ゆめゆめ好きだ。くれぐれも。
白き鼓動を道連れにしたのだ。
短な命の塊を濃縮して搾れば
君のような色になるだろうか。
それで僕は駆けたのだ。
ほとほと好きだ。つれづれと。
黒き野望を道連れにしたのだ。
浅き夢の塊を漂白して戻せば
僕のような色になるだろうか。
朝が来るまでの一秒。
嘘は嘘のままでは嘘だから
真実を掛け合わせておこう。
きっと驚くんだろう 君も。
ゆめゆめ好きだ。くれぐれも。
白き鼓動を道連れにしたのだ。
短な命の塊を濃縮して搾れば
君のような色になるだろうか。
それで僕は駆けたのだ。
ほとほと好きだ。つれづれと。
黒き野望を道連れにしたのだ。
浅き夢の塊を漂白して戻せば
僕のような色になるだろうか。
朝が来るまでの一秒。
嘘は嘘のままでは嘘だから
真実を掛け合わせておこう。
きっと驚くんだろう 君も。
つまらない結論で申し訳ないが、要するに僕は傷付きたくないのだし、同じくらい誰も傷付けたくはないのだ。その結果、その失敗を避ける道程で人を傷付けている。
回避する方法も身に付けないまま、まるで嵐の中の航海の途上で氷山が現れるような、その瞬間に、やはり僕は誰かを急かし、退かし、責めるかもしれないな。それでもあのまま死ぬよりはマシだった。
そして君のことが嫌いだったんだ。
だから好きになりたかった。
誰かを責めようとした瞬間にーーまた、その瞬間に。
つまらない結論で申し訳ないが、要するに僕は傷付きたくないのだし、同じくらい誰も傷付けたくはないのだ。その結果、その失敗を避ける道程で人を傷付けている。
回避する方法も身に付けないまま、まるで嵐の中の航海の途上で氷山が現れるような、その瞬間に、やはり僕は誰かを急かし、退かし、責めるかもしれないな。それでもあのまま死ぬよりはマシだった。
そして君のことが嫌いだったんだ。
だから好きになりたかった。
誰かを責めようとした瞬間にーーまた、その瞬間に。
三半規管の反動を抜けて、網膜に飛び込んだのは少女で、それがつまり単純に、この言葉が単なる妄想だという事実を鮮明にしていた。
コントラストからコントラストへ。絶望は絶望のまま、希望は希望のまま語られるが、果たして君が呟いた昨日の絶望的な絶望が、明日の君の絶望であるかは分からないよ。
頭を撃ち抜かれた少女は、しかしこれが妄想だからこそ鮮烈に笑い、まるで鮮血をそれと感じさせぬほど美しいグラデーションで鉛色に戻した。
リンダ、それでも尚、聞こえるか。銃声の狭間で見えた青空と、同じトーンで広がっていた抜けるような歌が。
三半規管の反動を抜けて、網膜に飛び込んだのは少女で、それがつまり単純に、この言葉が単なる妄想だという事実を鮮明にしていた。
コントラストからコントラストへ。絶望は絶望のまま、希望は希望のまま語られるが、果たして君が呟いた昨日の絶望的な絶望が、明日の君の絶望であるかは分からないよ。
頭を撃ち抜かれた少女は、しかしこれが妄想だからこそ鮮烈に笑い、まるで鮮血をそれと感じさせぬほど美しいグラデーションで鉛色に戻した。
リンダ、それでも尚、聞こえるか。銃声の狭間で見えた青空と、同じトーンで広がっていた抜けるような歌が。
しかし例えばスプライトがスプライトを現し、それを飲む瞬間の炭酸の弾ける音が、味覚以上に味覚を刺激するのであれば、それとも掌に伝わるよく冷えた温度や、または僕自身の発汗が、スプライトの本質を指している場合があって、要するにーー「僕って何なんだろうな」
「何が?」
「別に」
それでリンダは砂糖を入れない珈琲を飲み、まるで僕を子供を眺めるみたいに眺めて、少し溜息のように笑って、曇った窓の外を見た。
魂は魂の形を成さず、また僕の目を君にフォーカスさせた。
しかし例えばスプライトがスプライトを現し、それを飲む瞬間の炭酸の弾ける音が、味覚以上に味覚を刺激するのであれば、それとも掌に伝わるよく冷えた温度や、または僕自身の発汗が、スプライトの本質を指している場合があって、要するにーー「僕って何なんだろうな」
「何が?」
「別に」
それでリンダは砂糖を入れない珈琲を飲み、まるで僕を子供を眺めるみたいに眺めて、少し溜息のように笑って、曇った窓の外を見た。
魂は魂の形を成さず、また僕の目を君にフォーカスさせた。
「え?」
「色」
「ああ」
徹底的に不快で不安な世界から、光を眺めている。君では僕を救えないよ。僕にだって僕を救えなかった。
「何が好き?」
僕等に残り時間が、あとどれだけ残されているのか分からないが、肥大した自我を持て余すか、悟ったような顔をして過ごすか。
「銀色」
「ははっ」
退屈だから遊んでいたんだ。できるだけ夢中になって。束の間、忘れたよ。君のことも。やがて僕等が消えることも。
「私も」
「何が?」
「銀色」
リンダ、全てが理由もなく輝いて見える瞬間があるよ。それを掴んでみたい。もしもそれが焦熱の光なら、焦げて果てたっていい。
銀色に燃える。
「え?」
「色」
「ああ」
徹底的に不快で不安な世界から、光を眺めている。君では僕を救えないよ。僕にだって僕を救えなかった。
「何が好き?」
僕等に残り時間が、あとどれだけ残されているのか分からないが、肥大した自我を持て余すか、悟ったような顔をして過ごすか。
「銀色」
「ははっ」
退屈だから遊んでいたんだ。できるだけ夢中になって。束の間、忘れたよ。君のことも。やがて僕等が消えることも。
「私も」
「何が?」
「銀色」
リンダ、全てが理由もなく輝いて見える瞬間があるよ。それを掴んでみたい。もしもそれが焦熱の光なら、焦げて果てたっていい。
銀色に燃える。
学校を卒業しても働かず、毎日フラフラしてた僕は、不意に幼馴染に電話した。
「一緒に何かやらないか?」
若さの焦りだったのか。多分きっと、バンドでもお笑いでも、それは何でも良くて、多分きっと、僕はまだ大人になりたくなかったのだ。
ブランキー・ジェット・シティが好きで、オシャレな人だった。僕のムダに熱心な誘いを聞いて
「君は外国に行った方がいいよ」
と言った。
実際の僕は、そのあと外国なんかに行かず、引きこもりになった。大人になるまで(卵でも温めるように)膝を抱えて蹲る歳月が必要だった、
それから随分経って、彼が亡くなったことを知った。
彼のあの言葉を、たまに思い出す。
学校を卒業しても働かず、毎日フラフラしてた僕は、不意に幼馴染に電話した。
「一緒に何かやらないか?」
若さの焦りだったのか。多分きっと、バンドでもお笑いでも、それは何でも良くて、多分きっと、僕はまだ大人になりたくなかったのだ。
ブランキー・ジェット・シティが好きで、オシャレな人だった。僕のムダに熱心な誘いを聞いて
「君は外国に行った方がいいよ」
と言った。
実際の僕は、そのあと外国なんかに行かず、引きこもりになった。大人になるまで(卵でも温めるように)膝を抱えて蹲る歳月が必要だった、
それから随分経って、彼が亡くなったことを知った。
彼のあの言葉を、たまに思い出す。
それは僕の習慣ーー冬の終わりにしかしないから、習性と呼ぶべきかーーだけれど、今この目の前に佇む冬の終わりは、まったく無臭だった。
人気のない、透明な、感情のない冬が溶けて無くなろうとしているだけだった。
目を瞑って、耳を塞いでも、匂いを感じることはできず、ただ雫を一滴垂らしたような孤独を確認するだけだった。
綺麗事は嫌いだ。しかし綺麗事も言えずに不平と不満を弄んで死ぬのは、もっと嫌いだ。だらしない感動染みた感動を押し付けられて、世界は美しいと謳うのも、全て混沌とした白濁の中に飲まれた汚物のように憂うのも、どちらもまるで健全ではない。
冬が終わるから匂いを嗅いだ。
それは僕の習慣ーー冬の終わりにしかしないから、習性と呼ぶべきかーーだけれど、今この目の前に佇む冬の終わりは、まったく無臭だった。
人気のない、透明な、感情のない冬が溶けて無くなろうとしているだけだった。
目を瞑って、耳を塞いでも、匂いを感じることはできず、ただ雫を一滴垂らしたような孤独を確認するだけだった。
綺麗事は嫌いだ。しかし綺麗事も言えずに不平と不満を弄んで死ぬのは、もっと嫌いだ。だらしない感動染みた感動を押し付けられて、世界は美しいと謳うのも、全て混沌とした白濁の中に飲まれた汚物のように憂うのも、どちらもまるで健全ではない。
冬が終わるから匂いを嗅いだ。
それで僕は残された感情をつまんで、そのつまらない一端を、こうして水面に石でも投げるようにして放つ。音も響かずに何処かに落ちる。いや落ちてさえいないのかもしれない。
細波は未だ僕を眠らせず、光を影のように、影を光のように見せる。そのどちらにも騙されず、真実らしき事柄を真実だと信じて、これが自分だと嘯く。溜め息をついて正義を気取る。やがて嘘さえ飲み込んでしまう。
それで僕は残された感情をつまんで、そのつまらない一端を、こうして水面に石でも投げるようにして放つ。音も響かずに何処かに落ちる。いや落ちてさえいないのかもしれない。
細波は未だ僕を眠らせず、光を影のように、影を光のように見せる。そのどちらにも騙されず、真実らしき事柄を真実だと信じて、これが自分だと嘯く。溜め息をついて正義を気取る。やがて嘘さえ飲み込んでしまう。