よぼよぼと歩いている蟹。指を近づけても逃げない蟹。そして飛べないのかと思っているとやはり飛ぶ蟹。
冬から早春にかけて、人は一度ならずそんな蟹を見たにちがいない。それが冬の蟹である。(梶井基次郎『冬の蠅』)
よぼよぼと歩いている蟹。指を近づけても逃げない蟹。そして飛べないのかと思っているとやはり飛ぶ蟹。
冬から早春にかけて、人は一度ならずそんな蟹を見たにちがいない。それが冬の蟹である。(梶井基次郎『冬の蠅』)
遠き蟹は走り去る。
(冨永太郎『晩春小曲』)
遠き蟹は走り去る。
(冨永太郎『晩春小曲』)
(江見水蔭『蟹世界跋渉記』)
(江見水蔭『蟹世界跋渉記』)
「カニカニカニカニカニ」
それは死に物狂いに藻掻いている小さな蟹の声のようでした。 (夢野久作『卵』)
「カニカニカニカニカニ」
それは死に物狂いに藻掻いている小さな蟹の声のようでした。 (夢野久作『卵』)
筒抜けに響いて来る蟹の笑い、──薄寒い空から窓ガラスをビリビリ言わせて、皮肉で傲慢で、無作法で冷酷を極めます。(野村胡堂『笑う悪魔』)
筒抜けに響いて来る蟹の笑い、──薄寒い空から窓ガラスをビリビリ言わせて、皮肉で傲慢で、無作法で冷酷を極めます。(野村胡堂『笑う悪魔』)