図書館学者である著者が、図書館学という学問について実際の研究を例にユーモラスに教えてくれます。ブログのような親しみやすい文章が読みやすいですね。
本書で紹介していた研究は統計的な分析によるものが多いのですが、中には視線追尾装置の映像を1コマずつ解析して「人は本棚のどこをよく見るのか」を調査する研究もあり、こうした地道な努力には頭が下がります。
「図書館はなぜ月曜日に休館しているのか」という研究では、どんなに調べてもなぜか明文化したものが見つからないというのも不思議で面白い。
それにしても、世の中には色々な学者がいるものですね。
#読了
図書館学者である著者が、図書館学という学問について実際の研究を例にユーモラスに教えてくれます。ブログのような親しみやすい文章が読みやすいですね。
本書で紹介していた研究は統計的な分析によるものが多いのですが、中には視線追尾装置の映像を1コマずつ解析して「人は本棚のどこをよく見るのか」を調査する研究もあり、こうした地道な努力には頭が下がります。
「図書館はなぜ月曜日に休館しているのか」という研究では、どんなに調べてもなぜか明文化したものが見つからないというのも不思議で面白い。
それにしても、世の中には色々な学者がいるものですね。
#読了
本書は、実在する純喫茶を測量し「アイソメトリック」という建築図法で俯瞰的に描いた、少し変わったイラストエッセイ集です。手描きのぬくもりがある立体的な俯瞰図は、ただ見ているだけでも楽しいですね。
棚の小物や床のタイルにまで細かく書き添えられた説明が、想像を広げてくれます。
イラストにはコーヒーを飲みながらくつろぐお客さんや、そこで働く店員さんが生き生きと描かれており、人々の会話や人となりを想像すると時間を忘れて眺めてしまいます。
実際に店舗を訪れて、本書と見比べてみるのも楽しそうですね。
#読了
本書は、実在する純喫茶を測量し「アイソメトリック」という建築図法で俯瞰的に描いた、少し変わったイラストエッセイ集です。手描きのぬくもりがある立体的な俯瞰図は、ただ見ているだけでも楽しいですね。
棚の小物や床のタイルにまで細かく書き添えられた説明が、想像を広げてくれます。
イラストにはコーヒーを飲みながらくつろぐお客さんや、そこで働く店員さんが生き生きと描かれており、人々の会話や人となりを想像すると時間を忘れて眺めてしまいます。
実際に店舗を訪れて、本書と見比べてみるのも楽しそうですね。
#読了
いつものスナックに集う飲み仲間。地蔵坊と名乗る山伏が解決した(とされる)事件について語るミステリ小説です。地蔵坊が事件の詳細を語る出題編、飲み仲間の推理合戦、そして回答編。いわゆる安楽椅子探偵の構成ですね。
飲み仲間は地蔵坊の話を「ほら話だろう」と思っているため、殺人事件にもかかわらず深刻になりません。無理のあるトリックさえ「ほら吹きだなー」と受け入れてしまう自分がいて不思議な感覚。
一話完結なので空き時間に少しずつ読めるのも良いですね。
地蔵坊のモデルであり、ミステリ評論家の戸川安宣氏による解説も大変勉強になりました。
#読了
いつものスナックに集う飲み仲間。地蔵坊と名乗る山伏が解決した(とされる)事件について語るミステリ小説です。地蔵坊が事件の詳細を語る出題編、飲み仲間の推理合戦、そして回答編。いわゆる安楽椅子探偵の構成ですね。
飲み仲間は地蔵坊の話を「ほら話だろう」と思っているため、殺人事件にもかかわらず深刻になりません。無理のあるトリックさえ「ほら吹きだなー」と受け入れてしまう自分がいて不思議な感覚。
一話完結なので空き時間に少しずつ読めるのも良いですね。
地蔵坊のモデルであり、ミステリ評論家の戸川安宣氏による解説も大変勉強になりました。
#読了
「パンチライン(punchline)」とはジョークのオチや決め台詞を意味する英語。例えば「欧米か!」や「まだ助かる、マダガスカル!」であったり、「真実はいつも一つ!」や「I'll be back.」などなど。かなり範囲の広い言葉ですね。
本書ではそのようなアニメや映画、ドラマなどパンチラインを題材に、言語学者としての分析をしています。
しかし、著者のまえがきにもありますが「エンタメ8割、言語学2割」ぐらいの配合とのことで、言語学の勉強として読むものではなさそうですね。
川添先生の愉快な国語の授業を受けているような一冊でした。
#読了
「パンチライン(punchline)」とはジョークのオチや決め台詞を意味する英語。例えば「欧米か!」や「まだ助かる、マダガスカル!」であったり、「真実はいつも一つ!」や「I'll be back.」などなど。かなり範囲の広い言葉ですね。
本書ではそのようなアニメや映画、ドラマなどパンチラインを題材に、言語学者としての分析をしています。
しかし、著者のまえがきにもありますが「エンタメ8割、言語学2割」ぐらいの配合とのことで、言語学の勉強として読むものではなさそうですね。
川添先生の愉快な国語の授業を受けているような一冊でした。
#読了
A4変形の大型本。まず目を奪われる濃密で力強く迫力あるペン画の表紙。そして大きく「伊藤彦造」の文字。…誰?
失礼ながら、本書を手に取るまで存じ上げませんでした。
伊藤彦造は明治37年生まれ。大正から昭和にかけて活躍した挿絵画家です。その殺陣の描写は圧巻で、命のやり取りの緊張感に満ち、緻密に描かれた衣服の揺れや筋肉の躍動は空気の流れまで伝わるよう。
この迫真感は自身に剣術の心得があり、また自身が剣豪の血筋であることが一因なのでしょう。
その剣豪の名は、
漫画『バガボンド』にも登場した「剣の神様」、伊藤一刀斎。
納得です。
#読了
A4変形の大型本。まず目を奪われる濃密で力強く迫力あるペン画の表紙。そして大きく「伊藤彦造」の文字。…誰?
失礼ながら、本書を手に取るまで存じ上げませんでした。
伊藤彦造は明治37年生まれ。大正から昭和にかけて活躍した挿絵画家です。その殺陣の描写は圧巻で、命のやり取りの緊張感に満ち、緻密に描かれた衣服の揺れや筋肉の躍動は空気の流れまで伝わるよう。
この迫真感は自身に剣術の心得があり、また自身が剣豪の血筋であることが一因なのでしょう。
その剣豪の名は、
漫画『バガボンド』にも登場した「剣の神様」、伊藤一刀斎。
納得です。
#読了
本書は、1966年に刊行された赤塚先生の初エッセイ本『シェー!!の自叙伝 僕とおそ松くん』の復刻本です。なんと約60年ぶり。
さらに、新聞や雑誌に掲載された書籍化されていない多くのエッセイやインタビュー記事、イラストや色紙、貴重な写真などが収録されています。
下積み時代の貧乏エピソードもトキワ荘の仲間との助け合いや、昭和というおおらかな時代も手伝ってかあまり悲壮感はなく、むしろ羨ましい青春時代とすら思えます。
誰からも愛され、友だち想いで、ちょっとお金にだらしない。人生こうありたいものですね。
#読書 #読了
本書のキーワードは「スキーマ」です。
例えば「×」ボタンの動作といえば、多くの日本人は「キャンセル」を想像しますよね。このような「知識や思考の枠組み」を認知心理学では「スキーマ」と言うそうです。人それぞれの「スキーマ」があるために誤解が生じるわけですね。
先ほどの「×」ボタンですが、海外では「決定」を想像するとか。伝わらないはずです。
説明をするときは、相手の「スキーマ」をよく想像し、それに合わせる工夫が必要なのですね。
#読書 #読了
『発心集』は、長明が晩年にまとめたとされる鎌倉時代の仏教説話集です。「説話」とは作り話ではなく、伝説や言い伝えなどの「事実」を短編として語ったもの。いわば仏教のノンフィクション短編集ですね。
『発心集』がユニークなのは、「説話」でありながら「事実」の裏付けを求めないとした姿勢です。まことしやかな話でも、それが仏道に入る(=発心する)きっかけになればよい、という長明の強い想いが伝わります。
原文は難解ですが、国文学者である伊東玉美氏による現代語訳と解説はとても読みやすく、古典の入門には最適ですね。
#読書 #読了
データサイエンスとは何か、基礎、応用をコンパクトにまとめています。
基礎の章によればデータサイエンスとはつまり、データを可視化し、そこから数理モデルを仮定し、未知のデータを予測できるようにする学問のようです。
応用の章では、川村康文氏の『今と未来がわかるデータサイエンス』より踏み込んだ、創薬、医療、生命科学などの具体例があり参考になりました。
「おわりに」にある通り、疑わしい情報に触れた際に「何かおかしい」と感じるセンサーを働かせ、大元のデータを確認して判断する手段を持つことは大切ですね。
#読了 #技術書
本書にはプログラミング初学者の疑問「どれを学べばよいのか」「なぜたくさんあるのか」への明快な答えがあります。そして「どう選べばよいのか」については、親切なYes/Noチャートまで付いている徹底ぶり。これならもう迷いませんね。
文章は平易で読みやすく、掲載のサンプルプログラムは紙面上でも読みやすい。よく工夫されています。
各プログラミング言語の特徴やその歴史、活躍するシーンが体系的にまとめられており、またコラムやこぼれ話も豊富。読み物としても面白く大変勉強になりますね。
#読書 #読了 #技術書
「HIPS」とはAIが管理する扶助団体で、誰でも会員になれて、対価なしに生活を保障してくれるという。…これは怪しい。
ただし鉄の掟があり「会員はいかなる労働もしてはならない」とされている。…ますます怪しい。
最初はディストピアなSFを想像していましたが、とても個性的なミステリー作品でした。各章で起こる事件を、章ごとに異なる主人公が謎を解く群像劇です。
トリックや謎解きは個人的には楽しめましたが、賛否は分かれるかも…。
AIの啓示に導かれて人を救う者と、天の啓示に導かれて人を殺める者。その対比が印象的な作品でした。
#読書 #読了
そもそも「データサイエンスって何?」という基礎の基礎から丁寧に解説してくれます。シグマ式の読み方から教えてくれるほどの丁寧さです。
解説範囲も広く、データサイエンスの必要性や様々なデータ分析の手法、これからのAIの活用方法までひと通りカバーしています。一方でそれぞれの解説は概要レベルなので、本書を入り口にしてより高度な専門書へと繋ぐ立ち位置のようですね。
当然のことながら本書1冊でデータサイエンティストにはなれませんが、データサイエンスという聞き慣れない学問について一般教養レベルの基礎知識を学べますよ。
#読書 #読了
ドキュメントを書く必要に迫られたエンジニアが「とにかく書き上げる」ための方法を順を追って説明しています。本書の通りに実践すれば、仕事で使うドキュメントをひと通り書けるようになりそうですね。
一方で「とにかく書き上げる」ことを重視しているためか「わかりやすい文を書く」というテーマの解説は全体の8%ほどしかありません。仕事では、まずは仕上げることが大切ですからね。
本書でドキュメント作成の基本を学び、次は藤沢晃治氏の『「分かりやすい文章」の技術』などで補うと、より良いドキュメントになりますよ。
#読書 #読了
いつを宇宙開発の始まりとするのか。本書ではロシアの科学者コンスタンチン・ツィオルコフスキーが、ロケット推進の基礎となる「ツィオルコフスキーの公式」を発表したおよそ120年前を「宇宙開発の歴史」の始まりとしています。
ライト兄弟が有人動力飛行に成功したのと同じ頃、すでに宇宙を目指していたんですね。
米ソの宇宙開発競争の時代、国際宇宙ステーションをシンボルとした国際協力の時代を経て、再び米中が競い合う現代へと突入。これからの宇宙開発の必要性について、分かりやすく解説してくれる一冊です。
#読書
いつを宇宙開発の始まりとするのか。本書ではロシアの科学者コンスタンチン・ツィオルコフスキーが、ロケット推進の基礎となる「ツィオルコフスキーの公式」を発表したおよそ120年前を「宇宙開発の歴史」の始まりとしています。
ライト兄弟が有人動力飛行に成功したのと同じ頃、すでに宇宙を目指していたんですね。
米ソの宇宙開発競争の時代、国際宇宙ステーションをシンボルとした国際協力の時代を経て、再び米中が競い合う現代へと突入。これからの宇宙開発の必要性について、分かりやすく解説してくれる一冊です。
#読書
日本の建設機械を待っていたのは、マイナス50℃の地。シベリアだった。
低温で金属が脆くなる現象、低温脆性。シベリアの極寒は、そこで働く建機たちを容赦なく襲った。しかし、日本の建設機械は止まらなかった。
「日本は低温脆性を生じない鋼材を発明したのか」
そうではなかった。日本の建設機械を支えたのは、不眠不休で修理を続ける総勢30余名の技術者だった。
高度経済成長を支え、現代においても世界市場の2割を超える売上を誇る日本製の建機。周回遅れだった日本の建設機械を独自の工夫とアイデアで発展させた歴史を知るのに、本書を上回るものはありません。
#読書
日本の建設機械を待っていたのは、マイナス50℃の地。シベリアだった。
低温で金属が脆くなる現象、低温脆性。シベリアの極寒は、そこで働く建機たちを容赦なく襲った。しかし、日本の建設機械は止まらなかった。
「日本は低温脆性を生じない鋼材を発明したのか」
そうではなかった。日本の建設機械を支えたのは、不眠不休で修理を続ける総勢30余名の技術者だった。
高度経済成長を支え、現代においても世界市場の2割を超える売上を誇る日本製の建機。周回遅れだった日本の建設機械を独自の工夫とアイデアで発展させた歴史を知るのに、本書を上回るものはありません。
#読書
ある日、記憶の空白期間に気付き、時間を断片的に行き来している事実を掴みます。つまり月曜だと思ったら火曜で、突然月曜に戻ったり。混乱する中、静かに忍び寄る不穏な影が…。
近年のタイムリープものは同じ時間を繰り返すストーリーが多いですが、本作は本来的な意味での「時間を跳び越える」現象であって、同じ時間を繰り返せない緊張感があります。いわば、バックトゥザフューチャーでたった一度の落雷に全てを賭ける、あの緊張感ですね。
実は30年前の小説なのですが、あまり古さを感じさせません。若い人にもおすすめですよ。
#読書
ある日、記憶の空白期間に気付き、時間を断片的に行き来している事実を掴みます。つまり月曜だと思ったら火曜で、突然月曜に戻ったり。混乱する中、静かに忍び寄る不穏な影が…。
近年のタイムリープものは同じ時間を繰り返すストーリーが多いですが、本作は本来的な意味での「時間を跳び越える」現象であって、同じ時間を繰り返せない緊張感があります。いわば、バックトゥザフューチャーでたった一度の落雷に全てを賭ける、あの緊張感ですね。
実は30年前の小説なのですが、あまり古さを感じさせません。若い人にもおすすめですよ。
#読書
本書は、宮本氏がどのようにして「マリオ」や「ドンキーコング」を生み出したのか、多くの文献やインタビューをもとに分析した学術書です。
原著の出版は10年前の2015年。当時はWiiUの販売不振に苦しんでいた時期であるため、終盤には厳しい分析も見られます。ですが、未来人である我々はその後の快進撃を知っていますからニヤリと楽しめますね。
本日2025年9月13日はスーパーマリオブラザーズ誕生40周年。本書には大ヒットの秘密が隠されているかもしれませんよ。
#読書
本書は、宮本氏がどのようにして「マリオ」や「ドンキーコング」を生み出したのか、多くの文献やインタビューをもとに分析した学術書です。
原著の出版は10年前の2015年。当時はWiiUの販売不振に苦しんでいた時期であるため、終盤には厳しい分析も見られます。ですが、未来人である我々はその後の快進撃を知っていますからニヤリと楽しめますね。
本日2025年9月13日はスーパーマリオブラザーズ誕生40周年。本書には大ヒットの秘密が隠されているかもしれませんよ。
#読書
ゲームの歴史といっても範囲はとても広大です。本書は特にゲーム産業のビジネスモデルについて論じた希少な一冊です。
1プレイ100円の時間貸しビジネスから始まり、オンラインゲームの従量課金や月額課金の歴史的・技術的理由、近年のSteamを中心としたインディーゲームの収益モデルまで、試行錯誤された「儲け」の仕組みが体系的にまとめられています。
なるほど、これはためになる。
なんだか難しそう? いいえ、ゲーム雑誌などで長いライター歴のある岩崎氏の文章は、分かりやすく、楽しくて、読みやすい。ビジネス書としてもおススメですね。
#読書
ゲームの歴史といっても範囲はとても広大です。本書は特にゲーム産業のビジネスモデルについて論じた希少な一冊です。
1プレイ100円の時間貸しビジネスから始まり、オンラインゲームの従量課金や月額課金の歴史的・技術的理由、近年のSteamを中心としたインディーゲームの収益モデルまで、試行錯誤された「儲け」の仕組みが体系的にまとめられています。
なるほど、これはためになる。
なんだか難しそう? いいえ、ゲーム雑誌などで長いライター歴のある岩崎氏の文章は、分かりやすく、楽しくて、読みやすい。ビジネス書としてもおススメですね。
#読書
今回の舞台は東京。これまで地方の村が中心だったので珍しいですね。また舞台が東京ということで、いつものキャンピングカーは活躍せず。ちょっとした旅小説としての楽しみ方もできる本シリーズなので、そこは少し残念。
鳴瀬清花シリーズでは神隠しや狼男、雪女などの超自然的な題材を取り上げてきましたが、今作は吸血鬼。おとぎ話のような題材が、現代日本のリアルなサスペンスに仕上がっています。
現代の日本に吸血鬼が存在するのか。
いつもより少しダークで切ないストーリーでした。
次回は、フランケンシュタインの怪物・・・でしょうか。
#読書
今回の舞台は東京。これまで地方の村が中心だったので珍しいですね。また舞台が東京ということで、いつものキャンピングカーは活躍せず。ちょっとした旅小説としての楽しみ方もできる本シリーズなので、そこは少し残念。
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現代の日本に吸血鬼が存在するのか。
いつもより少しダークで切ないストーリーでした。
次回は、フランケンシュタインの怪物・・・でしょうか。
#読書