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S級/ORV/S級を育てるお兄ちゃんと全部知ってる読者と主人公について語りたくて垢作った成人済みオタク
日本語版漫画で追ってます🐌
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ジュンドク後宮パロ　皇帝YJH×側妃ドクシャ
印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。付記に「こればっかりは、ままならない（ジュンドクAU）」、「@raku_1012」と記載されています。 以下は本文の内容です。 　ジュンヒョクがその部屋に足を踏み入れると、長椅子にだらしなく横たわったまま菓子を口にする間抜けな顔が出迎えた。 「え、なに」 「だらしない」 「お前は、俺の母親だったっけ？」 　ジュンヒョクが冷たくその姿を見下ろしても、ドクシャは肩を竦めるだけで全く答えた様子がない。イライラしたまま向かいの長椅子にドカリと腰を下ろすと、ようやっとしどけない姿をさらしていた貴人は起き上がり、「なんか用？」と何でもないように首を傾げた。 　此処は後宮で、目の前のこの男はジュンヒョクの側妃であるはずだ。それなのに、媚びることも敬うことすらしない。それでも、ジュンヒョクはこの妃を無視することが出来ない。 「先日の」 「ん？」 「国境沿いの獣害の件だ」 「あぁ」 　国境沿いで生じた度重なる獣害について、ジュンヒョクは頭を悩ませていた。隣国との軋轢もあり、単純に駆除すればいいというわけではなかったのだ。それをついこの変わり者の妃に零したところ、さらりとその解決策を語って見せたのだ。 「本に書いてあっただけだから、実際に上手くいくかは知らないけどな」葡萄をぺろりと食べながら言ったその策は、けれどジュンヒョクから見れば穴は見つけられなかった。重臣といくつかの折衷を経て、そして。 「……お前が話していた方法が上手くいった」 　これは皇帝であるジュンヒョクからすれば、最大限の誉め言葉だ。誰もかれもが、目を輝かせて大喜びするというのに。 「へぇ、良かったな」 　ヒウォンさん、お茶ちょうだい。そう声をかけられた女官は、苦笑したまま茶の準備を始める。 　その態度にこめかみに血管を浮かべたジュンヒョクを見ずに、ドクシャは笑う。 「あそこの田舎料理は、美味しいらしいから」 　良かったな、と軽く言われる言葉に、毒気を抜かれてしまう。 　大陸中から集められた皇后候補の一人であるキム・ドクシャは、遠くの小国から、少しの供だけ伴ってやってきた。皇帝の寵にも、政権争いにも、興味がないらしく、日永のんべんだらりと本を読んで過ごしているものだから、誰もかれもがその存在を忘れていた。 　ジュンヒョクがドクシャを見つけたのも偶然だ。寵に興味がないから、ジュンヒョクにも平気で不遜な態度をとる。それに苛立ちながらも、心地よかったというのに、今やそのジュンヒョクに興味のない態度が気に入らなかった。 「何か欲しいものがあるか」 　ジュンヒョクの言葉に、ドクシャの夜空の瞳が宙をうろつく。そうして、軽く頭を振った。 「別に、なんも」 　美味しい飯が食べれて、皆に給料が払えて、本を読めれば十分、と語るドクシャは、ジュンヒョクに対してなにも欲しがらない。それがまたジュンヒョクには腹立たしかった。大陸一の大国の皇帝に、手に張らないものは何もないというのに。そもそも欲しいものがないと言われてしまえば、なにも贈れるものがないではないか。 「それでは、俺の面子が立たない」 「面子！　大変だな、皇帝するのも」 　そんな風に、同情されるのも初めてだ。面倒なことはしたくないと常日頃から嘯くドクシャが、臨んでこの国にやってきたのを知っている。国には他にも姫がいた。王弟であるドクシャが来る必要もなかったというのに、わざわざ人質紛いの側妃としてやってきたことを、ジュンヒョクを知っていた。 「俺は本を読んで、のんびり過ごせればいいよ」 　そんな唯一のささやかなドクシャの願いも、皇后となってしまえば叶えられなくなる。 　ジュンヒョクは、深くため息をついて、そうか、と呟いた。
September 15, 2025 at 1:31 PM
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仕事場の同僚が、通勤途中でカブトムシを拾ってきてくれた！嬉しい〜〜！！！私も３歳児も大喜びでござる
July 25, 2025 at 11:21 AM
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新刊の表紙はこれの予定　作ってから、ゆうても部屋に入るターンすぐ終わるやろがいって気づいた
July 20, 2025 at 11:20 AM
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2/2）
るからだ。 　専門医に少し話を聞いた時には、雄としての本能が強まった結果の、給餌行動だろうと説明を受けた。 　ジュンヒョクはこの後の三日間ほどで、きっと俺が好むリネン類を買い込み、いい香りのするルームフレグランスを探して、とんでもなく心地の良い『巣』を作り上げるのだろう。 　 　自分の雌に餌を運び、太らせ、栄養を取らせ。 　心地の良い巣を提供し、自分の雄としての有能さを示して、雌に孕んでもらうために。 　 　箸を噛んで、ぐ、と口を噤んだ。じわじわと、首筋から耳までが熱くなっていくのがわかる。 　ベータの癖に。ベータのくせに、これから孕まされるのだと思うと、ぞわりと背筋が震えた。この美味しい食事も、自分が下ごしらえされている気分になる。 　なんども暴かれた胎の奥が、ぐず、と重たくなる。 　誤魔化すように、ご飯をかき込めば、ジュンヒョクの目が細くなる。 「ゆっくり食べろ」 　コイツはわかっているのだ。視線でわかる。これは、時期を見定めているアルファの目だ。 　この時期のジュンヒョクは、本能が強くなる所為か、少しだけ理性のコントロールが弱くなる。 　まるで肉食獣に狙われる、草食獣のような。恐怖と紙一重の興奮に、腕に鳥肌が立つ。 「休み、３日でいい？」 「……今日から休めないのか」 「前も言ったけど、無理だな。そんな急なのは」 　この時期は、外にも出したくなくなるらしい。ジュンヒョクが顔をしかめるのを、肉食獣の飼育員のような気持でたしなめる。少し対応を間違えれば、噛み千切られそうだ。 　鼻で息をついたジュンヒョクは、まだ不満そうな顔をしながらも、肩を竦める。 「早くそんな会社、潰れてしまえ」 「お前ね…」 　早速始まったアルファの我儘に、俺はこれからいくつこのアルファの可愛くて恐ろしい揺さぶりに耐えなきゃいけないんだろうかと、大きくため息をついた。
May 7, 2025 at 10:08 AM
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1/2）orv/ジュンドク
ジュンドクでもアルファの巣作り書こうと思ったら、全然たどり着かなかった
YJHはこだわり凄そうだし、時間もスゲーかけそう
印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。付記に「まずは下拵えから（ジュンドク）」、「@raku_1012」と記載されています。 以下は本文の内容です。 　食卓に広げられた食事が急に豪華になったのを見て、ドクシャは、久しぶりだな、とカレンダーを見た。 　ユ・ジュンヒョクはアルファである。プロゲームプレイヤーとして最前線をかけ、恐ろしい程の賞金を稼ぎ、そしてその容姿もモデルに引けを取らない比類なき存在。 　スポンサーの関係で様々なＣＭや広告に登場するが、ジュンヒョクが出た雑誌の売り上げは普段の３割増しになるという。 　だれがどう見ても、文句のないアルファ様なのである。 　そうであれば、そんなジュンヒョクの横に並ぶのは絶世のオメガだと、世の中の人間たちは想像しているだろう。なんなら、一人ではなく、二人も三人も居てもおかしくないくらい思っているかもしれない。 　どころがどっこい、現実はブラック企業に勤める冴えないベータ男性がそこに立っているのである。つまり俺こと、キム・ドクシャである。 　元々俺はユ・ジュンヒョクのファンではあったものの、まさかリアルで知り合いたいなどと言う恐ろしいことを考えたこともなかった。 　偶然出会って話せた時には、少しうれしかった。しかし、画面越しでもうすうす気づいていたが、コイツはまあまあ性格が悪い。だからこそ、これ以上は結構だと、思っていたというのに。 「全然減ってないな」 　ジュンヒョクの瞳が不機嫌そうに顰められ、俺を射抜く。 「俺がそんなに食べられないの知ってるだろ」 　箸を咥えたまま弁解すれば、箸を咥えるなと鋭く指摘される。妹がいるせいか、他人に興味がないくせに、一度懐に入れた人間には、むしろ世話焼きになるのが少しだけ面倒だ。 「お母さんみたいだ」 「お前は、母親とセックスするのか」 　帰ってきた言葉に、ぐしゃぐしゃに顔をしかめた。本当に、なんて口の悪い奴だ。 　そう、何の因果か、今俺はこの知る人ぞ知るプロゲームプレイヤーであるユ・ジュンヒョクと付き合っている。そして、付き合っているだけでなく、一緒に暮 らしている仲でもある。全く、世も末である。 　完全無欠のアルファであるジュンヒョクであれば、わざわざこんな面白味もないベータの男を選ばずとも、いくらでも選択肢はあるというのに、何故、俺を選ぶのだ。なるほど神も必ず欠点を準備しておくものだなと思ったのは、この恐ろしいほどの美しい顔で告白された時だ。 　アルファも、ベータとは番えない。せめて女性であれば子供を産むこともできたかもしれないが、男である俺相手では、それも不可能だ。 　ないない尽くしの俺達ではあるものの、それでもジュンヒョクは俺を選ぶのだから、俺ももう向き合うしかないのである。 　そして、目下早急に向き合う必要があるものが近づいている。 「……俺、休み取った方が良さそう？」 　色とりどりの手料理に視線を落としたまま、むぐりと口の中のモノを咀嚼する。 　ジュンヒョクはしばらく黙り込んでから、「三日後くらいからだろう」と言いながら、静かに箸を伸ばした。 　ベータの俺には、もちろん発情期と言うシステムはない。けれど、アルファで あるジュンヒョクには、オメガがいなくとも不意にラットが起こる。 　流石の俺も、じゃあその時だけオメガに相手してもらえとは言わない。そういうカップルもいるようだったが、俺には無理だ。情けないことだけれども。 　そうであれば、選択肢は一つである。 「じゃあ、休み取っておく」 　俺は、蟹の卵とじに箸を伸ばしながら、努めてなんでもないように告げた。 　オメガのヒートも、アルファのラットも、一人で過ごすのは困難だという。ベータの俺には想像もできない衝動だが、毎回死にそうなほど抱きつぶされるので、身をもって知っている部分はある。 　この時ばかりは、自分が男であることが少し嬉しかった。受け入れる機能はなくとも、なんとか付き合える程度の体力はある。ジュンヒョクには、もっと体力を付けろ、太れとは言われるけれども。 　端でつまんだそれを、口に入れる。ジュンヒョクの料理は何を食べてもレストラン並みに上手いが、この時期は俺の好物が増えるので、普段よりも食が進む。 　それもこれもラットの影響か、ジュンヒョクがやたらと俺に食事を摂らせたが
May 7, 2025 at 10:08 AM
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4/4
これ、まだ半分なんすよ…おわるんかいな…
ましたじゃ、なんかすっきりしないし」 「……自分でやれ」 　ジュンヒョクは一瞬ドクシャを睨みつけると、すぐさま再び体を背けてヘッドセットを手にした。 　ドクシャは慌てて、ヘッドセットを付けようとするジュンヒョクの腕を掴む。 「ちょっとだけ！　ちょっとだけでいいから！」 「いやだ」 「そう言うなよ！　俺、ゲーム持ってないし、できる環境でもないんだよ。なあなあ！」 　ドクシャが一通り喚いて見せると、ジュンヒョクは目を瞑って眉間に指をあてて黙り込んだ。どきどきしながら、じつ、とジュンヒョクを見つめて待てば、小さな舌打ちの男が聞こえた。 「近い」 「おっと」 「遠くからなら」 「え？」 　目を合わせないままゲーム画面に視線を落として電源を入れなおすジュンヒョクを、聞き間違えかと見つめた。 　そうすれば、ぎり、と音がしそうなほど強くジュンヒョクに睨まれて、少しだけ距離を開ける。 「邪魔はするなよ」 　そう言い捨ててヘッドセットを付けるジュンヒョクは普段と変わりない不愛想で冷淡な態度であったが、ドクシャはパァと顔を輝かせて頷く。 「わかった！」 「静かにしろ」 　そうして、ジュンヒョクの座る数段上に座って見ていたドクシャだったが、少し見られればもっと見たくなる。見れるようになれば、音も聞いてみたくなる。 　日があたる場所は暑いだなんだ、日焼けすると熱出すタイプだなんだと様々な理由をこじつけ、じわじわと距離を詰めていった。 　ジュンヒョクにはチクチクと、時にははっきりと言われながらも、最終的には ほとんど隣に座り、そして現在はと言えば。 　ドクシャの耳には、イヤホンの右が大人しく収まっている。 　イヤホンは、音を聞きたいといつもの通り駄々をこねたドクシャに、額に青筋を立てながらもジュンヒョクが取り出してきた私物だ。 　ヘッドホンはＦＰＳ用で、今やっているのはシミュレーションＲＰＧなのでイヤホンで充分だ、と話すジュンヒョクはといえば、ドクシャの右耳から繋がるイヤホンを左耳に着けている。 　初めてリアルに見るゲームの世界は、ドクシャを魅了した。 　美しい映像、音楽、そしてゲームとは思えない重厚なストーリーは、物語を読んでいる時と同様の興奮をドクシャに与えた。 　物語は、ドクシャの生きる糧だ。救いであり、エネルギーであり、そして己を埋葬する墓地であった。 　物語に魅了されている時、話しかけられる言葉も耳に入らない。イヤホンを引っこ抜かれて肩を叩かれて初めて、隣から話しかけられたことに気づくほどだ。 　また、ゲームの素晴らしいところは、プレイヤーの選択肢で物語に変化が生じ るところだった。プレイヤーはジュンヒョクだ。ジュンヒョクの描くストーリーにのめり込んだが、時折その舵を任されることがあった。 　その選択肢で喧嘩することもあった。自分にも発言権があるのだと思えば、今までは何も言わなかったジュンヒョクの選択に口を出すことも出てきた。 　喧嘩して、話し合って、答えを見つけ。時には妥協をして、ののしり合って、解釈を戦わせて。 　だから今ここで進んでいる物語は、ジュンヒョクとドクシャ、二人が作り上げている。そんな気持ちになって、益々画面に釘付けになる。 　隣から時折注がれる視線には、微塵も気が付かなかった。
April 6, 2025 at 1:32 PM
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　 　けれども、それからもジュンヒョクは変わらず、屋上前のガラクタ置き場に現れた。 　翌日には現れたその姿を見て、いつもなら無視していたドクシャも思わず、ぎょっとした顔でその顔を見つめてしまった。 　当のユ・ジュンヒョクはと言えば、そんなドクシャにちらりと視線を向けただけで、定位置に座り込んですぐさまゲームを始めてしまったのに、まじまじと足先から頭のてっぺんを見た。面の皮が厚いにもほどがある。 　そうして、進級直後だった季節から制服が半そでに変わる季節までを、二人は何の変化もなく過ごした。 　ユ・ジュンヒョクが時折いなくなるという話を、校内でちらりと耳にした時には、少しばかりおかしな気持ちになることもあった。 　いっそ、知ってるよ、と言ったらどうなるかと、想像したこともある。実行したことはなかったけれど。 「…暑……、」 　ドクシャは屋上に続くドアを、目を細めて見上げた。ドアには窓がある所為で、一番上の段に座っていると強くなってきた日差しをもろに受けてしまう。 　今までは、この季節になると階段下に移動していたのだが、今そこにはユ・ジュンヒョクがいた。 　少し汗ばむ暑さになってきた外に、これから段々と強くなっていくだろう暑さを想像して小さくため息をつく。 　そうして、ドクシャはちらり、と階下に視線をこっそりと投げて。 　視界の先には、もう随分と見慣れたユ・ジュンヒョクの姿がある。もうずっと変わらないように、小型ゲーム機でゲームをしているのだが、そのソフトはちょこちょこ変わっているのをドクシャは知っていた。 　家庭の状況故にドクシャ自身がゲーム機を手にすることはなかったが、家には山のような本はあった。学校にも。 　ドクシャは物語を読むのが好きだったが、ゲーム雑誌から仕入れるゲームのストーリーも大いに興味を大いに誘った。 　最近気になっているゲームをユ・ジュンヒョクがやっているのに、数日前から 気づいていた。 　何とかして、少しでもその画面を見れないかと、ちらちらと見ていたのだが。 「……なんだ」 　小さくため息をついて、ジュンヒョクがヘッドセットを外した。 　きょとんと眼を瞬いていれば、眉間にしわを寄せてジュンヒョクが視線を合わせる。 「ここ最近、やたらとそわそわしてるだろう」 「あー…、うん、まあ、」 　どうしてもゲームの画面が見たくて、落ち着きなかったのは確かだ。頬をかきながらへらへらと笑うドクシャを、胡乱な目でみていたジュンヒョクだったが。 　再度、小さくため息をついて。 「…言ってみろ」 「え？」 「俺になんか言いたいことがあるんだろう」 　ゲーム機を膝の上に置き、向き直って真っ直ぐと見つめてくるジュンヒョクを ぼんやりとみて。 「ゲームを…」 「は？」 「そのゲーム、やってるとこ見せて欲しいんだけど」 「は？？」 　ジュンヒョクの太い眉の下にある切れ長の瞳が大きく見開いてドクシャを見たが、ここぞとばかりに身を乗り出して、片手に持っていた本を突き出す。 「これ！　ここに書いてある新作ゲーム、今やってるそれだよな？　ストーリーはざっくり把握してるんだけど、細かいディティールまだわからなくて、理解が追い付かないんだよ。そもそも戦争が起こってる理由とか、主人公の行き先がなんで最初から火星だったんだとか」 「……、」 「なんとなく、話の流れに違和感があるんだけど、それってその辺がわかればすっきりするのかなあって思ってるんだよな。流れでなんとなーくわかるところもあるけれども、でもちゃんと押さえておかないとじゃないか？　やっぱり違い
April 6, 2025 at 1:32 PM
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いた。 　どかさないのが悪いんだからな、と内心で文句を言いながら、ドクシャはその山を大きく跨いで階段を上っていく。 　低い舌打ちが聞こえたが、気にせずひょいっと階段を上っていき、一番上の指定席までたどり着くと腰を落ち着けた。 　ジュンヒョクは、先に着ていても上の段には登らない。棚や机が雑然と詰まれたその物影が、確かに一番外からの視線を避けやすいだろうとは思うが、その分ほこりっぽいし、詰まれたものが落っこちてきそうで落ち着かない場所だ。 　狭い空間だったがお互いのなんとなくの縄張りの様なものを感じつつ、ドクシャは持参したペーパーバックを開いた。 　そうしてしばらく経った時、不意に、ピロン、と軽快な音が響いて、思わずドクシャは視線を上げた。 　音がした先、ジュンヒョクの手元には、見慣れた小型のゲーム機があった。最新式のものだ。その頭部にはいつの間にかヘッドホンを付けており、どうやらジャックの刺さりが甘かったようで、ジュンヒョクがジャックを刺しなおしてい る。 　へぇ、ゲームなんてするんだ。 　というのが、最初に沸いた感想だった。 　美しく整った顔。引き締まった身体。明晰な頭脳。何もかもが詰まらないような、鉄面皮。 　どちらかと言えば一軍所属の人間が、未だややオタクと称される遊戯をやるというのは、少しばかり意外な感じがした。 　けれど、ユ・ジュンヒョクがゲームをする姿は、意外にも似合っているものだな、とドクシャはすぐに考えを改めた。 　太い眉をややしかめながら真剣な表情で画面を見る目は熱心で、真一文字にむすまれた口が、時折何かを囁くように微かに動く。両手の動きは素早く緩急が付いていて、どこか機械的に見えるのはきっとその動きが性格だからなのだろう。 　画面を追う眼球が細かく動くのにすら見惚れて、ドクシャはしばらくジュンヒョクがゲームをしている姿をぼんやりと眺めていた。 　 「…なんだ」 　 　小さく息をついて指と瞳の動きが止まったジュンヒョクが、おもむろにヘッドホンを取って顔を向けたのに、ドクシャははちり、と目を瞬いた。 　すっかり、ジュンヒョクの姿を見つめてしまっていたのに気付いて、内心舌打ちをする。 「いや、べつに」 「視線がうるさい。集中できない」 「あんだけ毎日周りに見られてるやつが何言ってるんだか」 　ジュンヒョクの眉が、ひくりと跳ねる。 「俺のことを知ってるのか」 「はぁ？　ユ・ジュンヒョクのことを知らない生徒がいるもんか！」 　鼻で笑うキム・ドクシャに、ジュンヒョクは不審げな視線を送ってくる。 　確かにジュンヒョクの存在を無視したのはドクシャだったが、それは無駄なやり取りをしたくなかっただけで、別に知らなかったわけではない。 　おかしな勘違いをする奴だな、とドクシャが肩を竦めれば、ジュンヒョクの眉間に深いしわが寄った。 「なにを企んでる」 「自意識過剰だな、ユ・ジュンヒョク。そんな警戒するくらいだったら、ここに来なければいいのに」 　ドクシャが唯一望むのは、波風が立たない学生生活だ。少しでも静かに毎日を過ごして、この期間を済ませてしまいたい。ただでさえ肩身の狭い親戚宅を、居心地悪くしたくないと思うことが、そんなに悪だろうか。 　そうして静かに過ごしていたドクシャのテリトリーに勝手に親友してきたのは、ユ・ジュンヒョクなのだ。 　ジュンヒョクは一つ舌打ちをして、苛立たし気に視線をそらした。その場を立ち去らなかったのは、若い男のプライドだろうか。 　少しばかり良い方に傾いていた天秤が、また元通りだな、とドクシャは再び手元のペーパーバックに視線を落とした。 　流石に、もう来ないかもな、と思いながら。
April 6, 2025 at 1:31 PM
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1/4） #ジュンドク #joongdok #중독　※学パロ※
本国文化に疎いので、一切合切日本の学生パロです許されたい
印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。付記に「学パロ（ジュンドク）」、「@rarararaku.bsky.social／@raku_1012」と記載されています。 以下は本文の内容です。 　高校の、屋上に続く階段の最上段。寝ころんでペーパーバックを読んでいたキム・ドクシャは、不意に聞こえた足跡に顔を上げた。 　屋上に続くこの階段はちょっとした物置になっていて、ごみごみと積んである荷物のその向こうにちょっとしたスペースがあるのを知っているのは、ドクシャだと思っていた。なぜならこの数ヶ月、他の生徒とも教師とも出会ったことが無かったからだ。 　だからこそ、ドクシャはここを困った時の逃げ場所にしていたのだ。 　だというのに。 「げ、」 　覗いた顔が、ドクシャの姿を認めて不愉快そうに顰められた。 　すぐにその長身を翻そうとしたが、次いで聞こえた女子生徒の黄色い声に、その動きが止まる。 　盛大な舌打ちとともに、その長い足が悠々と荷物を乗り越えて階段を上がって来るのを、ドクシャはただ見つめていた。 　ユ・ジュンヒョク。学内でも有名な男だ。驚くほどの長身と、体格の良さ。な によりも、その恐ろしく整った顔立ちが、全校の女子生徒の注目の的になっている男だった。 　けれど、他人には冷淡で容赦がなく、愛想がないというのが学内で流れるユ・ジュンヒョクの評判だ。 　現に今だって、ドクシャの存在をまるで無視しているのだ。なるほど性格が悪いのは本当かもしれないな、と思いながら、ドクシャは再び手元のペーパーバックに視線を落とした。 　ユ・ジュンヒョクがなんであろうと、ドクシャには関係がない。 　ドクシャは、ただ静かに過ごしたいだけなのだ。こんな有名人と、仲良くなりたいだなんて一ミリたりとも思わない。 　そんなドクシャをちらりと見て、けれどすぐに視線を外してユ・ジュンヒョクは読者が寝転がる最上段の数段下の段に腰掛けて座った。 　しん、と沈黙が横たわる。遠くの方で、ユ・ジュンヒョクを探す女子たちの声が聞こえて、そして遠くなり。 　そうして聞こえなくなり少し経つと、ユ・ジュンヒョクはおもむろに立ち上 がった。そして、ドクシャを一瞥もせずに階段を下りて行ったその背を、ドクシャはちらりとだけ見て。 「はあ、人気者も大変だな」 　と、ひとりごちり、再び本の世界へと戻っていった。 　 　もう二度とここで会うことはないと思っていたユ・ジュンヒョクは何故かその後も、ドクシャの聖域である屋上前のガラクタ置き場に現れた。 　２回目は、しまった、と言った顔をしていたので、うっかりドクシャがいたことを忘れていたようだったが、３回目からはドクシャの姿を見てもなんでもないような顔をしていた。 （ユ・ジュンヒョクの縄張りにされてしまった…） 　一番上の段に腰掛けるドクシャの数段下で、今日も冷たい顔をしたジュンヒョクがドクシャと同じように階段に腰掛けてモバイルを弄っている。 　ジュンヒョクがこのドクシャの縄張りに侵入しても、ドクシャは何も言わなかった。ジュンヒョクにこの縄張りを荒らされるならことだが、ジュンヒョクは その周囲の騒々しさと裏腹に、一人でいる分には静かな男だった。 　ドクシャを追い出すでも、威嚇するでも、話しかけるでもないジュンヒョクに、ドクシャは何か行動を起こす方が面倒だな、と判断した。 　もちろん、ユ・ジュンヒョクとの縄張り争いをしたときに、ドクシャの旗色がやや悪いということもあったけれども。 　ドクシャの隠れ家はここだけではない。もしここが居心地悪くなれば、移動すればいいだけの話だ。 　ドクシャはそんなことを考えながら、ジュンヒョクがここにいることを許した。 　そうすれば、ジュンヒョクがここにいる時間もどんどん増えていった。何故だ。ドクシャは構内で買ったブリックパックのコーヒーを片手に、先に来ていたらしいジュンヒョクを、じっとりと見下ろした。 　ジュンヒョクはといえば、そんなドクシャをちらりと視線だけで見上げ、そしてその無駄に長い足をどかすこともなくまたモバイルに視線を落とす。 　長身のジュンヒョクの足は、その身長に見合って恐ろしく長い。ただ伸ばすだけでは持て余すらしく、階段に沿ってまっすぐ伸ばした足はゆったりと組まれて
April 6, 2025 at 1:31 PM
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やるで！所要時間240分に、みんなでゾッとしている
April 4, 2025 at 11:35 AM
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3/3） #ジュンドク #joongdok #중독
段々YJの話し方が怪しくなってきましたね　手癖良くない
「お前な……」 　真っ白な花で作られた楚々としたブーケを渡されたドクシャは、同じ種類の花を一回り小さくしたブーケを胸元に飾られるジュンヒョクを見て口を尖らせた。 「俺がブーケで、お前はコサージュ？」 「俺がそれを持ったところで、似合わん」 「いや、似合うだろ」 「……、」 「似合う」 　真っ直ぐに自分を見てくるドクシャを、ジュンヒョクはしばらく見つめてから、つ、と視線をその全身に移す。 「結婚式は、白が似合う人間の方が映える」 「ん？　まあ、それはそうだよな。俺もそう思う」 　頷くドクシャを見つめてから、ジュンヒョクはふい、と目をそらした。 　外では、歓声が聞こえる。 　忙しなく人々が行き交う、その真ん中に立ちすくんだままドクシャは、手元の ブーケに視線を落として、考えた。 　ジュンヒョクは黒だし、俺は白、ってそう言えば、何の抵抗もなく受け入れてたなあ。 　 「正気か？　ユ・ジュンヒョク」 　キム・ドクシャは、キングサイズのベットの端に腰掛けたまま、濡れた髪をタオルで拭いているユ・ジュンヒョクを見た。 　服装はと言えば、二人とも揃いの白のパジャマを着ている。ジュンヒョクは経った今シャワーから上がってきたばかりだったが、ドクシャはもうその前に湯を使っている。濡れたままのドクシャの髪をドライヤーで丁寧に乾かしたのは、ジュンヒョクの仕事だった。 「本当に、いいのかお前は？」 　脚を組んで、片手をベッドにつきながら、もう片手で肩を竦める。その組んだ足の先でスリッパがゆらゆらと揺れるのを、ジュンヒョクは眺めて。 「本当に、俺と結婚しちゃったんだぞ」 「お前はどうなんだ？」 　ドクシャが体の動きを止めて、きょとんと眼を瞬いてジュンヒョクを見た。 「ずっとお前は俺にばかり聞いてきたが、お前はどうなんだ。キム・ドクシャ」 　ぱち、ぱち、とドクシャのオニキスの瞳が、ゆっくりと瞬く。ジュンヒョクの言葉を咀嚼するような瞬きを、ただ静かに待った。 「おれ？」 「そうだ」 「俺は……」 　ぼんやりとした表情のドクシャは、ジュンヒョクを子供の様に真っ直ぐに見返して。 「俺、」 「あぁ」 「俺、お前と結婚するの……ヤじゃないみたい…」 　いつの間にか見上げるほどに近くにいたジュンヒョクに、ドクシャは両手を伸ばす。 　まるで従順な獣のように、その手にジュンヒョクが頬を寄せて。 「もしかして」 　大きな手に軽く肩を押されれば、とさり、と音を立てて、綺麗にベッドメイクされたシーツの上にドクシャの体が転がる。 　見下ろしてくる瞳の熱に、ドクシャは天啓のように悟った。 「もしかして、お前も嫌じゃなかった？」 「……、」 　ドクシャの言葉にジュンヒョクは一瞬顔をしかめて、そして呆れたように小さくため息をついて、顔を寄せる。 　 「俺は、好きでもない人間と、結婚式を挙げようとは思わない」
March 27, 2025 at 12:58 PM
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2/3） #ジュンドク #joongdok #중독
までは聞いていなかったな、とジュンヒョクがポスターを眺めていると、バン、と音を立ててドクシャの手がポスターに叩きつけられた。 「ジュンヒョク！　取り返しのつかないことになるぞ！」 「そうなのか？」 「そうだろ！　結婚式だぞ！　俺と！」 　ジュンヒョクがポスターから目を離し歩き始めれば、自然とドクシャの足も並んで歩き始める。 　夕食のメニューは店に並んでいる食材を見て決めようと思っていたが、ドクシャは海鮮が食べたいと先ほどまで話していた。海鮮であれば、とジュンヒョクはメニューをいくつか頭に浮かべていたが、ドクシャの話は歩きながら続いた。 「おかしいだろ！　もっと、いい相手がいるって！」 「例えばどんな？」 「え？　うーん……スヨン、とか…？」 「ありえん」 「そうか？　よく言い合ってるだろ」 「あれはあっちが勝手に文句を言っているだけだ。周りの人間にもああだこうだ言われそうで煩わしい」 「確かに…、お前の結婚相手は、皆が認めて祝える相手がいいよな」 　唇を尖らせ、腕を組んで考え込むキム・ドクシャを、ユ・ジュンヒョクはちらり、と横目で見た。 「俺はそもそも結婚という制度を重要視していない」 「お前はそうかも知れないけど、そこは、新しい法制度のきっかけというか、象徴みたいなところがあるんじゃないか？」 「そうであれば、身も知らない人間はどうでもいいが、少なくとも仲間に認めてもらえる相手でなければ、結婚する意味はない」 　二人の視線の先に、スーパーの軒先が見える。 　蟹が出てるな。ドクシャの声が弾む。 「蟹がいいな」 「いいのがあれば」 　すっかり蟹の頭になったドクシャは、ジュンヒョクの隣を歩きながら、けれど 頭の片隅で思った。 　俺たちの結婚が決まった時、みんな大喜びだったよなあ。 　 「ジュンヒョク、いいのか？」 「なにかだ」 「これはもう、取り返しがつかなくなるぞ？」 　キム・ドクシャは、白いタキシードを着た自分の周りを、人が忙しなく行き来し、服の裾やら腰の布やらを直すのに、困惑しながら隣のユ・ジュンヒョクを見上げた。 　ジュンヒョクは普段と何一つ変わらない無表情で、しかし服装ばかりは普段より数段仕立てのいい、タキシードを着ている。 　真っ白なタキシードを着ているドクシャと異なり、ジュンヒョクが着ているのは真っ黒なタキシードだったが。 「黒がやっぱり似合うな」 　見上げて言うキム・ドクシャの姿を、ジュンヒョクがじつ、と黙ったまま見る のに、ドクシャは思わず笑う。 「見慣れた姿と言えば、見慣れた感じだけどな」 　もうあと少しで、式が始まる。 　このためにチャペルが新設されたと聞いて、ドクシャが絶句したのももう随分と前の話だ。とはいえ、今日のドクシャとジュンヒョクの式が終われば、順次一般向けに解放されていく予定ではあるのだが。もう一年先まで予約が埋まっていると、興奮気味のギリョンとユスンから先ほど聞いた。 　立ち直った世界、歩き始めた人類、その独立の象徴が今日の英雄の結婚式であるのだから、見物人は多く、列席者も二人が知らないような名前まで上がっていた。 「お前の隣にこうやって並ぶのは、俺じゃないと思うんだけどなあ」 「例えば？」 「えぇ？　うーん、やっぱり綺麗な人が良いだろ。こういう綺麗な服が似合う感じの」 「馬子にも衣裳だな」
March 27, 2025 at 12:57 PM
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1/3） #ジュンドク #joongdok #중독
ジュンドクが結婚する話
印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。付記に「ハッピーエンドのその向こう（ジュンドク）」、「@rarararaku.bsky.social／@raku_1012」と記載されています。 以下は本文の内容です。 　シナリオが全て終わり、トッケビに支配された世界から解放された日。 　人類がまた再び自分の足で歩き始めたその日を祝う象徴として、英雄の結婚が決まった。 　英雄である覇王ユ・ジュンヒョクと、魔王キム・ドクシャの結婚が。 　 「いやいやいやなんでだよ」 　キム・ドクシャは、額に手を当てて大きく首を振る。事務所のリビングキッチンで頭を抱えて座るキム・ドクシャのその様子を、ユ・ジュンヒョクはキッチンで作業をしながら横目で見ていた。 「おかしいだろ。結婚までは、まあわかる。いや、このご時世にそんな展開あるか？　っていうのはあるけども、ハッピーエンドを飾るのは、英雄の結婚であるというのは、クリシェと言うか大団円として美しいとは思うよ。ありきたりだけどな」 　頭を抱えたまま流れるように文句を言い続けるキム・ドクシャは、俯いたまま片手を振る。 　そんなキム・ドクシャの目の前に湯気が立つカップを置けば、「ありがとう」とすぐさま手が伸ばされた。 「そんで英雄がお前って言うのはわかるよ。誰がどう見たって、この物語の主人公はお前だからな、ユ・ジュンヒョク。誰がどう見たってっていうか、ユ・ジュンヒョクが主人公って言うのは大前提なんだけどな。そう、だからそれはいいんだよ。英雄の結婚。いい話じゃん。でも、相手が違うだろ。相手が」 「なにが違うんだ」 　キム・ドクシャはガバリと体を起こすと、キッチンに立ったユ・ジュンヒョクを振り返る。 「違うだろ！　相手が俺って言うのが！」 「じゃあ誰なら正しいんだ」 「え？　そうだな……」 　騒ぐキム・ドクシャを一瞥もせずに、背を向けたまま再びキッチンで作業し始めたユ・ジュンヒョクに、キム・ドクシャは再びテーブルに向き直って、頬杖をかいて宙に視線を向けた。 「そりゃあ、イ・ソルファみたいな…綺麗で、賢くて、献身的な……お前だって、イ・ソルファと恋人同士だったときがあるじゃないか」 「今の俺にはその気持ちはない」 「まあ、そうなのかもしれないけど…」 「俺は、好きでもない人間と結婚はしない」 「まあ、お前だったらそう言うだろうね……、じゃあ逆に、どんな人間と結婚したいんだよ」 　頬杖をついたまま、キム・ドクシャが顔だけを背後のユ・ジュンヒョクに向ける。 　キッチンに立ち、野菜を切り始めていたユ・ジュンヒョクは、少しばかり黙り。 　そして。 「俺の隣に立てる存在」 「うん」 「別に従順でなくていい。意見を交わし合える対等な存在でないといけない」 「うん」 「あとは、俺と同じくらい強ければ」 「うーん」 　キム・ドクシャは、そんなの俺しかいないじゃん、と腕を組みながら困ったように首を捻った。 　 「結婚式をするって！？」 　キム・ドクシャは、知らせに絶叫した。 「おい、ジュンヒョク聞いたか！？」 「お前の隣にいたのだから、当たり前だろう」 「結婚式だって！」 　キム・ドクシャの大声に、ユ・ジュンヒョクは五月蠅そうに顔をしかめる。そんなジュンヒョクの表情に気が付きながらも、キム・ドクシャは気にせずに、目の前のポスターをじっとりと見つめた。 　工業団地内の壁に貼ってあったポスターには、『英雄と魔王の結婚式のお知らせ』の文字がポップに踊っている。日付は３ヶ月先の日付が書かれている。日付
March 27, 2025 at 12:57 PM
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2/2）
なんとなく聞きかじった知識で工業団地内のことを書いてしまったので、間違ってたら教えてください……
の、凡庸と言っていいだろう。 　もう一人の英雄であるユ・ジュンヒョクが、誰もが見惚れるほどの美丈夫である分、キム・ドクシャの顔は輪をかけて記憶に残りにくい。 　けれど、そんなことは自分に関係はなかった。 　大切にしまい込んだ記憶。恩人。自分、妹、そして生活を守ってくれた我らが魔王。 　決して目立つ容姿ではなかったけれど、自分にはその姿が一等美しく見える。 　思わず、ふらり、と足がそちらに向かう。 　おかしな人間だと思われるかもしれない。けれど、あの闇夜の瞳に一瞬でもいいから認識されたい。そして、一言でもいいから。 　そう思っていた。 　そして、声を上げようとしたその瞬間。 　するり、とキム・ドクシャの傍の壁の向こうから、黒い上着を羽織った太い腕が伸びる。服の上からでもわかる太く筋肉質な腕が、まるで当たり前のようにキム・ドクシャの腰に回る。 　自分からは見えない路地裏に誰かがいたのだろう。自分の腰に巻き付いた腕を伝って、キム・ドクシャが壁の向こうの誰かに眉を顰め、唇が小さく動く。 　キム・ドクシャの腰に回る腕が白いコートを揺らめかせ、その腰が驚くほど細いことに気が付いた。 　強く、まっすぐ前を見て、なににも諦めずに自分たちを先導したその強さの眩しさと裏腹に、その肢体は示した強さからすれば意外なほどに薄く細いのだと気づいて、妙に落ち着かない気持ちになる。 　腰を抱く腕が太い分、余計に腰の細さが強調されているような気もして。 　コートの下に腕が回り、大きな手がキム・ドクシャの腰を掴む。 　そしてそのまま壁の向こうへと攫って行こうとするのに、キム・ドクシャは顔をしかめて抵抗していた。 　あわや暴漢か、とも思ったが、キム・ドクシャに勝てる人間なんて数えるほどしかいない。 　それに、キム・ドクシャの顔が。 　 　キム・ドクシャがなにかを言いながら、自分の腰に絡んだ腕から抜け出そうとする。 　しかし、見たとおりにしっかりしているのだろう腕からは、逃れることが出来ず。 　ため息を吐きながら、すい、とそっぽを向いた。不機嫌そうにしながら、その薄い唇が小さく動いている。文句を言っているのだろうか。何かの指示だろうか。叱責か。 　そんなものではないのだろうと、察しはついた。 　次いで、もう一本の腕がやはり壁の向こうから伸びてきて、そっぽを向いていたキム・ドクシャの頬を浚う。 　壁の向こうを見るキム・ドクシャの視線は、少しだけ上を向いている。相手はキム・ドクシャよりやや身長が高く、恐らく男性なのだろうが。 　じつ、と壁をの向こうにいる誰かを見ていたキム・ドクシャが、ふと、滲むように笑った。 　それでも不意を突いて逃げるように、身を翻して頬と腰に添えられた腕から逃 れて。 　 　瞬間。 　 　太く長い腕から逃げようとしたキム・ドクシャの手を、簡単にその手は掴み取り。 　そうして、驚いた顔をしたキム・ドクシャは、あっという間にその腕に壁の向こうへと引きずり込まれてしまった。 　 　残ったのは、ぽつんと、道に佇む郵便配達員が一人。 　まるで夢のような出来事だったな、と思いながらも、これからあの大事な記憶を思い出すたびに、太く長いあの腕も思い出してしまうのだろうなと、どうしようもなく、思った。
March 24, 2025 at 1:17 PM
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1/2）ジュンドク #joongdok #중독
KDを信仰していたモブが、神が攫われる瞬間を見てしまったという話
印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。付記に「神はいずこへ（ジュンドク）」、「@rarararaku.bsky.social／@raku_1012」と記載されています。 以下は本文の内容です。 　キム・ドクシャは、工業団地内ではそれなりに有名な人間だった。 　しかし、有名な割に何故かあまり顔が知られていない男でもあった。 　よく見ていたというのに、その顔はおぼろげで、記憶にない。 　決して忘れるような相手ではないというのに。 　だからこそ、キム・ドクシャは良くも悪くも有名な男ではあったものの、騒がれることなく生活していた。 　けれど、自分は彼の顔を知っていた。自分の妹が彼に助けられたことがあり、よくよく彼の顔を見たのだ。それでもその顔を見れたのは一瞬だ。けれど、その一瞬見たその顔を自分はずっと覚えている。その記憶を、頭の中で宝物のように何度も取り出して眺めては、そして再び大切にしまい込むことを繰り返し、記憶は鮮明になるばかりだ。 　そんな自分だから、気づいた。郵便配達員として団地内を移動している時に、ふと数メートル先に、キム・ドクシャを見かけた。 　まさか、と思ったが、忘れるはずのない顔で、息を飲んで思わず足を止めた。 　決して目立つ顔ではない。恩人にこんなことを言ってはいけないとは思うもの
March 24, 2025 at 1:17 PM
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2/2）
限の休みは取らせてもらえるたが、その分、それ以外の勤務時間は終電に帰るような日々だ。 　そんな中で、ヒートに対して対策がおろそかになっていた。その上での今日のこの状態。そして、目の前で未だ静かに眠るユ・ジュンヒョクは紛れもなくアルファであろうことを総合すれば。 　頭をよぎったのは、『発情期事故』の文字だった。 　オメガのヒートに巻き込まれたアルファがラットを起こし、望まぬセックスに至ってしまう事故のことだ。 　アルファは、オメガのヒートフェロモンに逆らうことが出来ない。オメガはヒートを起こしてしまうのは意識的なものでないにしろ、対策できるものをしなかったということで基本的には加害者とされる。 　ゾッ、と背筋が冷たくなる。 　もっとその顔を見ていたいなんて言っている場合ではない。今の状況を考えれば、ドクシャは紛れもない加害者で、ユ・ジュンヒョクは間違いなく被害者だ。 　申し訳ないという気持ちはあるが、訴えられなんてしたら今でさえギリギリの 生活が崩壊するだろう。 　ユ・ジュンヒョクは好きだ。好きだが、それとこれとは別である。 　項に噛み跡はなかった。つまりは、番にはなっていないのだ。ヒート事故の場合は、オメガもアルファも理性を失っていることが多く、番になってしまっていることも多々あるというが、今回は大丈夫だったようだ。 　鋼の理性を持っていたのか、ドクシャが好みではなかったか。 　どちらにせよ、番になっていないのだから、犬にかまれたものと思って忘れてもらえればいい。そう、それがいい。 　ドクシャは、静かに、しかし素早くベットから抜け出し、身支度を整える。 　部屋の中からベッドの中、洗面台に浴室まで、自分の痕跡がないことを確かめた。 　最後に、まだスヤスヤと眠るジュンヒョクの顔を眺める。 　ジュンヒョクには悪いが、ドクシャにとってはこの事故はそれほど悪い思い出ではなかった。だって、ユ・ジュンヒョクを生で見れたのだ。セックスについては記憶がないので、ひとまず置いておく。 　憧れの有名人を、生で、間近に見れたのは、毎日ぎりぎりの生活をしていたドクシャの心を潤した。 「応援してる」 　ぽつり、とそう言葉だけを残して、ドクシャは部屋を出た。 　 　そうしてそのことを、時折取り出して眺める宝物の思い出にしていたドクシャであったが。 「妊娠されてますね」 　真正面に座る医師の顔を見て、ドクシャは「は？」と間抜けな表情を浮かべた。
March 18, 2025 at 1:07 PM
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1/2）ジュンドク #joongdok #중독
オメガバース　αYJ×ΩKD
オメガバースはシークレットベビーものが好きなので、このあとKDは逃げるしYJはどこまでも追いかける
印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。付記に「それは幸となるか不幸となるか（ジュンドク）」、「@rarararaku.bsky.social／@raku_1012」と記載されています。 以下は本文の内容です。 　目が覚めて一番、今までにないすっきりとしたさわやかな目覚めにぱちりと目を瞬いた。 　むくりと起き上がれば、慢性的な不眠とここ最近の激務による疲れで重たくなっていた頭が、やけに軽くて二度驚く。 　そして、起き上がった動きにつられるように体の上を滑った、滑らかなシーツの感触に視線が下がり。 　自分がシーツ一枚しか纏っていない状態であることに、三度驚いた。 　キム・ドクシャは、普段寝るときはパジャマを着ているのだ。裸族じゃないんだけどな…酔ってたのかな…、とぽっかりと抜けている昨夜の記憶を探りつつ、頭を掻きながら、ふと横を見て、キム・ドクシャは四度驚いた。 「ユ！　………ユ・ジュンヒョク…？」 　驚きのまま叫ぼうとして、隣で眠る美丈夫がスヤスヤと気持ちよさそうに寝ている姿に、反射的に声を潜めて呟いた。 　ユ・ジュンヒョク。ゲームに少しでも関心のある韓国人であれば必ず知っているだろうトッププロゲーマーで、そのゲームに対する腕はもちろんのこと、その 美貌はプロのモデルにも俳優にも引けを取らない。彼が表紙を飾る雑誌は軒並み重版の嵐で、彼が身に着けたものも飛ぶように売れる、話題の有名人である。 　そして、キム・ドクシャは彼の熱狂的なファンだった。 「な、なん、なんで」 　普段は画面の向こうにいる美丈夫が、何故か自分の隣でスヤスヤと寝ている。その顔から目を離せないまま、震えながら手元のシーツを胸元に引き寄せれば、シーツの下に隠れていたジュンヒョクの体が見えて、ドクシャはもう一度「ぎゃ！」と小さく叫んで飛び上がった。 「は、はだかじゃんか…！」 　少し日に焼けた肌に、しっかりとした筋肉が盛り上がっているのが見える。ゲーマーというインドアな仕事をしているというのに、まるでスポーツ選手のような鍛えられた体に、状況を忘れてマジマジと顔を近づけて見惚れてしまう。 「顔もいいのに、体もいいとか……」 　解釈一致する…。と、思わず口から言葉がこぼれる。 　そのままついでに、顔もしっかりと眺める。幾ら雑誌やメディアが騒いだとし ても、画面を通しているから、いくらでもレタッチは出来るだろうと、ジュンヒョクの顔面には信ぴょう性を感じていなかったのだ。 　ドクシャにとって大事だったのは、彼の持つ物語を紡ぐ強さと、真摯さと、そして強さだったから。そう、思っていたのだが。 　この距離で見ても毛穴が見つからない上に、恐ろしく美しい配置で鼻も目も唇も配置されている。 「神の造りたもうた奇跡…」 　できることなら、目を開けたその瞳が見て見たかった。星空が瞬く夜空のようなあの瞳をじっくりと見たかった。あの、ユ・ジュンヒョクをこの距離で見れる機会なんて、もう二度とない。 　と、そこまで考えたところで、いやいや二度とないどころか、一度もあるはずがないんだが！？　とキム・ドクシャは我に返った。 　ユ・ジュンヒョクの美貌に我を忘れてしまっていた。だって、ずっと好きだったのだ。そんなずっと好きだった、今風でいれば『推し』が目の前で寝ているのだ。我も忘れてしまうだろう。 「というか、なんでこんなことに……」 　と、部屋を見回した瞬間、不意に鼻に届いた香りに、ゾッと背筋が凍って頭の中が冷える。 　フェロモンの残り香だ。 　反射的に、バッと項に触れてその肌の感触を確かめる。歯形はついていない。ホッ、と無意識に息を吐いてから、眉を顰めて唇を噛む。 「まさかだよな……」 　やけにすっきりとした体に違和感を感じるのは、ここ数日倦怠感を感じていたからだ。もう成人してしばらく経つドクシャにはわかっていた。ヒートの前兆だ。 　もうそろそろヒートになると分かっていたというのに、仕事の忙しさにカマかけて対策を怠っていた。対策と言っても、抑制剤を多めに飲む程度なのだが、それすらもしなかったのは繁忙期だからというのは言い訳にはならないかもしれない。 　定期的にまとまった休みが必要となるオメガは、就職難に陥りやすい。ドクシャも例にもれずそうで、なんとか契約社員として滑り込んだ今の会社は、最低
March 18, 2025 at 1:07 PM
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2/2）翌朝滅茶苦茶機嫌の悪いyjに、首を傾げる何も覚えていないkdの姿が！
　 　そんな仕打ちを受けた上での、これである。 　 「鼻もびっくりするほど高いし、目は夜空みたいでさ」 　再び戻ってきた指先が、ジュンヒョクの顔を、宝物のように大事に一つ一つ辿っていく。酔いに高くなった体温が触れて、ジュンヒョクの頭も茹っていくようで、強く目を瞑った。 「睫も、こんなにながい…」 　己の好きな声がとろりととけて、ただひたすらに自分を褒めて愛撫するのに、じっとしてられる男がいるだろうか。 　それでも、こんな勢いで手を出すのはジュンヒョクの想いとは違うのだ。 　ここで手を伸ばせば、恐らくドクシャは混乱するし、できた溝の修復はかなりの時間がかかるだろう。訳が分からないが、キム・ドクシャはそういう男なのだ。強かで小生意気で強気でいる癖に、純朴で世間知らずで自己評価が低い。 　ジュンヒョクは、そのドクシャが欲しい。そのドクシャに欲しがられたかった。 　だからこそ、手は出せない。目の前で、カモがネギを背負って、鍋に自らどぼんと飛び込むのを見たとしても、だ。 「ほんとにかっこいい…こんなに、かっこいいひとほかにいるかな……」 　しだれかかるその体を抱きしめようとする手を、強く握りしめて堪える。抱き上げてベッドに連れ込もうとする足を、踏みしめて耐えて。 　なるほど可愛さ余って憎さ百倍とは、こういう時に使うものかと、ユ・ジュンヒョクは一周回って目の前の男を殴り飛ばしてやろうかと、拳を握り締めた。
March 15, 2025 at 3:18 PM
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1/2）ジュンドク #joongdok #중독
現パロ的なプロゲーマー×会社員ジュンドクで、泥酔してるkdに煽られるのをこめかみピキらせながらも我慢するyj
印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。付記に「お酒は程ほどに（ジュンドク）」、「@rarararaku.bsky.social／@raku_1012」と記載されています。 以下は本文の内容です。 「本当にかっこいいなあ……」 　膝の上に座って上からのぞき込んでくる、その口から漏れた言葉に、ユ・ジュンヒョクのこめかみがヒクリ、と引きつった。 　 　ユ・ジュンヒョクとキム・ドクシャが出会ってしばらく経つ。 　初めはプロゲーマーのユ・ジュンヒョクと、そのファンのキム・ドクシャでしかない関係であったが、ひょんなことで関係は続き。今は友人と言って差し支えない関係になった、と言っていいはずだ。 　最近のジュンヒョクは、むしろ、それ以上を望んでいる。 　キム・ドクシャのファンだという割に愛想のない態度とよく回る口は、初めはジュンヒョクを苛立たせるだけのものであった。けれど、繰り返し会い、言葉を交わす中で、その口が語る言葉の心地よさを知った。 　時折ジュンヒョクのプレイを褒める言葉は率直で、純粋にまっすぐジュンヒョクを見ていることが伝わった。自分のことだけを真っ直ぐに見つめる目を知ってしまえば、どうしたってその存在は大きくなる。 　関係を深めれば、言葉で煙に巻く狐のようなその顔の裏は、世間知らずと言っていい程に純真なことが分かったし、よく聞けば、ジュンヒョクの紡いだゲームを語るその言葉は、心地よい程にジュンヒョクに”合った”。 　今思えば、キム・ドクシャの見た目も、最初から好ましいと思っていたのだろう。そうでなければ、こうして関係を繋ごうとはしなかっただろうから。 　だから、ここしばらくの間、ユ・ジュンヒョクはキム・ドクシャとの関係を変えたいと、その機会を虎視眈々と狙っていた。 　 　だというのに。 　 「あんなにゲームもできて、強くて、……」 　ジュンヒョクの膝の上に座って、ジュンヒョクの両頬を掴んで見下ろしてくるキム・ドクシャの瞳はブランデーのようにとろりと蕩けている。 　恋情でも発情でもない。酒精である。 　ドクシャの両手に頬を固定されたまま、ジュンヒョクは横目でテーブルの上に 無造作に転がっている酒瓶の数を数えた。 　普段に比べて、確かに自分もドクシャもよく飲んでいた。昨日の試合が、ここ最近でも一番に出来が良かったせいだ。普段気持ちが高まりやすいタイプではないジュンヒョクも、中々冷めない高揚感につい、グラスがすすんでしまった。 　そして、それにドクシャもつられてしまったのだろう。いや、むしろジュンヒョクより興奮して高揚していたところもあったのが、良くなかったか。 　ジュンヒョクが脳内でつらつらと反省を並べていると、ゆらりとドクシャの頭が揺れて、その顔が近づく。 「キム・ドクシャ、」 「声もかっこいいしさ」 　はふ、とその薄い唇から漏れた吐息を唇に感じて、ジュンヒョクはソファについた両手をギリ、と力いっぱい握りしめる。 「体もかっこいい」 　片手がジュンヒョクの頬から離れて、つ、と胸筋から腹筋までを、薄い部屋着の上からその指先に辿られ。 　瞬間、ぞわ、と背筋を走った衝動を、太ももに力を入れてなんとか押さえ込む。 　ジュンヒョクは、ドクシャと友人ではない関係に踏み出したいと思っている。 　それは、明らかな肉欲を孕んだ、恋情だ。 　それとなく、何度となく、それをドクシャにはさらけ出してきた。匂わせ、ちらつかせ。 　だというのに、キム・ドクシャはいつまでたっても、ジュンヒョクと自分は『推しとファン』であると言ってはばからない。 　こうして個人的に逢瀬を繰り返している時点で、その範囲を逸脱しているのは明らかだというのに、そういった事実には目を背けるのだ。 　意識的にか、無意識なのかは判別がつかない。まるで、キム・ドクシャが自分自身に暗示をかけているようにすら見えた。 　どれだけ好意を示して見せても。他者との差別化をはかっても。ドクシャは、自分の立ち位置を変えようとはしない。 　あくまでも、ファンと推し。自分はユ・ジュンヒョクを愛していても、ユ・ジュンヒョクがキム・ドクシャを愛することはありえない、とでも言うように。
March 15, 2025 at 3:18 PM
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【サークル参加します!!】05月04日（東京）SUPER COMIC CITY 32-day2-内 愛読者たちの地上放送 GW2025｜ #イベントGO_赤ブー www.akaboo.jp/event/item/2...
ついに申し込んでしまった……もう後には引けない……
March 5, 2025 at 10:17 AM
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2/2）初書きなので、とりあえずこういうすれ違いがあったらいいなと言うやつ（すれ違い職人）
　と言ったことがある。 　ミアのその言葉は、ジュンヒョクにとって腑に落ちるものだ。 　全てのシナリオが終わったその後の生活については、意識して考えないようにしている。けれど、ふと想像したとき、自分の隣には自然とドクシャを置いていた。 　そのことについて、驚くこともなかった。ジュンヒョクはドクシャと離れる気はなかったし、それはシナリオをクリアした未来においても、変わらない事項だ。 　予測不可能な変数ではなく、決まりきった確定的な数値のように。 　今現在と同じく、すぐ隣にその姿はあって、食事を、生活を共にし、キスをしてセックスをするのだと、当前のように思っていた。 　 　けれど、ミアの言葉を聞いたドクシャは、一瞬キョトンとした顔をしたのだ。 　なにを言われているのかわからないような、子供の様に表情を浮かべたのを、ジュンヒョクは見落とさなかった。 　尤も、煙に巻くのが習い性になっている男は、すぐにごまかすように笑って、 ジュンヒョクが一瞬見たその表情は、言葉の通り煙のように消えてしまったけれど。 　今となって思えば、それはドクシャとジュンヒョクのすれ違いのかけらだったのだ。 　 「そりゃ、確かに俺はお前のことが、その、まあ、好きだけど」 　ほんのり赤く染まった顔はジュンヒョクのことを好きだと叫んでいるというのに。 「でも、お前はそうじゃないだろ」 　普段通りの飄々とした様子で肩を竦めるキム・ドクシャを、ジュンヒョクは睨みつける。 「なんでそう思う」 　低く問い詰めるジュンヒョクに、ドクシャが笑う。 「ユ・ジュンヒョクは俺を好きにはならない」 　まるで決めつけるような言葉に、怒りでこめかみが引きつる。 「俺の何を知っている」 「全て」 　言い切るその顔は無邪気な程に誇らしげで、それであれば今のこのジュンヒョクの気持ちも知ってしかるべきだろうと隠さずに舌打ちをした。 「ユ・ジュンヒョクが俺を好きになるはずがない」 「じゃあなんで抱かれた」 「……お前に求められて、拒めるヤツがいると思うか？」 　ほんのりと目じりを染めて囁くその姿を見て湧き上がるこの衝動は、じゃあなんだというのか。 　好きだというその口で、まるで当然というようにジュンヒョクの愛を否定するその頭の中が信じられなかった。 　まるで、物語の登場人物の設定を読み上げるかのようではないか。 　ジュンヒョクは、一歩足を踏み出しドクシャに近づくと、その胸元を掴み上げた。 「俺から逃げられると思うなよ」 「なに？　怖い話？」 　 「愛してる」 　 　そう言葉にした途端の、ドクシャの顔と言ったら！　
March 1, 2025 at 1:43 PM
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1/2）ジュンドク#joongdok #중독
恋人だと思ってたジュと、セフレだと思ってたドの話
※原作未読　日本語版line漫画知識のみです
印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。付記に「なんて憎たらしい！（ジュンドク）」、「@raku_1012」と記載されています。 以下は本文の内容です。 「は？　恋人？　俺とお前が？」 「……は？」 　予想外のことを言われたというような顔をしてそう声を上げたキム・ドクシャに、流石のユ・ジュンヒョクも唖然として言葉にならないつぶやきが口からこぼれた。 　 　ふと気づいたら、その男は隣にいた。 　今でもその存在に、言動に、イライラすることは日常茶飯事ではあるが、それでも今でも自分の近くにいるということの意味は、ジュンヒョクにだってわかっている。 　背中を任せられるのも、自分の不在を任せられるのも一人だけ。 　そのふわふわと捉えどころのない在り方はジュンヒョクの怒発を突くし、嘘か本当かわからないような言葉は、耳障りだと思うことは多々ある。 　それでも、ドクシャはジュンヒョクですら想像できない偉業を成し、理想を叶え、そして目の前の幸せを掴もうとする同士であった。 　分かり合えない部分はある。むしろ、理解できない部分の方がよほど多いだろう。それでも、きっと、大事に抱え込んでいるものが同じなのだ。 　だから、自分の隣に立つのはドクシャだけだと思っていたし、ドクシャの隣に立つのも自分以外あり得ないと、そう自然といつの間にか肩を並べて歩いていた。 　そんな男と何の拍子か、キスもセックスすらする現状は、いつからだったかなんて覚えていないほど、日常と地続きにあった。 　ジュンヒョクはだれとでも肌を重ねる人間ではない。そこまで欲にとらわれていない。逆に、この局限化下での色恋色欲だなんて、自分をコントロールできない愚者のすることだと思っていた。 　それでもドクシャを抱くことをやめようとは思わない自分に、その中にある気持ちは認めざるを得ない。 　この極限状態でも、手を伸ばした。伸ばさずにいられなかった。 　それは、捕まえておかなければ平気で消えてしまう相手の自由さ故でもあったし、フラフラと人を引き寄せるあの男が、間違いなく自分のものであるという証明のためでもあった。 　ドクシャに、伸ばした手を拒まれたことは一度もない。 　あれほどわかりにくく底の読めない男だというのに、ドクシャはジュンヒョクが求めれば憎まれ口をたたきながらも甘く受け入れる。 　慣れているのかと思えば、開いた体は固くぎこちなく。それでも必死にジュンヒョクを覚えようと貪欲な体は、あの余計なことばかり話す詐欺師のような口よりよっぽど素直だ。 　 　キム・ドクシャは、ユ・ジュンヒョクのことが好きだ。 　 　ジュンヒョクは盲目的にそう信じていた。 　ハン・スヨンに「ほんとーに、ドクシャはジュンヒョクのことが好きね」と笑い交じりに言われても、当の本人は、ぐ、と恥ずかしそうに唇を噛むだけで。 　普段はネズミの回し車のようによく回る口も、ジュンヒョクに対することだけはギシギシと音を立てるようだった。 　それはつまり。誰がどう見ても、明らかに。 　だから、ジュンヒョクは当たり前のようにドクシャに手を伸ばす。抱きしめて、噛みついて、飲み込む。なぜならば、その心も体も、ジュンヒョクのものだからだ。 　そして、ドクシャから伸ばされた手も、迷わずにとる。 　それは何かの言葉にはまりきる関係でもなく、つまりは、お互い言葉にしたこともなかったけれど。 　結局のところ、そういうことなのだ。 　お互いそう思っているのだと、当たり前のように思っていた。 　 　ただ、今思えばおかしいと思う瞬間はあった。 　 　全員の行動の都合上、ミアの傍に残せるのがドクシャだけだった時のことだ。 　ミアが嫌なのではないかと渋い顔するドクシャに、ミアが何でもないような顔をして、 「まあ、ドクシャさんは他人じゃないでしょ。家族になるんだし。」
March 1, 2025 at 1:43 PM
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ユヒョユジ　クリスマス小噺
全然誕生日の話題がないクリスマスの話になってしまった
印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。付記に「誰だってサンタクロース（ユヒョユジ）」、「@raku_1012」と記載されています。 以下は本文の内容です。 　幼いころ、ユヒョンは『サンタ』と言う存在が気に入らなかった。嫌いと言ってもいい。いくら周りの人間が持て囃そうと、ただひたすら、嫌な奴だと思っていた。 　何故なら、「いい子には、プレゼントを持ってきてくれる」と言っておきながら、ユヒョンの知る世界で一番優しい人間であるところの兄には、そのプレゼントを持ってきてくれなかったからだ。 　昔はあったような気がする。まだ世界を認識しきる前だったので、記憶はおぼろげだ。物心ついて、ユジンがユヒョンの誕生日ケーキを探してくれるようになった頃には、もうその枕元にはなにも届いていなかった。 　ユヒョンの枕元には、届いていたのに。 　だから、ユヒョンはサンタが嫌いだった。何物にも興味が持てなかった頃から、明確に『嫌い』と認識していた数少ないものだ。 　ユヒョンのような世界の異物には毎年欠かさずプレゼントを持ってくるくせに、優しい兄に持ってこない意地の悪さに、毎年気分が悪くなった。 　サンタの話題を出すと、ユヒョンは機嫌が悪くなった。１２月に入り、兄が 「そろそろサンタさんが来るね」「なにをお願いする？」と言い始めると、機嫌が急降下して「来なくていい」「なにもいらない」と言い捨てた。困った顔をした兄は、それでも根気よく毎年聞いてくれたのだけれども。 　ユヒョンが渋々絞り出した欲しいものが、毎年枕元に届けられる。隣の兄の枕元にはなにもない。本当に嫌な気分だった。 　 　そうしてある時、知ったのだ。 　サンタなんていない。サンタとは、大人であり、保護者であり、兄であったのだ。 　衝撃的だった。そして思った。だったら、自分も兄のサンタになれるのではないかと。 　だって、兄は誰よりもいい子なのだ。綺麗で、優しくて、かしこく、誰よりも愛情深い人なのだ。 　 　初めてプレゼントを贈った日のことを覚えている。 　ユヒョンがこっそりと貯めていたお金で買ったお菓子の詰め合わせの箱を、枕元に見つけた瞬間の兄の顔を。 　信じられないようなものを見た顔をして、一瞬泣き出しそうになり、そして幸せそうに笑った顔を。 　まだバイトもできない年齢で、ちまちまと貯めた子供のお小遣い程度で買える安いものだったが、兄は世界中の幸せを集めたような顔で笑った。 　その瞬間、ユヒョンは兄のサンタになった。いい子の兄に、プレゼントをあげられる唯一の存在になったのだ。 　 　今年は何をあげよう。ユヒョンは、帰宅途中の電車に揺られながら、クリスマスの広告を眺めた。 　受験も近くなって、兄はバイトする暇があったら勉強をすればいいと、バイトを許してくれなかったが、こっそりと日雇いのバイトを重ねた。体は丈夫だったから、短期間でそれなりのお金が稼げる。小さな頃の小遣い程度ではない贈り物を、今のユヒョンは出来た。 　兄は毎年喜んでくれる。ユヒョンが準備したと知っているだろうに、そのことには触れずに、ただあの小さかった頃からずっと同じように幸せそうに喜んでくれる。 　それが、ユヒョンにとって何よりも嬉しかった。 　まだ、少し先の話だ。 　ユヒョンは車窓の向こうに見える街のネオンを見ながら、小さく笑った。
December 25, 2024 at 12:10 PM
rarararaku.bsky.social
2/2）
October 7, 2024 at 12:49 PM
rarararaku.bsky.social
1/2）ヒョンの息子→ユジ
ここから怒涛のアプローチが始まるので、パパも流石に「一緒に住むと君が危ない＾＾」と、S級ストップがかかる
ユヒョも大賛成
October 7, 2024 at 12:49 PM