#ふわふわ兄さん方と一緒
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ハロウィンなイタサス小咄
1/2 #文庫ページメーカー https://sscard.monokakitools.net/pagemakers/bunko/index.php
印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。付記に「にいさんのおばけ」、「@k_uyuu」と記載されています。 以下は本文の内容です。 　ふと気付くとそこにいる。 　それが現れた所をサスケが見たことは一度もなかった。いつも気付いたらそれはいる。 　頭から白いシーツを被ったような姿。足はあるのかないのか、シーツの影になってよく見えない。目の辺りに丸く開けられた二つの穴の奥も暗く、シーツの中に誰がいるのかは分からなかった。 　子供のいたずらや絵本、ハロウィンの仮装やらで見たことのある、所謂空想上のおばけの姿だ。そんなものがいるわけがない。いたとしてもそれは、誰かの想像や夢に過ぎないだろう。 　それでもサスケはそれを兄と呼ぶことにしていた。 「兄さん」 　ふわり。呼びかけると白いシーツを揺らしておばけが近付いてくる。足音はなく、シーツの裾は床の上を滑るように揺れていた。 　幽霊には足がないという。その分いくらかおばけは浮いているのか、床はもちろん積んである本や脱ぎ散らかした服を踏み付けることはしなかった。ふわふわと浮きながら 避けて進み、サスケの前までやってくる。 　あの頃の兄より今のサスケの方が背は高かったが、浮いている分おばけの方がすこしだけ頭のてっぺんが高い位置にある。シーツに開けられた二つの黒い穴もサスケのそれより高い。見上げる形になっても相変わらずシーツの中は見えなかった。 　すこし浮いているおばけは、サスケが肩の辺りをとんと軽い力で突いただけでふわふわと頼りなく揺れた。風船のように力のない動きでまた元の位置に戻ってくる。 　近付いてきたおばけはしばらくのあいだ身動ぎもせずサスケの前に佇む。いつもそうだ。なにを訴えるわけでもなにを求めるわけでもなく、サスケの部屋の隅に現れたおばけはじっと動かず佇んでいることも多い。 　呼びかければこうして近付いてくるし、或いはサスケが声を掛けなくても自分から寄ってきてくれた。 　そしておばけは、ぎゅっとサスケを抱き締めるのだ。 　抱き寄せられて顔がシーツ埋まると、布越しに焦げた臭いがした。兄だ。雷に打たれて兄さんは死んだのだ。 「泣くな」 　シーツの中から聞こえてくる声が兄のものかは分からない。その声を最後に聞いてからもう何年経ったのか、顔だってぼんやりとしかサスケは思い出せなくなっている。 　サスケの人生の中で兄と一緒にいられた時間はそんなに多くなく、今となっては一割にも満たないだろう。シーツの中から伸びてきた手が頬を拭って頭と肩と背中を撫でてくれて、それでもサスケは疑いもせずそれを兄のものだと思った。 　もう疾うに涙なんか枯れ果てているのに、そう言っておばけになった兄がサスケを抱き締めてくれる。 「お前はいい子だ」 　このシーツの中身が本当に兄さんかどうか、確かめたことはない。或いはシーツをめくったら知らない顔があるのかもしれなかった。兄とは似ても似つかない化け物が、サスケがどこかで手にかけた誰かが、他愛なく騙されたと嘲笑っているかもしれない。そう考えなかったかと言えば嘘だ。 　でもシーツの中の優しい腕はサスケの輪郭をそっと撫でるだけだった。もう子供なんかではなく、兄の死んだ年より長く生きているサスケを包み込み抱き締めて撫でて、只管に慰めてくれる。 　その背中にサスケが腕を回せば、受け止めるように兄の体から力が抜けた。シーツの中に感じるのはいくらか厚みのある肩と背中で、それでもやはり今のサスケより幼く感じられる。だって俺より五つ年上の兄さんが死んだのは、俺が十六の時だ。 　もっと生きられたはずのなんだって出来ただろう兄を、殺したのはサスケなのだ。 　おばけは、兄は、兄さんはそんな俺を愛しているのだとその全身で教えてくれる。そのためだけに何度でも俺の前に現れた。 　この白いシーツに包まれて、いっそこのまま消えてしまいたいとサスケが何度思ったことか。深く吸い込む鼻の奥をちりと焼くような焦げた臭いもずっと嗅いでいたい。おばけでいいから兄とずっと一緒にいたかった。
November 2, 2025 at 1:33 PM
konsuke-ponsuke.bsky.social
今日はハヤタ兄さん＆ミライ兄さんと暮らし始めてから、１年が経ちました🏡
兄さん方、これからもずーっと仲良し兄弟でいて下さいね☘️🍀
宜しくお願い致します😌
#ウルトラマン
#ふわふわといっしょ
#ウルトラマンメビウス
#ふわふわ兄さん方と一緒
#M78ふわふわが集まるタグ
December 2, 2024 at 2:23 AM
konsuke-ponsuke.bsky.social
今日はめび兄さん方を吸わないとやっていられない日だよ…
#ふわふわといっしょ
#もちもちといっしょ
#メビウスにメロンパン
#ウルトラマンメビウス
#ふわふわ兄さん方と一緒
#M78ふわふわが集まるタグ
March 2, 2025 at 4:13 AM
zerotwinsword.bsky.social
#M78ふわふわが集まるタグ
「ゼロ、ゼットが世話になってるようだな」
「エース、ゼットから聞いたのか？」
「買い物に一緒に行ったとか、お菓子を一緒に食べたとか楽しそうに話してたぞ」
「そっか、オレも楽しかったってエースからアイツに言っといてくれ」
「ゼロ、それ直接ゼットに言った方が喜ぶと思うが？」
「…いや、あのさ、照れるし💦」
「セブン兄さんに似て照れ屋だな」
「そ、そうなのか？」
実はゼットと過ごすと楽しいふわゼロさんでした😊🎶
おやすみなさい🌙⭐️
March 26, 2025 at 1:37 PM
konsuke-ponsuke.bsky.social
ミライ兄さん＆もちめび兄さん「メロンパンメロンパンメロンパン💕💕」
…ちなみに兄さん方と相談して、スーパーカップのメロンパン🍈→チョコチップメロンパン🍈→普通のメロンパン🍈の順で食べました😋
#ふわふわといっしょ
#もちもちといっしょ
#メビウスにメロンパン
#ウルトラマンメビウス
#ふわもち兄さん方と一緒
#M78ふわふわが集まるタグ
July 19, 2025 at 11:20 AM
konsuke-ponsuke.bsky.social
月見バーガーを買って来たので月と関係が深い、星司兄さん＆お初のもちース兄さん(もちエース兄さん)と撮りました✨✨✨✨
#ふわふわといっしょ
#もちもちといっしょ
#ウルトラマンエース
#ふわもち兄さん方と一緒
#M78ふわふわが集まるタグ
#M78もちもちが集まるタグ
September 12, 2025 at 12:35 PM
konsuke-ponsuke.bsky.social
またふわふわ兄さん方＆もちもち兄さん方が先程、到着されました💨💨
これから宜しくお願い致します😊
#ふわふわといっしょ
#もちもちといっしょ
#ウルトラマンゼノン
#ウルトラマンマックス
#ウルトラマンネクサス
#ウルトラマンエックス
#ウルトラマンベリアル
#ふわもち兄さん方と一緒
#M78ふわふわが集まるタグ
#M78もちもちが集まるタグ
September 18, 2025 at 10:45 AM
hamachihamachi.bsky.social
ヨッ！！
全くまともじゃない方と比較的まともなまともじゃない男！！
ふわふわ癖毛と素敵な髭のお兄さん(半笑い)に梶木はもう瀕死です！！助けてください！！
やっぱり君らは二人一緒にいると映えるね！！さすが映画にもなった男どもだ！！(？)
そういえばきみらは白手袋してたんだったね！！なんかえっちだね！！サブリミナルセクハラで申し訳ない。
January 5, 2025 at 3:29 PM
konsuke-ponsuke.bsky.social
今回は珍しく、セリザワ兄さん＆もちひか兄さんが気になったようですよ💡
何でも「ふわもち」に反応したとのことです😊
#ふわふわといっしょ
#もちもちといっしょ
#ウルトラマンヒカリ
#ふわもち兄さん方と一緒
#M78ふわふわが集まるタグ
#M78もちもちが集まるタグ
April 20, 2025 at 1:30 PM
konsuke-ponsuke.bsky.social
久しぶりにお出掛けしたので、ふわもち兄さん方と一緒にお昼ご飯を食べていました😋
ウルトラ珍しいメンバーです😁
#ふわふわといっしょ
#もちもちといっしょ
#ウルトラマンティガ
#ウルトラマンヒカリ
#ウルトラマンメビウス
#ふわふわ兄さん方と一緒
#M78ふわふわが集まるタグ
August 17, 2025 at 4:13 AM
konsuke-ponsuke.bsky.social
今日だって、いー兄さんの日だって思うんですが…。
皆様はどうでしょうか？？
ふわふわ兄さん方、これからも宜しくお願い致します😌
#いい兄さんの日
#ふわふわといっしょ
#ふわふわ兄さん方と一緒
#M78ふわふわが集まるタグ
December 3, 2024 at 2:23 AM
konsuke-ponsuke.bsky.social
ゲント兄さんがサンタさんマントを着た後、自分も着ることになったミライ兄さん🤶
#MerryChristmas
#ふわふわといっしょ
#ウルトラマンメビウス
#ウルトラマンブレーザー
#ふわふわ兄さん方と一緒
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サンタさんマント姿のゲント兄さん サンタさんマント姿のミライ兄さん
December 25, 2024 at 1:55 PM
krm773.bsky.social
FGO始めた動機が私と全く一緒だ…！マーリンほんと良いですよね～✨️見た目のふわふわ感に反して中身いい加減なのにやる時はやるめちゃくちゃカッコいいお兄さんなのたまらんです…😊
FGO、PUはしっかり仕事してるイメージです…星4はともかく星5はすり抜けた回数の方が少ない記憶…🤔星5たくさん出てもすり抜け地獄より、重ねるのはしんどいけど堅実にしっかりPU出してくれる方がメンタル的には助かりますよね…！
September 5, 2025 at 11:30 PM
konsuke-ponsuke.bsky.social
ミライ兄さん＆もちめび兄さん「メロンパンメロンパン…💕💕」
#ふわふわといっしょ
#メビウスにメロンパン
#ウルトラマンメビウス
#ふわふわ兄さん方と一緒
#M78ふわふわが集まるタグ
February 27, 2025 at 4:13 AM
konsuke-ponsuke.bsky.social
ミライ兄さん「僕がジーッと見ていたら、コンすけが察してくれて、買ってもらったんだ～😋やっぱりコンすけは優しいな～💕💕」
#ふわふわといっしょ
#ふわふわ兄さん方と一緒
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October 29, 2024 at 11:40 AM
konsuke-ponsuke.bsky.social
ミライ兄さん＆もちめび兄さん「メロンパンメロンパンメロンパンメロンパン…🍈」
#ふわふわといっしょ
#もちもちといっしょ
#メビウスにメロンパン
#ウルトラマンメビウス
#ふわもち兄さん方と一緒
#M78ふわふわが集まるタグ
March 16, 2025 at 8:45 AM
konsuke-ponsuke.bsky.social
ミライ兄さん「メロンパン味のお菓子なんだって～🍈」
もちめび兄さん「コンちゃんは、ヨークベニマルでしか見たことがないって言ってましたよ～」
#ふわふわといっしょ
#もちもちといっしょ
#ウルトラマンメビウス
#ふわもち兄さん方と一緒
#M78ふわふわが集まるタグ
#M78もちもちが集まるタグ
March 28, 2025 at 8:34 AM
konsuke-ponsuke.bsky.social
先程、到着された兄さん方です。
これから宜しくお願い致します！！
#ふわふわといっしょ
#ウルトラマンガイア
#ウルトラマンアグル
#ウルトラマンオメガ
#ふわふわ兄さん方と一緒
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September 30, 2025 at 11:20 AM
konsuke-ponsuke.bsky.social
ミライ兄さん「今日の夕食はカレーだったんだ～🍛ちなみにカレー大好きハヤタ兄さんは最近、コンすけにかなりふわふわチャージしたから、ぐっすり休んでいたよｏ(＿＿*)Ｚｚｚ」
#メビウスにカレー
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#ウルトラマンメビウス
#ふわふわ兄さん方と一緒
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December 8, 2024 at 12:15 PM
konsuke-ponsuke.bsky.social
ミライ兄さん「ここはメロンパン天国だね～🍈」
もちめび兄さん「はい🎵ちなみに５個も入っているんですよ～🍈セブンイレブンのオープニングセールで、いつもより安かったみたいです‼️」
#ふわふわといっしょ
#もちもちといっしょ
#ウルトラマンメビウス
#ふわもち兄さん方と一緒
#M78ふわふわが集まるタグ
#M78もちもちが集まるタグ
April 19, 2025 at 3:48 AM
konsuke-ponsuke.bsky.social
イロハ氏はふわふわ兄さん方と一緒にいたいんですね😌
ふわめび兄さんが落ちてます…
November 7, 2024 at 1:25 PM
konsuke-ponsuke.bsky.social
ミライ兄さん「 メロンパンメロンパンメロンパンメロンパンメロンパン…💕💕」
#ふわふわといっしょ
#メビウスにメロンパン
#ウルトラマンメビウス
#ふわふわ兄さん方と一緒
#M78ふわふわが集まるタグ
December 5, 2024 at 12:10 AM
minami-muse.bsky.social
一昨日と昨日遊んでくれた仲良しのお兄さんたち、はじめましてのお兄さん方、ありがとう(❀ᴗ͈ˬᴗ͈)"

一昨日、ふわふわ🐰ちゃんのコスプレさせてもらってるんるんみなみさん - ·̫ - ᕷ*.°♡

かわいいコスプレするとテンション上がるね^🪄. ̫.^🪄

お兄さんたちのがんばりやさんなところとかを見てるとみなみも一緒に頑張るぞってなるよありがとう(՞ •̀֊•́՞)ฅ❤️‍🔥

お天気の変わり目みなさん体調大切にっ💐

🌷次回···▸ 10/3 (金) 15-22時 🌷
September 27, 2025 at 6:20 AM
konsuke-ponsuke.bsky.social
我が家のふわふわ兄さん方の衝撃的な入浴を…🛁
#ふわふわといっしょ
#ふわふわ兄さん方と一緒
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December 22, 2024 at 1:40 AM
ori-kazaha.bsky.social
黒猫の魔法使いなマゼヴェル『一緒に寝よう』3/4
「そうなんだ……じゃあ、さっき頑張って我慢したので良かったのかな？」 「どういうことだ？」 　問われたマゼルが先程の感覚についてヴェルナーに話すと、それを聞いたヴェルナーは少しびっくりしたような顔をしてから、嬉しそうにこう言った。 「そうか。やっぱりマゼルとはちゃんと合うんだな」 「どういうこと？」 　さっきとは逆にマゼルが尋ねる。 「魔法使いは使い魔がいると、一人の時より魔法がずっと上手く使えるんだ。使い魔の力を借りたり、逆に自分の力を使い魔に使わせたり、大人になったらいろんなことができるらしいんだが、その基本は感覚を合わせるってことなんだ。心を添わせて、感じてることを合わせて重ねて、一つになる。そしたら、自分だけで使うよりも魔法が上手くいくんだって」 　先ほどマゼルが自然に行ったことは、まさにそれだったらしい。確かに最後の方、上手くいく直前はヴェルナーと手を握り合って一緒に頑張っているような、そんな感覚になっていた。 「なんとなく、こうした方がいいのかなって思っただけだったんだけど……ヴェルナーの助けになってたなら、嬉しい」 　へにゃりと笑って言うマゼルの姿に、ヴェルナーの心に温かいものが宿る。勝手に使い魔に選んでしまったのに、そして今も何の説明もしなかったのに、マゼルはヴェルナーが望むことを同じように望んでくれて、一緒に行動してくれる。嬉しくて、ありがたくて、ますます大好きになって――そしてちょっとだけ怖かった。自分が使い魔に選んだせいで、マゼルに無理をさせているのではないか。使い魔に選んだこと自体でそんな作用があるのかどうか、今のヴェルナーに聞ける相手はいない。先程の使い魔と魔法使いの関係の説明だって、マゼルと会う前にヴェルナーが自分の親から聞かされていたことでしかない。 　だから、魔法使いにとって使い魔は大切な存在なん だよと教えられ、なるべく早くヴェルナーが自分の使い魔を見付けられるようにと、家族たちも尽力してくれていた。その結果、紆余曲折はあったもののヴェルナーはマゼルという最愛の使い魔を手に入れることができたが、幼くして家族とは離れ離れになってしまった。マゼルの家族たちも良くしてくれているので、今まで寂しさはあっても困るということはなかったのだが、これから魔法使いとしての修業を積んでいくにあたっては、同じ魔法使いである実の家族がいてくれたらと思うことが増えていくのかもしれない。 　まだまだ魔法使いとして未熟なヴェルナーは修練すべきことばかりのため、一人で研鑽を積んでいるだけでも充分な成長が見込める段階なのだが、その先に様々な魔法に手を広げていくのならば、先人の知恵を借りた方が効率的だ。魔法使いがいないこの村にいては、それが難しいのでどうするべきか……と未来に思いを馳せたのを隠すように、ヴェルナーはマゼルの肩を丁寧に舐め始めた。 　肩の横、首筋、肩甲骨の間、それから前足をぐいっとかけて頭を下げさせて、後頭部や耳の後ろ。自分じゃ舐めにくいところを重点的に毛繕いしていって、頭の上から反対側に回っていってそちらのを舐めようとしたとき、マゼルがプルプル震えているのに気が付いた。 「どうした？」 「どうしたって、なんでこう、君は……！」 　一瞬だけ目が合ったと思うと、マゼルはぎゅっと目を瞑ってしまった。体の震えは寒さや怯えというよりは、必死に何かを我慢しているというか、武者震いのような感じがした。 「頭って自分じゃやりにくいんだぞ？」 　マゼルは猫初心者だから知らないだろうが……と、ご高説を垂れようとしてくるヴェルナーに、カッと目を開いたマゼルが食って掛かった。 「そうだろうね！　でもそれ今やること！？」 「や、まあ、別に今じゃなくてもいいんだが」 「じゃあ今度にしよう！　びっくりしたんだよ僕！！」 　勢いに押されて、ヴェルナーはなんだか良く分からないままに、すまんかった、とマゼルに一言謝りをいれる。 「もうっ、もう！　お兄さんぶってても猫はコレだから……！」 「悪かったって。気持ち良く無かったみたいで、スマン」 　俺って毛繕い下手だったんだな、とヴェルナーはショックを結構な受けていた。 「気持ちはよかったよ！　良かったけどね！？　尚の事良くないと思うよ！！」 「意味分からん……」 　さっきは、マゼルと心を一つに合わせられたと思ったのに。あっという間にヴェルナーにはマゼルの気持ちが分からなくなってしまった。それでもきっと、マゼルが人間の姿だったらさすがのヴェルナーにも分かったはずである。ふわふわの毛並みに隠されて見えなかっただけで、この時のマゼルの顔は月明かりの下でも分かるくらい、真っ赤になっていたのだから。 　しょんぼりと耳が倒れてしまったヴェルナーに、マゼルの心もちょっとだけ痛む。気を取り直して、改めてヴェルナーにひそひそ声で話しかけた。 「それで……ヴェルナーが僕を昼寝させてまでしてやりたかった事って、僕の毛繕いなの？」 「あ、そうだった」 　毛繕いは毛繕いで、猫にとって大事なんだが……とまだそこのこだわりは捨てきれない様子だったが、すっくと四つ足で立ち上がったヴェルナーは、マゼルの前でぐぎゅっと背を丸めて体を持ち上げるような伸びをして見せた。 「猫なら普通って言っただろ。だから、マゼルもやってみたらいいと思って」 「……へ？」 「順番は好みでいいと思うけどな。俺はまず、脚全部伸ばすのからやるのが好きだ」 　その次は前にするか後ろにするかは気分次第だなぁと呟くヴェルナーを見ながら、マゼルはぱちぱちぱちと真っ黒な猫の目で瞬きをする。 「猫の体伸ばしを、僕にやれってこと？」 「綺麗とかなんとか言ってたけど、やってみたらどうってことないって分かるかと思って」 「そういうことじゃないんだけどな……」 　だって、ヴェルナーならばきっと人間の姿で体を伸ばしているのも美しいと思う。 「いいからやってみろよ。猫の身体は人間より柔らかいのが普通なんだって！」 　それはそうなのだろうけれども。 　ともかく、マゼルは言われるがまま、ヴェルナーに教わって体のあちこちを伸ばすことになるのだった。やはり人間とは骨格からして違うので、動かし方も色々と勝手が違ったのだが、この感覚が人間の姿のマゼルにとっても体の使い方として参考になるだなんて、この時の二人は全く考えもしていなかった。もっとも、それでなくてもマゼルは天性の勘で元から人よりも良く動けたので、誰も猫の動きを参考にしていただなんて気付きもしなかったのだけれども。 　一通り猫の動きを試した後で、今日の所はお開きにすることにした。部屋を出る前にこっそり開けておいたベッドサイドの窓から部屋に戻ることにする。高いところへの飛び上がり方もヴェルナーから教えを受けたマゼルは、何度か試してみただけで見事窓枠に飛び乗ることができた。そのまま部屋に入って、大きくジャンプして床へと危なげなく着地する。動きとしては問題なかったものの、猫の体の何倍もの高さから飛び降りているので、心臓はバクバクとしていた。これもそのうち慣れるのだろうか。 「こっちは大丈夫だよ」 　にゃーん、というマゼルの鳴き声が、部屋の外で待っているヴェルナーにも届く。それを聞いてヴェルナーも、ひらりと舞い上がるように窓枠に登ると、前
August 17, 2025 at 11:56 AM