「え、ぁ、きみ、君えっ」
まさに百面相。十年近い付き合いで見たことのない、🌱はしないだろうと思っていた表情がいくつも🏛️の網膜に飛び込んで来た。目まぐるしく変わる『ありえない光景』に啄木鳥みたいな声をあげるしかできない。
「……どうだ?」
時間にしたら一分半くらいだったのかもしれないが、🏛️からしたら一瞬だった。一瞬だったのに、脳裏に張り付いて離れない‼️ 目尻を染めた顔、頬を膨らませた顔……顔、顔、顔……。
「……ぁ、あ」
酔いがすっかり醒めた頭で🏛️は叫んだ。
「🌱はそんな顔、しない!!!!!!!!!!!」
「え、ぁ、きみ、君えっ」
まさに百面相。十年近い付き合いで見たことのない、🌱はしないだろうと思っていた表情がいくつも🏛️の網膜に飛び込んで来た。目まぐるしく変わる『ありえない光景』に啄木鳥みたいな声をあげるしかできない。
「……どうだ?」
時間にしたら一分半くらいだったのかもしれないが、🏛️からしたら一瞬だった。一瞬だったのに、脳裏に張り付いて離れない‼️ 目尻を染めた顔、頬を膨らませた顔……顔、顔、顔……。
「……ぁ、あ」
酔いがすっかり醒めた頭で🏛️は叫んだ。
「🌱はそんな顔、しない!!!!!!!!!!!」
「はいはい君はそういう奴だよ」
もう一口飲もうとして、🏛️は杯が空なことに気付いた。ないものは仕方ないと肩を竦める。
「認識の相違、ってやつだな」
結局同じ結論に達した。酒を注ぎ足そうと二人の間にあるボトルに手を伸ばした時、ポツリと🌱が口を開いた。
「君は……」
「なんだ?」
空中で手を止めて、目の前の後輩を見る。その顔は相変わらず鉄仮面だった。
「俺が表情を頻繁に変え、君の言う可愛げを見せれば俺を好ましく感じると?」
「ん? あー……そうかもな? って言ってもそんなの想像もでき──」
「こうか?」→
「はいはい君はそういう奴だよ」
もう一口飲もうとして、🏛️は杯が空なことに気付いた。ないものは仕方ないと肩を竦める。
「認識の相違、ってやつだな」
結局同じ結論に達した。酒を注ぎ足そうと二人の間にあるボトルに手を伸ばした時、ポツリと🌱が口を開いた。
「君は……」
「なんだ?」
空中で手を止めて、目の前の後輩を見る。その顔は相変わらず鉄仮面だった。
「俺が表情を頻繁に変え、君の言う可愛げを見せれば俺を好ましく感じると?」
「ん? あー……そうかもな? って言ってもそんなの想像もでき──」
「こうか?」→
「……君の主張はそれで終わりか?」
一方🌱は一切の表情を変えずにそう返す。
「君の主張は理解した。その上で俺の意見は変わらない」
突き放すような口調だが、🏛️は特に気分を害した様子はない。『どーせそうだろうさ!!!』と顔に書いてある。別に意見を変えさせたくて言った訳じゃない。酒の席なのだから、議論の目的は議論自体で、詰まるところ話すことがそうなのだ。既に目的は達成されている。
「🪷の態度が彼女と周囲の関係を円滑にしていることは認めるが、生憎俺はシアターの舞台に立つ予定はない。それに、→
「……君の主張はそれで終わりか?」
一方🌱は一切の表情を変えずにそう返す。
「君の主張は理解した。その上で俺の意見は変わらない」
突き放すような口調だが、🏛️は特に気分を害した様子はない。『どーせそうだろうさ!!!』と顔に書いてある。別に意見を変えさせたくて言った訳じゃない。酒の席なのだから、議論の目的は議論自体で、詰まるところ話すことがそうなのだ。既に目的は達成されている。
「🪷の態度が彼女と周囲の関係を円滑にしていることは認めるが、生憎俺はシアターの舞台に立つ予定はない。それに、→
今度は🌱が大人しく、酒で唇を濡らす。無言は肯定。
「彼女の豊かな表情や気遣いに愛嬌ってやつは宿る……そうは思わないか?」
「そういう見方も、あるだろうな」
愛嬌は要らないと言ったが、別に🌱はその存在を否定はしてない。世の中でそういう風に言われていることは勿の論で知ってる。
「彼女が愛されてる一端がそれだ……と、僕は思うぞ。彼女の愛嬌は彼女の魅力の一部で、同時に彼女の魅力を気付かせるファクターの一つだ」
シアターの舞台で軽やかに踊る可憐な少女の姿を思い出したのだろう、🏛️は染まった目尻を少し細める。→
今度は🌱が大人しく、酒で唇を濡らす。無言は肯定。
「彼女の豊かな表情や気遣いに愛嬌ってやつは宿る……そうは思わないか?」
「そういう見方も、あるだろうな」
愛嬌は要らないと言ったが、別に🌱はその存在を否定はしてない。世の中でそういう風に言われていることは勿の論で知ってる。
「彼女が愛されてる一端がそれだ……と、僕は思うぞ。彼女の愛嬌は彼女の魅力の一部で、同時に彼女の魅力を気付かせるファクターの一つだ」
シアターの舞台で軽やかに踊る可憐な少女の姿を思い出したのだろう、🏛️は染まった目尻を少し細める。→
「いや、サンプルを提出するね」
今日の🏛️はまだ粘った。
「……ほう?」
興味を持つ。杯を片手に本から目を上げると、予想通りの赤ら顔が見えた。何度見ても見飽きない顔である。
「🪷、君も知ってるだろ?なんたって一緒に国を救った仲間なんだから」
「……君はまだ、根に持っているのか。居なかったのだから仕方ないだろう。文句は己の間の悪さに言うんだな」
胡乱な🌱の目に、🏛️は無言で酒を一口あおる。
「🪷のことが嫌いな奴は→
「いや、サンプルを提出するね」
今日の🏛️はまだ粘った。
「……ほう?」
興味を持つ。杯を片手に本から目を上げると、予想通りの赤ら顔が見えた。何度見ても見飽きない顔である。
「🪷、君も知ってるだろ?なんたって一緒に国を救った仲間なんだから」
「……君はまだ、根に持っているのか。居なかったのだから仕方ないだろう。文句は己の間の悪さに言うんだな」
胡乱な🌱の目に、🏛️は無言で酒を一口あおる。
「🪷のことが嫌いな奴は→
と、🏛️が据わった目で🌱を睨め付けるが当の🌱は涼しい顔で
「認識の相違だな」
とだけ言う。この話題は似たようなやつを数度やってる。その度にこの結論に達して終わるというのに、🏛️は懲りずに持ち出してくる。🌱はそういう絡繰かと呆れたりするけども、そんな二人の晩酌をたびっとや教0院の後輩が見たらきっと驚く。手遊びのような議論だったとしても、同じ論をなぞる話を複数することを🌱が許容していることに。それはなんでやって言ったら、もうそれは議論ではなくコミュニケーションになってて、オマケに🌱がそれを心地よく──とは行かないまでも、→
と、🏛️が据わった目で🌱を睨め付けるが当の🌱は涼しい顔で
「認識の相違だな」
とだけ言う。この話題は似たようなやつを数度やってる。その度にこの結論に達して終わるというのに、🏛️は懲りずに持ち出してくる。🌱はそういう絡繰かと呆れたりするけども、そんな二人の晩酌をたびっとや教0院の後輩が見たらきっと驚く。手遊びのような議論だったとしても、同じ論をなぞる話を複数することを🌱が許容していることに。それはなんでやって言ったら、もうそれは議論ではなくコミュニケーションになってて、オマケに🌱がそれを心地よく──とは行かないまでも、→