お誕生日おめでとうございます！
素敵な一年、幸多き一年になりますように。
美味しいもの、可愛いものもたくさん訪れますように。

　一緒に戦っていた槍術士の方が、信じられないものを見たかのように目をひんむいていましたけれど――何を見たんでしょうね？
　誰かが質問する前に、槍の人も剣士さんも帰ってしまって謎は謎のまま。
　あ、支援部隊がやってきました！　担架をお願いしたので、ここからはそれで帰れますよ。お疲れ様でした。

　冗談なのか、とんでもない変顔を披露してくれるのか、はたまた人外も見惚れるようなイケメンなのか。
　どうなったかと言いますと、本当に不思議だったんです！
　その剣士さんが前にたって、仮面をずらしたとたんに敵が剣士さんに向かっていったんですから。
　それが一回だけじゃなくて、討滅中にずうっとそうだったんです。さっと仮面をずらすと、ざざっと森の悪しきモノたちが寄ってくるんです。どんな仕掛けだったのか、あたしには見当もつきません。あたしは後方支援ですから、剣士さんの素顔を見ることはできませんでしたし。

　あたしだって鬼哭隊の一員ですからね！　それなりの心得はあるんです。
　時々、リクエストをうけることもあります。
「盾を持つ腕を優先して欲しい」とか「弓を引く指先を一番に」とか。
　印象に残っているのは「とにかく顔を真っ先に」って人ですね。
　冒険者の方でした。ギルドを通して来てくれた剣士さんです。
　どんなイケメンだったのかって？
　それが仮面をしてたんですよ。我々鬼哭隊がしているものとよく似た仮面を。
　面妖なのはその理由もで「挑発は顔でするから」とそれはそれは真面目な様子で言ってきたんです。
　ふふ。あのときのあたしも、今のあなたのような顔つきになっていたと思います。