾燥したペン先の交換など気を使うことが多く、何日もわたり断続的に同じ塗料を安定して吹き続けるのには不向きであることがわかったため、洗浄いらずで塗料の補充も簡単なディスペンサータイプのSPARMAX FLYER-SR2を探し当てたのだという。極めて合理的な選択だ。  さらにハンドピースの側面には蛍光オレンジの矢印シールが貼られ、どの方向に塗料が出るのかがひと目でわかるようになっている。間違えて自分や他人に向けて塗料を吹き付けてしまわないようにする配慮であるとともに、ハンドピースに装着されたボトルの向きと噴出方向が一致していないという構造上の特性を子供にも直感的に理解させるための工夫なんだとか。 「つまり、プラモデルを嗜むスタッフがこの企画に関わっているということなんですか?」と尋ねると、先程のスタッフは「いいえ」と言いながら首を横に振る。それぞれの工程に必要なものが何なのかを洗い出し、それに最適なツールとマテリアルをリストアップし、調達し、テストし、比較検討し、最適化した結果がいまご覧になっているブースです……と。すごすぎるだろマジモンの製造現場の工夫。  塗装スタッフは紙製のテストピースを実際に塗りながら、短く明快に「いつもお箸を持っている手でガンを持ちましょう」「近くで吹くと塗料がこんなふうにタレます。5cm以上離れたところから吹くとうまくいきます」と指導する。指示に曖昧さがなく、塗り残しやムラも的確かつ優しく指摘されるので、子供たちはたった40秒の持ち時間のなかで回転台をくるくる回しながら塗装を終え、しっかりとメタリックレッドに塗られたロードスターが現れる。レクチャーを担当しているのは実際の塗装工で、技能オリンピックに出場したスタッフも混じっているのだとか。オリンピアンに塗装を教わる小学生、贅沢すぎる。羨ましいぜ。  塗装が終わると、ロードスターのボディは回転台の上の金属トレイごと持ち上げられ、スタッフの手によって130℃に設定されたドライブースへ入れられる。トレイの形状はボディに直接触れずに持ち上げられるように考えられており、安全確実に生乾きのボディを輸送できるよう加工された手製の治具だ。そうだよ、塗った直後のパーツを触ったり落としたりしないように、プロは確実な方法を考えて実装するんだ……。 全員の作業が終わるまで子供たちは席で静かに待ち、乾燥を終えたロードスターが再度水で冷却され、ブロワで乾燥される。子供たちに手渡されるシリアルナンバー入りの紙ケースにはロードスターが両面テープで固定され、上から透明カバーが被せられている。もし何らかの理由で塗料が完全に乾いていなかったとしても、家に帰るまではロードスターに触れないようになっており、展示台座になる底板を引っ張り出すかケースのまま展示するかはあとから選択できる……というのもまた、モデラーならば感じ入ってしまう気の使いようではないか。  こうして30分のプログラムが一巡し、ブザーで終業が知らされ、立ち上がってイスを机の下に戻して全員で挨拶。ここでも行動はあくまで安全確実な工程の一部としてデザインされている。短い時間の中で、子供たちはひとつのワークのスタートからゴールまでを滞りなく体験し、そのすべての工程が「どうすれば誰でもきれいに作れるか」を基準に設計されていることを学ぶ。安全性、効率、仕上がりの再現性、これらが無作為に訪れる小学1年生から6年生の子供たちに対し、均質かつ間違いなく提供されることのスゴさよ……。  ブース全体の構成も見事だ。スタッフによれば、1日に何巡も繰り返される体験のなかで、常に同じ品質とテンポを維持するため、工程管理はもちろんのこと、用具の選択や配置、交換の頻度、声のかけ方、スタッフと子供の導線設計までもが本社工場のなかで綿密にシミュレーションされてきたのだという。さらにこれを構築して子供たちに教える側のスタッフにとっても、工程の平準化と現場の効率化、時間遵守やコミュニケーション方法を考え抜くこと自体が教育的な効果を持つ。本番では普段は接することのない人たち(体験に来る子供だけでなく、その保護者や他メーカーのスタッフ、自社の別部署の人たち)とのコミュニケーションもすることになり、結果的にどこをとってもこの企画がスタッフの技能や意識の向上につながる……という趣旨の説明に頷き過ぎて首がモゲそうになる。  最も印象的だったのは、現場に「気合い」や「根性」といったムードがまったく存在しなかったことだ。すべては適切な工程のマネジメントによって成立しており、子供たちはその中で自然と正しい動きをしている。こういう催しはとかく「日本のものづくり」「職人の技」「子供向けなのにガチ」みたいな持ち上げられ方をするものだが、何かを作ることの難度は作業者の国籍やスキルや年齢によって変化してくれるわけじゃない。むしろ、どんな人が取り組むにあたっても、やるべきことを明快にして正しい用具を選択し、そして目的と用法をどれだけ理解をしているのかに大きな意味があるのだと思う。 そのことはブースの外周から見守る保護者たちにも自然と伝わっていて、ともすれば失敗や事故につながる(ある意味で「あぶないこと」を含んだ)作業に子どもたちがしっかりと集中力を持って取り組んでいるのを見て「スタッフが自分の子供を信頼して作業に臨ませてくれている様子が本当に嬉しい」と驚き、感謝していた。私が保護者の面々と同じ感動を味わっている間にも、スタッフたちは次のターンに向けて作業場を整理整頓し、材料を補充し、来場者との記念撮影に応じていた。  僕らがプラモデルを作ることは、工場で物を作るのとは確かに違う。しかし、なぜその道具を使うのか、どのくらいの時間をかけるのか、どこに注意を払うのかを理解し、手順を正しく踏むよう意識すれば、誰でも速く美しく作れる……という点において、両者に違いはない。趣味と呼ばれる領域の中でも、目的と手段をクリアにしてこそ良い結果が得られるというのは普遍的な原理である。 JMS2025のキッザニアのなかでひときわ輝いていたマツダのブースは、それを徹底的に可視化した奇蹟のような現場だった。僕らがプラモデルを趣味としているからこそ、安全確実に速く美しい仕上がりを得られる道具やその用法、それを扱う所作に対して常に真剣に向き合っていくことの大事さ。当たり前のようでとても難しいことを、オトナと子供が手を取り合って実践的かつ鮮やかに示してくれたことに、私は心の底から感謝している。
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November 6, 2025 at 1:01 PM
手のひらサイズの決定版!「HMA 1/144 グリペン」は、武装てんこ盛りのスゴイやつだった! #キットレビュー #軍用機・旅客機 #nippper #プラモデル
手のひらサイズの決定版!「HMA 1/144 グリペン」は、武装てんこ盛りのスゴイやつだった!
 高速道路を滑走路代わりにして離着陸できてしまうという、スウェーデンが生んだコンパクトファイター「JAS39 グリペン」。その独特のデルタ翼とカナード翼が織りなすフォルムは本当に美しいです!  このグリペン、1/144スケールではこれまで「これぞ決定版!」と言えるキットになかなか恵まれていませんでした。しかしそんな中で誕生したHMA 1/144 グリペンは、まさに私の渇望を満たしてくれる、最高のキットになりました。今回は、デカールとパッケージが一新された「リニューアル版」を無塗装で素組みして、その魅力をじっくりとレビューします!  シャープ!そして薄い!「キリッ」としたパーツたち。パーツを眺めて驚くのがそのシャープさです。1/144スケールでは、どうしても厚ぼったくなりがちな主翼や各動翼の後縁が、しっかりと薄く成形されています。パーツの形状も全体的に「キリッ」としていてダルさを感じさせません。  機体表面のパネルラインも、くっきり、かつ繊細に彫刻されています。これは塗装派の皆さんにとっても嬉しいポイントですね。塗装後にスミ入れ塗料を流し込むだけで最高に映えること間違いなしです! またキャノピーも薄く透明度が高いので、コックピットの中もしっかりと見ることができ、完成後の満足度をグッと高めてくれます。 このキットを組んでいて僕が特に好きになったポイントは、武装パーツがめちゃくちゃ充実していることです!  1/144のキットだと、武装は「おまけ程度」だったり、そもそも付属しなかったりすることも珍しくありません。しかしHMAのグリペンでは、空対空ミサイルや対地ミサイルなど、3種類ものミサイルに加えて、偵察ポッドにセンタータンクも付属しているのです。「今回は空戦仕様でいこう」「いや、対地攻撃仕様も捨てがたい…」。そんな風に自分の好きな武装パターンを自由に選んで搭載できる。これは本当に楽しいです!  組み立てはサクサクと進み、あっという間に手のひらにすっぽりと収まる、可愛くて、それでいて凛々しいグリペンが完成しました。今回のリニューアル版は、デカールも刷新されています。たくさんのマーキングの中から、自分の好きな機体を選んで仕上げる楽しみも待っていますよ。ぜひ皆さんのお気に入りのグリペンを作ってください!
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November 6, 2025 at 11:00 AM
文学とプラモの交差点──F-86セイバーと楽しむ村上春樹の世界/「風の歌を聴け」 #キットレビュー #軍用機・旅客機 #nippper #プラモデル
文学とプラモの交差点──F-86セイバーと楽しむ村上春樹の世界/「風の歌を聴け」
 世の中に「飛行機やプラモデルについて書かれた本」はごまんと存在する。プラモをメインに据えたホビー雑誌は国内外の隔なく何タイトルも存在するし、写真集や資料本など数えきれない。しかし、文中で飛行機や戦車、プラモデルが登場するのは何も専門誌だけではない。小説を読んでいるとふとした場面で美しい銀翼の戦闘機が登場して、快晴の青と日光を受けてギラギラと輝く銀翼とのコントラストが頭から離れなくなってしまうこともある。村上春樹のデビュー作『風の歌を聴け』もそういった印象を与えてくれる小説だ。  『風の歌を聴け』は1970年の夏、大学生の僕が友人の「鼠」やジェイズ·バー、店主のジェイや様々な女の子たちとの出会いや別れを描いた小説で、村上春樹が発表した初めての作品だ。全部で40の章で構成される中、第31章で以下のようなシーンが登場する。  晴れわたった空を、何機かのジェット機が凍りついたような白い飛行機雲を残して飛び去るのが見えた。 「子供の頃はもっと沢山の飛行機が飛んでいたような気がするね。」(中略) 「P38?」 「いや、輸送機さ。P38よりはずっとでかいよ。とても低く飛んでいた時があってね、空軍のマークまで見えたな。・・・・・・あと覚えてるのはDC6、DC7、それにセイバージェットを見たことがあるよ。」  村上春樹『風の歌を聴け』講談社,2004年,114~115頁  「僕」と「鼠」がホテルのプールで空を見上げて昔の思い出に触れるシーンだ。これを読んだ私は、ふと模型棚の中にセイバーのキットを積んでいたのを思い出した。「フジミ 1/72 F-86-F40 バリューセット」。バリューセットの名の通り、各航空団のデカールにブルーインパルスのデカールをセットした何とも贅沢な一品。ブルーインパルスカラーも捨てがたいなぁ・・・・・・などと思いながら、先ほど読んだシーンを思い返す。  この綺麗な流線型の機体を組み立てて銀色に塗り、あのシーンのような青空に浮かべてみたらきっと清々しいだろうなぁとパーツを撫でてみる。塗装前の、組み立ててすらいない(主翼だけは過去の自分が組み立てていた)パーツのツヤ感と繊細な筋彫りが美しい。しれっと空対空ミサイル「AIM-9 サイドワインダー」が付属しているのも嬉しいポイント。ところどころに見えるバリも、このキットが長年愛されてきたことをうかがわせる。   『風の歌を聴け』以外にも、飛行機が登場する作品は多数ある。本を読み、作中に登場した飛行機のプラモを手元に置いて、作品世界に二度没入する。プラモ好きだからこそできる作品の読み解き方、ぜひお試しあれ。
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November 5, 2025 at 1:00 PM
ずっと友達になりたかったんだ/タミヤのトレイルミニ四駆「ファンブルン」 #キットレビュー #自動車 #mini4wd #nippper #プラモデル
ずっと友達になりたかったんだ/タミヤのトレイルミニ四駆「ファンブルン」
 確かな知名度とともに幅広い世代から愛されている「ミニ四駆」。正直に言いますと、ちょっと苦手でした。 たとえば多くのミニ四駆の車体にある、前後に突き出た突起部分。バランサーやポールを配置する箇所ですが、本来の車にはないその部分を「意味はわかるけど、リアルじゃない」とうまく消化できなかったり、レースするには、キット以外のパーツが多少なりとも必要になったり……。「そんなこと?」というような理由ですが、興味はありつつ距離を縮められなかったホビーでした。  しかし! 先日、ミニ四駆界にニューカマー「トレイルミニ四駆 ファンブルン」が現れました。スピードより力強い走りをアピールポイントとしており、バギーのようなデザインには例の突起部分もありません。出会った瞬間こう思いました。「これはアリかも!」と。新しい名前まで用意した新シリーズに巡りあえたのはチャンスだと、このキットを手に取ったのでした。結論から言うと、やっとミニ四駆と友達になれました。ミニ四駆の楽しみ方の一端にようやく触れることができたのです。  キットの中身は至ってシンプル。多くないパーツたちと、いつものプラモデルでは見ない金具やシャフト、そしてモーター。初めてでも分かりやすい構成ですね。 説明書を広げると、まず駆動部の組み立てが始まります。スモークグレーの部品達には、車の駆動部“っぽい”ディティールが詰め込まれており、オフロードらしいトレッドが刻み込まれたタイヤも相まって、「これからどんなところも走れる車が完成するぞ!」という気持ちをグッと高めてくれます。シンプルな組み立てが続く説明書ですが、ついやってしまいそうなミスや避けるべきこと(シャフトの扱いなど)を丁寧にフォローする文章が差し込まれていて、さすがタミヤのノウハウを感じます。  駆動部が組めれば、あとはもう少し。ドライバーと車体をパコッと嵌めれば完成です! 組立がシンプルだったので、塗料でサッと塗装してしまいました。シールも貼ればより鮮やかなマシンが現れます。早速電池を入れて走らせると、歩くくらいのスピードでグングン進みます。坂道だって、多少のデコボコだって突き進む! 自分の手で作ったものが「動く」というのは普段のプラモデルでは得られない興奮。ミニ四駆の楽しまれ方は数あれど、このプリミティブな感動はミニ四駆だからこそ得られるものです。「これは楽しい!」と、その魅力の一端を垣間見たのでした。  「ミニ四駆って、お店でガーガー言いながらコース回ってるやつでしょ?」とか、「別売の電池だのモーターだの揃えなきゃダメなんでしょ?」とか、なんとなくのイメージはあるけれど……という方は多いと思います。でも、いい意味で“らしくない”この新シリーズを手にとって、あなたもミニ四駆と友達になってください。
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November 5, 2025 at 11:01 AM
【レビュー】気分を変えるのに優秀すぎるデフォルメ戦車プラモ!/モンモデル「キューピッドのシャーマン」 #キットレビュー #戦車・軍用車両 #nippper #プラモデル
【レビュー】気分を変えるのに優秀すぎるデフォルメ戦車プラモ!/モンモデル「キューピッドのシャーマン」
 「この際、キューピッドをのせてみては?」「戦車に?」「はい。戦車に」 ケレン味のあるプラモデルを手にするたび、このキットの企画会議はいったいどんな様相だったのかと思いを馳せる。モンモデルのワールドウォートゥーンシリーズが極端なディフォルメ戦車で独自性を出しているのは解る。そのシリーズ展開のなかで「 キューピッドのシャーマン」と題し、戦車をピンクにしたうえに天使を乗車させるのはぜんぜんわからない。わからないけど、嫌いじゃない。むしろ好きなノリだ。だが今回、面白ネタでは収まらない、プラモデルとしての強度を感じたので紹介したい。  イロモノキットに違いない、と正直半笑いで箱を開けたのだが、キューピッドの造形が思いのほか抜群で驚いた。顔の彫りが深いうえ、不敵な笑みをうかべているので「箱絵とぜんぜん違うじゃないか!」と声を出したのだが、ポッコリお腹とキュートなおしりには大満足。戦車はさておき、キューピッド単体でも「ベスト・オブ・ザ・ベスト天使プラモ」と言えるので、これだけでも買いのキットだ。ハートの矢の造形も素晴らしいのだが、ピンクの戦車に乗った天使がいったいなにを射止めるのだろうか。公にはなっていない密かな設定でもあるのか?  戦車のほうはと言うと、コミカルな外観ながらフックやライトガードなどのディテールは省略されておらず、細かなパーツを植えていくと緻密さが増していくというスケールモデルとしての嬉しさがしっかりあって驚いた。鳥山明インスパイア系だとは思ってはいたが「私たち真剣なんです」感が伝わってきて、サクッと組めるキットながら良い手応えがあった。ただ、細なパーツがポロリしやすいので流し込み接着剤をチョン付けした方がよい。  ピンクのプラスチックパーツにパープルのゴム履帯というビビットな組み合わせなのだが、ふんわりとした色合いなので大変ファンシー。表面が綺麗な半艶仕上げなのでマカロンみたい。このあたりで「凄く良いなこのプラモ」との気持ちが爆発した。いやマジ、マカロンみたいに多彩なファンシーカラーでこのキューピッドシリーズ展開してくれないかな。  完成、設置、揺れるシャーマンに思わずニッコリ。寸止まりな接地面ゆえ、ゆりかごみたく前後に揺れてしまうのだが、その様子がキュートすぎる。なんだろう「気分が変わるプラモ」として大変優秀なキットだ。鮮やかなプラ成形色、軽い組味、精巧さとコミカルさの絶妙なバランス。「ちょっとプラモ触って気分変えたいけど時間と気力がない」という時にジャストなキットなのかと。オススメ。  繰り返しになるが、なぜシャーマンにキューピッドを乗せたんだ。ピンクの戦車に乗った天使がいったいなにを射止めるんだ。企画した担当者に熱弁してもらいたい。そんなプラモがまたひとつ増えた今回なのであった。
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November 4, 2025 at 1:00 PM
比べて、組んで、飾って楽しい!バイク模型で楽しむ「縦置きV型エンジン」のかっこよさ! #バイク #キットレビュー #nippper #プラモデル
比べて、組んで、飾って楽しい!バイク模型で楽しむ「縦置きV型エンジン」のかっこよさ!
 バイク模型の魅力の一つ、それは“エンジンを味わう楽しさ”。スケールモデルは、それぞれのプラモデルに与えられた「縮尺(スケール)」で、構造を眺め、触れて、理解できる世界です。各メーカーが実際のものをプラモ化するために巧みに分割したり、精密なモールド表現にチャレンジしたりする様子を感じながら作ることができます。  その中でも「縦置きV型エンジン」は、私にとって特別な存在です。合理的で美しく、見るたびに心が躍ります。今回はそんなエンジンの魅力を、2つの模型を通してたっぷりと味わってみました!  まず取りかかったのは、タミヤの名キット「CX500 Turbo」。エンジンとスイングアームを組み立てた瞬間から、構造への探求心が刺激されます。手のひらサイズで、好きなパーツを好きな角度からじっくり見られるというだけで、模型ならではの高揚感がありますね。続いて、ターボユニットとエキパイを装着。この時点で、もう充分に「エンジン模型」としての完成度に見惚れてしまいます。ユニットだけを飾って楽しめるのも、プラモデルの特権です。  そして今回は、もうひとつ別のキットも用意しました。それが、モトグッツィ(キットはモトグッチV10チェンタウロ)。100年以上にわたって空冷縦置きVツインを追求してきた、イタリアの名門ブランドです。CXとはまた異なる設計思想がどんな形で表れるのか……。  出てきたエンジンは、圧巻のボリューム。ほぼリッタークラスの排気量を持つ大柄なユニットに、空冷フィンの造形が美しく映えます。水冷のCXと比べると、冷却方式の違いによるパーツの形状や構成の差が一目瞭然。まさに“見比べる”こと自体が楽しい時間になります。 エキパイを取り付ける瞬間の高揚感といったら──。似た構造のエンジンを並べて比較できる、そんな贅沢な遊び方ができるのは、模型ならではの魅力です。  こうしてパーツ単位で構造を見比べていくと、それぞれの設計に込められた思想やメーカーの哲学がじわじわと伝わってきます。それを短時間で、しかも机の上で味わえるなんて、プラモデルという趣味は本当に奥深いものですね。  本物と近い縮尺のバイク模型だからこそ、エンジンという存在をパーツ一つひとつまで“濃密に味わう”ことができる。まさに、バイク模型の真骨頂だと私は思います。縦置きVツインが好きな方はもちろん、エンジンにロマンを感じる全ての方に、この模型体験を心からオススメしたいです!
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November 4, 2025 at 11:00 AM
必読!プラモデルの蛍光色を輝かせたいアナタに教える、「間違いないブラックライト」の選びかた。 #工具 #nippper #プラモデル
必読!プラモデルの蛍光色を輝かせたいアナタに教える、「間違いないブラックライト」の選びかた。
 蛍光色を光らせるにはブラックライトを使いましょう、お手軽なライトアップ効果を得る方法として広く知られています。結論から言いましょう。値段だけでブラックライト(UVライト)を選んではいけません。見るべきは波長です。おそらくみんなが見慣れている紫色に光りまくるやつ395nmのブラックライトなのですが、蛍光色をカッコよく輝かせたければ一も二もなく365nmの表記があるブラックライトを買いましょう。下のリンクがそれです。  波長がなんでそんなに大事かというと、よくブラックライトを当てて蛍光がビャーっと放たれている写真、たしかにきれいなんですが全体が紫色に照らされていることがほとんど。まず蛍光物質に紫外線が当たって起こるのが蛍光反応なんですが、そもそも紫外線というのは目に見えません。395nmを中心とした波長の光を発するLEDは紫の可視光もいっしょに放射してしまうので、下の写真(蛍光管タイプのブラックライトを使用したダテツヨシさんの記事より引用)一面が紫色になっちゃいます。  しかし365nmを中心とした波長のLEDは(可視光をカットするフィルタが併用されている場合もあるのですが)目に見える紫色をほとんど感じません。昔の蛍光灯タイプのUVライトは可視光領域もガンガン出ちゃうのでクラブとか行くと全身真っ青になったもんですが、いまはLEDで波長を絞り込めるようになったんだなぁ。で、365nmのUVライトだと、下の写真のように机が白いまま蛍光塗料だけが反応しています(ラベルの白い部分が青く光っているのは紙をより白く見せるために蛍光染料が混ぜ込んであるから)。これがミソです。 365nm(短い点線)と395nm(長い点線)のLEDスペクトル出力図。ピークが395nmの場合は紫の可視光も一緒に放射される。(ウェーブフォームライティング公式通販サイトより引用)  ガンプラに紫色を含む395nmのUVライトを当てると白いパーツも青紫になっちゃいますが、365nmのUVライトなら白いパーツは白いまま、蛍光を発するパーツだけがびゃーっと光ります。Gセルフのパーフェクトパック装備って透明パーツとビームサーベルの刃とシールがUVライトでめちゃめちゃ光るんだぜ。超きれいだからいますぐやったほうがいいです。ちなみに白いパーツが青く光って見えるところは、となりにある青い蛍光反応の照り返しなので誤解なきように。  青島の「蒼き鋼 イ401」に同梱されたデカールもこのとおり。デカールの台紙や蛍光顔料を含まない方のデカールは色味に変化がありませんが、蛍光顔料を含んだデカールだけが紫外線に反応してヴィーっと光ります。せっかくの蛍光塗料遊びですから、全体が紫色になっちゃうのはもったいない。せっかくなら蛍光色を塗ったところだけが光ってほしい……とみんな思ってるはずです。  じゃあなんで365nmのUVライトがデファクトスタンダードになってないんだよ、という話なんですがこれは単純に光源が395nmのものより高価だから。と言っても目ン玉飛び出るほどの価格差はないのですが、たとえば100円均一ショップなんかで売られているものはどうしてもコストを下げたいもんですから、安い光源(395nmのもの)を使っているんですね。  面白いのはプラモデルだけでなく、日中の家の中でもこのUVライトで照らすと(もちろん可視光領域の見た目にはなんの変化もないのですが)水回りのタンパク質汚れとかホコリの拭き漏らしとか、それ以外にも意外なところがバッチリ光って見えるところ。白身魚に照射すりゃアニサキスの検出もできるし、UVレジンも固まるし、なによりプラモが光るのでめっちゃ面白い。全体を紫色に照らして喜ぶ時代は終わり!明日からはみんな「365nm」の表記があるUVライトで遊ぼうぜ、という話でした。あと光の色があんまり感じられないので目に入ったりすると危ないから気をつけて。またね。
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November 3, 2025 at 1:00 PM
【レビュー】人型の可動プラモデルにおける「2018年の答え」がここにあった/アオシマ ペルソナ5 アルセーヌ、再見! #キットレビュー #フィギュア #nippper #プラモデル
【レビュー】人型の可動プラモデルにおける「2018年の答え」がここにあった/アオシマ ペルソナ5 アルセーヌ、再見!
 まだスマブラが世界最大のe-sports大会EVOの大トリを飾っていたころ、アルセーヌは世界中の歓声を浴びていました。私にとってジョーカーのプラモは「P5のプラモデル」というよりも「スマブラのプラモ」という印象なんですね。このキットは2018年が初出で、当時は現在のような美少女プラモ戦国時代に突入する前夜といった印象。各社が可動とスタイルの両立を探り始めたばかりのころで、FAガールやメガミデバイス、後に30MSやPLAMAXも参入して洗練された設計を競い合う少し前に、アオシマはキャラクターモデルを別の角度から模索していました。  アルセーヌはゲーム『ペルソナ5』に登場する主人公の“ペルソナ”で、いわば『ジョジョの奇妙な冒険』でいうスタンドのような存在です。黒と赤の衣装に巨大な翼を持つ姿は印象的で、ゲームを知らない人でも「スマブラで強いやつ」として覚えている人が多いと思います。本キット、パーツ数こそ少ないですが、構造の複雑さで勝負するのではなく、造形そのものの力でキャラクターの存在感を立たせる方向でトライしていたということが見て取れます。  アオシマというメーカーはとにかく何でも作る会社です。スケールモデルもキャラクターモデルも、固定モデルも可動モデルも、とにかく全ジャンルに体当たり。そしてパトレイバーやイデオンといったロボットモデルの中に、ゲームキャラクター(ではない)を混ぜてくるあたりが実に面白い。そして主人公のジョーカーではなく、そのペルソナであるアルセーヌを立体化したところにも妙があります。ジョーカーの完成品フィギュアは当時すでに市場に多く出回っていたので差別化の意味もあったのでしょうが、それ以上に「ペルソナ」という概念そのものをプラモデルという形式で立ち上げたところに意欲を感じます。  帽子の長いパーツが滑らかに成形されていて、後ろには編み上げのディテールが走っています。ここに限らず、パーツをためつすがめつしながら組んでいると「なるほど、こういう構造になっているのか」と思わず感心します。顔(正確にはマスク部分)のパーツも独特で、目元の尖り方がものすごい。ゲーム中では陰影の中に隠れていた形を、初めて明確に知ることができます。これは組まなきゃわからない。  素材の使い分けも見事です。首元のスカーフやチェーン、マスク部分などはPVCで成形されていて、柔らかさと造形の精密さを両立しています。硬いPSパーツとの対比で質感のコントラストが生まれ、無塗装でも情報量が豊かです。頭部の模様はデカールで再現され、翼はわずかに濃い紺の成形色。光が当たると羽の筋が浮き出し、陰影の中で深みが出ます。完成時には本体との色差がアクセントになり、見た目の印象を引き締めます。  接着剤不要のスナップキットなので、パチパチと軽快に組めます。可動部分は多くありませんが、肩や腕、膝がよく動くのでポージング性能は十分です。腰のラインを崩さずに立たせられるのは完全に見た目優先の設計で、飾ったときの美しさを意識した造りになっています。台座に浮かせると全高は約30センチ。想像以上のボリュームで、完成した瞬間に思わず「おお〜」と声が出ます。複雑な工程がないのに完成度が高く、手を動かす満足感と飾る喜びがとても大きいゾ!  何度も画面で見たアルセーヌですが、実際に自分の手で組んでみると「実はこんな形をしていたのか」と驚きます。パーツをひとつずつ確かめながら組む過程そのものがキャラクターとの対話のようで、プラモデルの醍醐味を改めて感じます。2018年当時、各社がキャラクター造形と可動構造のバランスを模索していたなかで、アオシマはすでにその中間点にたどり着いていたのか……?と思うような、いま改めて見返す価値のあるプラモデルです。
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November 3, 2025 at 12:00 PM
ガンプラと最高の誕生日/「ガンダムアッセンブル」がプレゼントしてくれた、息子の成長のかたち。 #ガンプラ #筆塗り #水性塗料 #塗料 #nippper #プラモデル
ガンプラと最高の誕生日/「ガンダムアッセンブル」がプレゼントしてくれた、息子の成長のかたち。
  「お父さん、今日は誕生日だったよね。このザクはお父さんにプレゼントするね」。   息子が言ってくれたまさかの一言で、最高の誕生日となったのでした。  最近息子は僕フミテシの部屋にやってきて、僕が作った「ウォーハンマー」と「ガンダムアッセンブル」をバトルさせるのがお気に入り。そこで、まだ作っていなかったヒート・ホークを持ったザクのランナー(プラモデルのパーツが繋がっている枠)を見せると、「僕も作ってみたい!」と言ってくれたので、一緒に作ることにしました。  BANDAI SPIRITSのプラノサウルスを作った時に教えた、ニッパーの使い方や二度切りもすんなりやっていてびっくり。あの頃より手が大きくなったな〜と父テシな視点になってしまうのでした。  パーツを切っていると思ったら、机の上に転がっている紙ヤスリをおもむろに掴み、パーツを削り出しました。  「切った後の部分に傷をつければ、弾くらったみたいになるね!」  震えるぞハートッ!! 良い発想〜〜。プラモデルを一緒に作るって本当に楽しいぜと思わせてくれる一言に感動っす。  ものの10分で完成です。小学校2年生でも迷いなく組み立てられる「ガンダムアッセンブル」。ニッパーも使う楽しさも教えてくれるので、最高のガンプラだと思います。  早速ウォーハンマーVSガンダムアッセンブルのドリームマッチが開幕! スペースマリーンに襲いかかるザク!! 息子の脳内では壮絶なバトルが繰り広げられていました。  そして「お父さんが作ったガンダムとか色が塗ってあるから、僕のザクも塗ってみたい」という嬉しい一言が。そこでガンダムアッセンブルカラーを準備。水だけで希釈ができて、匂いもほとんどしないので子供にも安全安心なのだ。  「緑は2色あるけれど、どっち塗る?」と聞くと、「濃いめで」。俺がラーメン屋に入って言う一言みたいに濃いめのグリーンをセレクト。  これよこれ!! 筆をいきなり塗料にどっぷり浸ける。これこそ筆塗りの真髄! このまま塗るとザクが厚化粧になってしまうぞ! でもこのどっぷり浸けたことを活かして、僕は息子にドライブラシを教えようと思いました。  「めっちゃ塗料がついた筆を、このペーパータオルで拭ってみよう! 色がつかなくなるまでやってみて」。息子は筆についた塗料を、ペーパータオルで一生懸命拭いました。  「そうしたら、そのカサカサになった筆で、ザクを擦ってみて」。  「すごい!! 擦るだけで緑になった! ザクが緑になった!!」。  最高です。グレーのプラスチックに色がつくのって本当に楽しい! 全体をカサカサと擦っている筆の動きを見ていると、僕も筆塗りがしたくなってきました。  完成! 素晴らしいザク! アッセンブルカラーはドライブラシ専用塗料なのでは!? そんな気持ちにさせてくれるほど、綺麗に緑が塗れました。奥まったところやスジ彫り部分は、もともとのグレーの成型色(プラスチックの色)が残っているので、良い塩梅でグラデーション効果が生まれています。  息子が塗ったザクが本当にカッコよかったので、「完成したし、撮影してみようよ!」と提案。カメラのセッティングだけしてあげて、彼にシャッターを切らせてみました。ボタンの半押しでピントを合わせるのよ〜という微妙なニュアンスも、小学2年生にもなると伝わります。コミュニケーションを取りながら遊べるようになると、さらに楽しさが倍増。子供といる時間がより豊かになるな〜と感じさせてくれるのでした。  ナイスプラモ! ナイスショット! そして最後に息子が、「めっちゃ楽しかった! お父さん、今日は誕生日だったよね。このザクはお父さんにプレゼントするね」と言ってくれたんですね。ザクも嬉しい、一緒にプラモも楽しめて最高。42歳になった初日から、プラモデルで幸せな気分になれたのでした。おしまい。
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November 3, 2025 at 11:00 AM
【レビュー】怪獣プラモデルブームのど真ん中にガメラふたたび!/エクスプラスの「自己ベスト更新」が嬉しいガメラ1996 #キットレビュー #フィギュア #nippper #プラモデル
【レビュー】怪獣プラモデルブームのど真ん中にガメラふたたび!/エクスプラスの「自己ベスト更新」が嬉しいガメラ1996
 2020年代に入ってから怪獣造形のプラモデルをひとつのジャンルとして大いに盛り上げたメーカーがエクスプラス。2023年発売の「ガメラ1999」と比べると、今回発売された「ガメラ1996」は構造の整理とパーツ分割の精度が一段向上しています。正直、組んでいてめっちゃ楽しかった。これはオススメです。  パーツの内側には大きな丸いダボが、フチにはお互いが噛み合う土手状の形状が設けられていて、接合位置を決めてくれます。こうした構造は、かみ合わせがキツすぎると組み立てに力が必要だったり、かえって確実な接着を妨げてしまうものですが、本作では良い意味でガバガバに作ってあります(これ、重要なんだけど設計製造の上ではすごく難しいことなんです)。結果として「パーツ同士を合わせてから流し込み接着剤を接合面に置く」という動作を繰り返していくだけで、テンポ良い組み心地を味わえます。  パーツ番号がランナーをまたいで飛び地になっていたり、挟み込み構造でユニットを接合していくところなどは少々戸惑いますが、アメリカの古き良きモンスタープラモをオマージュした説明書がそれも楽しい体験に変えてくれます。とにかく組み立ての手順を間違えると詰むので要注意。また、表面のディテールをスポイルしないように要所要所でアンダーゲート(パーツの裏面にゲートがある構造)が採用されているので、パーツをカットしたらしっかりと出っ張りを切り落としてから接着しましょう。  甲羅は表面、裏面ともに甲板をバラバラのパーツに分割しており、表皮の複雑な造形を表現しています。番号順にこれを貼っていくのがとても理路整然とした感触で、お互いのアウトラインがパズルのように組み合わさって幾何学的だった土台を生き物のように埋め尽くしていくのがとても楽しい!オモテとウラのパーツをバシッと貼り合わせるだけじゃない、重層的な構造を心ゆくまで楽しめます。  脚、腕、頭部、甲羅がそれぞれ独立したユニットになっていて、各部を仕上げてから最終的に組み合わせられます。 塗装はそれぞれの部位を仕上げてからでもいいですし、もちろん全体を組み上げてから筆でカッコよく塗ってもOK。  完成すると、GIIIの禍々しさよりもどこか愛らしさの勝ったガメラの姿が立ち現れます。パーツ分割にどれも意味があり、パテ埋めやヤスリがけといった工程を経ずともプラモデルとは思えない立体的でシャープなガメラが手に入るというのはやはり素晴らしいことです。エクスプラスからは同スケールでレギオンも登場していますから、みなさんもぜひ迫力の対決シーンを作って下さい。そんじゃまた。
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November 2, 2025 at 1:00 PM
【塗料レビュー】量産メカが映える!混色いらずの魔法の4色グリーンセット「カラーモジュレーションセット ロシアングリーンVer」 #筆塗り #塗料 #ボトムズ #nippper #プラモデル
【塗料レビュー】量産メカが映える!混色いらずの魔法の4色グリーンセット「カラーモジュレーションセット ロシアングリーンVer」
 量産メカといえば「グリーン」が定番。ザクやスコープドッグといった代表的な機体にもよく使われています。そんな量産メカにぴったりな4種類の緑色をひとつにまとめた、ラッカー塗料のスペシャルセットが「カラーモジュレーションセット ロシアングリーン」です。  このセットがあれば、調色の手間なく、単色塗装からグラデーションまで自由自在!迷わず理想の“緑”を手に入れることができます。  今回はこのカラーセットを使って、HGスコープドッグを混色なしで筆塗りしました。その制作過程を通じて、この塗料の魅力をぜひ感じてみてください。少し長めの記事になりますが、気軽に読んでいただければ嬉しいです。  まず「ロシアングリーン」という色は緑の中でも素晴らしくかっこいい色です。一般的には黄緑色と言われているミリタリーカラーで、オリーブドラブよりも鮮やかさがありながらも深みもあるのが特徴。この鮮やかさがロボットの塗装とも相性がよく、ミリタリーな雰囲気を纏わせながらキャラクター性も失いません。  カラーモジュレーションセットは、日本を代表する戦車モデラーの吉岡和哉氏が監修した塗料セット。グラデーション塗装のひとつである「カラーモジュレーション」という技法を混色無しでも楽しめるように、暗めから明るめに調色された4色のロシアングリーンがセットされています。カラーモジュレーションを知りたい人は下のリンクを読んでね。  今回は下地にマホガニーサーフェイサーを筆塗りしてからスタート。マホガニーを塗ることで、上塗りした塗料により重厚感が出ます。またサーフェイサーを塗っておくことで、上塗りした塗料の食いつきも良くなり、塗る回数も少なくて済みます。まずは一番暗い「RGシャドー」。その名の通り、戦車の奥まった部分や影になる部分を塗るのに適した色です。  全体に塗ってみると、かなり暗めのロシアングリーンなのがわかります。オリーブグリーンに近い印象ですね。オリーブドラブよりは若干明るい印象です。  次にスコープドッグの明るい緑として、カラーモジュレーションセットの「RGハイライト2」を使用します。本セットの中で最も明るいグリーンで、『機動戦士ガンダム』に登場したザクの明るい緑にも近いですね。量産メカに指定される「明るいグリーン」を表現する時にとっても便利な色です。  ひと塗りで見事にスコープドッグの明るいグリーンに! これを調色して作るのって結構大変。今ではスコープドッグの専用塗料もありますが、その雰囲気にかなり近いグリーンがこのセットには入っているのです。  次は「RG CM ベース」というからモジュレーションセットの「基本色」として使用されるロシアングリーン。この色を基準に暗くしたのが「RGシャドー」。明るくしたのが「RG ハイライト1」、「RGハイライト2」というわけです。  鮮やかで深みのあるグリーン。これをRGシャドーの上から塗ると、下地の暗いグリーンが透けてナイスなグラデーション効果が生まれます。  「RG CMベース」を塗り終えた状態。混色無しで塗っても良いグラデーションになっているのがわかると思います。基本の緑が明るくなってくることで、ハイライト2の色とも馴染んできました。  濃いめの緑の仕上げとして「ハイライト1」を最後に上塗りします。これを塗ると、グラデーション効果がさらに際立ちます。  混色無しで見事グリーンのグラデーション塗装が完了しました! カラーモジュレーションは、近似色をうまく活用し明暗差をくっきりさせて、物の立体感を強調する塗り方。そのために開発された塗料なので、近似色のバランスが見事に取れています。だからこそ、通常のグラデーション塗装にも筆塗りのタッチにも混色無しで活用できます。日本を代表する戦車モデラーが生み出した至高のロシアングリーンで、あなたの量産メカもカッコ良くなること間違い無し。ぜひ今すぐゲットしてくださいね! それでは〜。
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November 2, 2025 at 11:00 AM
見つけられなかった「耕耘機の使い方」をプラモで知る/PLAMAX いなほ with ホンダ耕耘機F90 水田車輪 #はたらくのりもの #キットレビュー #nippper #プラモデル
見つけられなかった「耕耘機の使い方」をプラモで知る/PLAMAX いなほ with ホンダ耕耘機F90 水田車輪
 いつだったか、夏の旅行で電車に揺られているとき、窓の外に広がる田んぼの風景を眺めていたことがあります。ところどころにヒマワリが植えてあって、「これは何だろう」と思い、写真を撮ってSNSに投稿したところ、「おそらく堆肥に使うものですね」と教えてもらいました。そのとき、自分は農業のことを何も知らないのだとハッと気づかされたのを覚えています。 それから数年後、真冬に東北を旅した際、あちこちで停まっているトラクターを見かけました。畑にそのまま放置されているものもあれば、納屋にきちんと収められているものもありましたが、今振り返ると耕耘機の姿は一度も見ませんでした。  PLAMAXの「いなほ with ホンダ耕耘機F90 水田車輪」は色分けが見事。そして、見慣れない複雑な外観に一瞬戸惑うものの、大きめのパーツが多く、作り始めると意外なほどスムーズに組み上がっていくところが持ち味です。 とくに印象的だったのは、ハンドル部分のグレーのパーツ。適度な柔軟性があって、少々の無理がきく。グニャグニャンと曲がるので、耕す爪とそれを覆うカバー付きユニットを取り付けたときには少し不安にもなりますが、その後の工程でフレーム構造がバシッと剛性を持つので、最終的にはしっかりと安定します。この辺の素材の持ち味の出方が変わっていく様子はプラスチックならではの手応えで、作っていていちばん楽しい部分でした。  完成した耕耘機をいなほちゃんと並べてみると、「ああ、こんな風に使うんだ」と自然に風景が浮かび上がります。何が何だかわからなかった形が、急に意味を持ち始めるこの瞬間が本当に面白いで。急に、農作業のワンシーンが目の前に立ち上がったとでもいうか。結構デカいような、そうでもないような……としばらく眺める時間も、人と機械ともに出来上がった姿があってこそ。  「ところで今の耕耘機ってどんな感じなんだろう」と気になって調べてみると、家庭菜園向けの小型モデルがホンダから出ているようで、人の手で扱えるサイズの機械で農作業を効率化する文化は今も息づいているようです。もしかすると、「これ、うちでも使ってるよ」なんて話してくれる人が現れる日が来るかもしれません。
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November 1, 2025 at 1:00 PM