眞鍋せいら
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眞鍋せいら
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詩人、作家（つくるひと）｜短編劇「眠られぬ九月の夜よ」脚本、演出｜十三夜書房｜クエスチョニング。人文学の海をゆらゆらしております。お仕事募集中です。
ポートフォリオ→ https://biscuitfortess.hatenablog.com/entry/2024/04/25/003945?_gl=1*1jk2pd7*_gcl_au*MTcyMTkyNjA2MS4xNzEzOTcwMjYw
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スペインを満喫するもち太郎です
トレドの街ともち太郎
December 4, 2025 at 9:30 AM
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す、捨てる神あれば拾う神あり……！！！！（しかもイベントチケット1連！！！）
ゲーム「魔法使いの約束」のSSRカードの画像。「あなたに黎明を告げて」のシャイロック。
November 26, 2025 at 3:32 AM
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東京・祖師ヶ谷大蔵のBOOKSHOP TRAVELLER内の #十三夜書房 、あたらしい本を納品いたしました！

🆕
高島鈴『布団の中から蜂起せよ』
小宮りさ麻吏奈『線場のひと』下

『布団〜』は高島鈴さんご本人によるサイン本です！
（りんちゃん、ご来店もありがとうー！いい笑顔😄）

ぜひいらしてください🙏
十三夜書房の写真。『多聞さんのおかしなともだち』『隙間』ほか、本が並んでいる。『布団の中から蜂起せよ』が面出しされている。 笑顔でピースサインをしている高島鈴さん。手に著書『布団の中から蜂起せよ』を持っている。
November 24, 2025 at 8:40 AM
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ひさびさのロリィタです🍰
自撮り。花柄の縁の鏡越しに、ヘッドドレスをつけた人物が写っている。顔はスタンプで隠されている。
November 23, 2025 at 4:37 AM
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東京・祖師ヶ谷大蔵のBOOKSHOP TRAVELLERさん内、 #十三夜書房 の棚に本を追加しました！お店に入ってすぐ右の棚です。

新入荷🆕
トイ・ヨウ『多聞さんのおかしなともだち』上・下
小宮りさ麻吏奈『線場のひと』上

『線場のひと』は近日中に下巻も入荷します。
ぜひいらしてください〜💐
十三夜書房の棚。『いるよの話』や『隙間』ほか、本が並べられている。
November 17, 2025 at 10:11 AM
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まほやく二次創作小説……と見せかけて、フィガロ・ガルシアに代弁してもらった深夜のなにか。そのうち消すかもしれません。

ALTはどのページのものも同じ（全文）です。
タイトル「踊りたかった」眞鍋せいら あなたが好きだ、と伝えてしまいたい。そんな夜がたびたび、フィガロには訪れる。若葉が朝露をその身に受けて耐えきれなくなるように、口の端から、あなたが好きだ、と。 　だが誰に、ということになると、フィガロはまったく困ってしまうのだった。もちろん、愛おしい、幸せでいてほしい、俺のことを思い出してほしい、そう思う相手はないではなかったし、むしろ複数思い至った。ファウスト、ルチル、ミチル、レノックス、さらにはオズや師と仰ぐ双子ーーそれだけで、もう充分なのだろう、と思うように努めてきたし、実際そう思っていた。彼らが、彼らのやり方でフィガロを呼ぶ時のそのやわらかな声色ーーそれにフィガロは満足していたし、それこそ、気の遠くなるような生のあいだ、なによりも得難い宝であるはずではなかったのか。 　だがフィガロは、いまだ、あなたが好きだ、そのたったひと言すら唇にのぼらせることができず、暗闇に迷っている。それは彼をひどく腹立たしく、切なく、にじられるような気持ちにさせた。皆がなんの疑問もなく手にした招待状を、自分だけが持っていないというような感情。美しく着飾った万人が、甘くひそやかな会話をささめきあいながら踊るダンスホール、しかし自分だけがその壁の花であり、簡単なステップも踏めずにシャンパンを嗜んでいる。 　本来なら主役であるはずのこの俺が。そのような矜持がなんの意味も持たないのはわかりすぎるほどわかっていたし、いや、実際はごく単純なのだ。ただ自分もその踊りの輪に加わりたい。誰かの腕に抱かれ、または誰かを抱いて、咲き始めた花と蜜蜂のようにくるくると笑い合い、戯れたい。そしてその相手と、よもや情を交わせたら、その一晩だけを胸に抱いて残りの日々を過ごしたっていい。 　ほんとうにその相手だとわかれば、約束だって、この身の果ての石だってあげるのに。フィガロはそう考えたりもし、いやこれは馬鹿な、夢みがちな少女のおとぎ話だと卑しんでみせたりもした。だがやはり、あなたが好きだ、そう告白したくて堪らない夜は無情にも、彼の部屋の扉を叩くのである。 　卑近な人間と約束をし、あまつさえその子供を身籠ったチレッタに罵倒されたとき、フィガロは心底彼女を理解しなかったし、それはいまだ同じだ。ただ血の滲むほど張られた頬に治癒魔法もかけず、ああ、これが、と思ったのだった。これが恋か。これが愛か。愚かな民草がそう呼ぶものか。賢者なる魔法使いたちが尊んできたものか。であれば。俺には一生わからない、と。 　それは、諦念と名づけてしまうにはあまりに羨望を含んでいた。たかが十数年を共に暮らした犬のクーリール、それを心から愛したと今も言って憚らないレノックス。共にいられないのであればと相手の命を奪おうとし、薄暗い軛に互いを繋いでいるふたりの師。フィガロには解らなかった。だがそうしたかった。できることならば、舞台の真ん中で踊りたかった。ひとを愛し、そのひとに愛され、互いに望むように肌を重ねてみたかった。それを至上の幸せだと思いたかった。 　だがそれはおそらく手に入らないーー二千年以上生きて、智も美しさも力も手に入れたひとりの存在が、ちかぢか冷たい石に還るまでーー手に入らない。さびしかった。この先もさびしいのだろうと思った。だがそれに耐えられてしまうことを、フィガロは長い生の間に知っていた。 　今夜も月は明るい。カーテンのない窓からは、箒に乗った人物が飛んでいくのがよく見える。ムルは今夜も恋する相手に睦言を捧げているのだろう。まったくフェアじゃない、とフィガロは思った。公正さなど求める方が愚かと知っていて。 　月の光は、テーブルの上の花瓶をまぶしく照らす。ルチルとミチルが置いていった花が活けてあるのだ。君たちを大切に思っている、ほんとうだよ、と、必要もない言い訳をするように考えた。幸せでいてほしいよ。 　わかっていますよ、フィガロ先生。私たちも、心から願っています。あなたの幸せを。もしそう伝えたなら、南の兄弟は笑ってそう言うだろう。レノックスも微笑むだろう。そんなこともあなたはわからないのか、とファウストには呆れられるかもしれない。けれど。 　ごめんね、とまたフィガロは懺悔する。愚かだってわかってる。でもたった一度でいい。ありふれたその奇跡を、儚い手のひらの中のきらめきを、手にして踊ってみたかったんだ。 タイトル「踊りたかった」眞鍋せいら あなたが好きだ、と伝えてしまいたい。そんな夜がたびたび、フィガロには訪れる。若葉が朝露をその身に受けて耐えきれなくなるように、口の端から、あなたが好きだ、と。 　だが誰に、ということになると、フィガロはまったく困ってしまうのだった。もちろん、愛おしい、幸せでいてほしい、俺のことを思い出してほしい、そう思う相手はないではなかったし、むしろ複数思い至った。ファウスト、ルチル、ミチル、レノックス、さらにはオズや師と仰ぐ双子ーーそれだけで、もう充分なのだろう、と思うように努めてきたし、実際そう思っていた。彼らが、彼らのやり方でフィガロを呼ぶ時のそのやわらかな声色ーーそれにフィガロは満足していたし、それこそ、気の遠くなるような生のあいだ、なによりも得難い宝であるはずではなかったのか。 　だがフィガロは、いまだ、あなたが好きだ、そのたったひと言すら唇にのぼらせることができず、暗闇に迷っている。それは彼をひどく腹立たしく、切なく、にじられるような気持ちにさせた。皆がなんの疑問もなく手にした招待状を、自分だけが持っていないというような感情。美しく着飾った万人が、甘くひそやかな会話をささめきあいながら踊るダンスホール、しかし自分だけがその壁の花であり、簡単なステップも踏めずにシャンパンを嗜んでいる。 　本来なら主役であるはずのこの俺が。そのような矜持がなんの意味も持たないのはわかりすぎるほどわかっていたし、いや、実際はごく単純なのだ。ただ自分もその踊りの輪に加わりたい。誰かの腕に抱かれ、または誰かを抱いて、咲き始めた花と蜜蜂のようにくるくると笑い合い、戯れたい。そしてその相手と、よもや情を交わせたら、その一晩だけを胸に抱いて残りの日々を過ごしたっていい。 　ほんとうにその相手だとわかれば、約束だって、この身の果ての石だってあげるのに。フィガロはそう考えたりもし、いやこれは馬鹿な、夢みがちな少女のおとぎ話だと卑しんでみせたりもした。だがやはり、あなたが好きだ、そう告白したくて堪らない夜は無情にも、彼の部屋の扉を叩くのである。 　卑近な人間と約束をし、あまつさえその子供を身籠ったチレッタに罵倒されたとき、フィガロは心底彼女を理解しなかったし、それはいまだ同じだ。ただ血の滲むほど張られた頬に治癒魔法もかけず、ああ、これが、と思ったのだった。これが恋か。これが愛か。愚かな民草がそう呼ぶものか。賢者なる魔法使いたちが尊んできたものか。であれば。俺には一生わからない、と。 　それは、諦念と名づけてしまうにはあまりに羨望を含んでいた。たかが十数年を共に暮らした犬のクーリール、それを心から愛したと今も言って憚らないレノックス。共にいられないのであればと相手の命を奪おうとし、薄暗い軛に互いを繋いでいるふたりの師。フィガロには解らなかった。だがそうしたかった。できることならば、舞台の真ん中で踊りたかった。ひとを愛し、そのひとに愛され、互いに望むように肌を重ねてみたかった。それを至上の幸せだと思いたかった。 　だがそれはおそらく手に入らないーー二千年以上生きて、智も美しさも力も手に入れたひとりの存在が、ちかぢか冷たい石に還るまでーー手に入らない。さびしかった。この先もさびしいのだろうと思った。だがそれに耐えられてしまうことを、フィガロは長い生の間に知っていた。 　今夜も月は明るい。カーテンのない窓からは、箒に乗った人物が飛んでいくのがよく見える。ムルは今夜も恋する相手に睦言を捧げているのだろう。まったくフェアじゃない、とフィガロは思った。公正さなど求める方が愚かと知っていて。 　月の光は、テーブルの上の花瓶をまぶしく照らす。ルチルとミチルが置いていった花が活けてあるのだ。君たちを大切に思っている、ほんとうだよ、と、必要もない言い訳をするように考えた。幸せでいてほしいよ。 　わかっていますよ、フィガロ先生。私たちも、心から願っています。あなたの幸せを。もしそう伝えたなら、南の兄弟は笑ってそう言うだろう。レノックスも微笑むだろう。そんなこともあなたはわからないのか、とファウストには呆れられるかもしれない。けれど。 　ごめんね、とまたフィガロは懺悔する。愚かだってわかってる。でもたった一度でいい。ありふれたその奇跡を、儚い手のひらの中のきらめきを、手にして踊ってみたかったんだ。 タイトル「踊りたかった」眞鍋せいら あなたが好きだ、と伝えてしまいたい。そんな夜がたびたび、フィガロには訪れる。若葉が朝露をその身に受けて耐えきれなくなるように、口の端から、あなたが好きだ、と。 　だが誰に、ということになると、フィガロはまったく困ってしまうのだった。もちろん、愛おしい、幸せでいてほしい、俺のことを思い出してほしい、そう思う相手はないではなかったし、むしろ複数思い至った。ファウスト、ルチル、ミチル、レノックス、さらにはオズや師と仰ぐ双子ーーそれだけで、もう充分なのだろう、と思うように努めてきたし、実際そう思っていた。彼らが、彼らのやり方でフィガロを呼ぶ時のそのやわらかな声色ーーそれにフィガロは満足していたし、それこそ、気の遠くなるような生のあいだ、なによりも得難い宝であるはずではなかったのか。 　だがフィガロは、いまだ、あなたが好きだ、そのたったひと言すら唇にのぼらせることができず、暗闇に迷っている。それは彼をひどく腹立たしく、切なく、にじられるような気持ちにさせた。皆がなんの疑問もなく手にした招待状を、自分だけが持っていないというような感情。美しく着飾った万人が、甘くひそやかな会話をささめきあいながら踊るダンスホール、しかし自分だけがその壁の花であり、簡単なステップも踏めずにシャンパンを嗜んでいる。 　本来なら主役であるはずのこの俺が。そのような矜持がなんの意味も持たないのはわかりすぎるほどわかっていたし、いや、実際はごく単純なのだ。ただ自分もその踊りの輪に加わりたい。誰かの腕に抱かれ、または誰かを抱いて、咲き始めた花と蜜蜂のようにくるくると笑い合い、戯れたい。そしてその相手と、よもや情を交わせたら、その一晩だけを胸に抱いて残りの日々を過ごしたっていい。 　ほんとうにその相手だとわかれば、約束だって、この身の果ての石だってあげるのに。フィガロはそう考えたりもし、いやこれは馬鹿な、夢みがちな少女のおとぎ話だと卑しんでみせたりもした。だがやはり、あなたが好きだ、そう告白したくて堪らない夜は無情にも、彼の部屋の扉を叩くのである。 　卑近な人間と約束をし、あまつさえその子供を身籠ったチレッタに罵倒されたとき、フィガロは心底彼女を理解しなかったし、それはいまだ同じだ。ただ血の滲むほど張られた頬に治癒魔法もかけず、ああ、これが、と思ったのだった。これが恋か。これが愛か。愚かな民草がそう呼ぶものか。賢者なる魔法使いたちが尊んできたものか。であれば。俺には一生わからない、と。 　それは、諦念と名づけてしまうにはあまりに羨望を含んでいた。たかが十数年を共に暮らした犬のクーリール、それを心から愛したと今も言って憚らないレノックス。共にいられないのであればと相手の命を奪おうとし、薄暗い軛に互いを繋いでいるふたりの師。フィガロには解らなかった。だがそうしたかった。できることならば、舞台の真ん中で踊りたかった。ひとを愛し、そのひとに愛され、互いに望むように肌を重ねてみたかった。それを至上の幸せだと思いたかった。 　だがそれはおそらく手に入らないーー二千年以上生きて、智も美しさも力も手に入れたひとりの存在が、ちかぢか冷たい石に還るまでーー手に入らない。さびしかった。この先もさびしいのだろうと思った。だがそれに耐えられてしまうことを、フィガロは長い生の間に知っていた。 　今夜も月は明るい。カーテンのない窓からは、箒に乗った人物が飛んでいくのがよく見える。ムルは今夜も恋する相手に睦言を捧げているのだろう。まったくフェアじゃない、とフィガロは思った。公正さなど求める方が愚かと知っていて。 　月の光は、テーブルの上の花瓶をまぶしく照らす。ルチルとミチルが置いていった花が活けてあるのだ。君たちを大切に思っている、ほんとうだよ、と、必要もない言い訳をするように考えた。幸せでいてほしいよ。 　わかっていますよ、フィガロ先生。私たちも、心から願っています。あなたの幸せを。もしそう伝えたなら、南の兄弟は笑ってそう言うだろう。レノックスも微笑むだろう。そんなこともあなたはわからないのか、とファウストには呆れられるかもしれない。けれど。 　ごめんね、とまたフィガロは懺悔する。愚かだってわかってる。でもたった一度でいい。ありふれたその奇跡を、儚い手のひらの中のきらめきを、手にして踊ってみたかったんだ。 タイトル「踊りたかった」眞鍋せいら あなたが好きだ、と伝えてしまいたい。そんな夜がたびたび、フィガロには訪れる。若葉が朝露をその身に受けて耐えきれなくなるように、口の端から、あなたが好きだ、と。 　だが誰に、ということになると、フィガロはまったく困ってしまうのだった。もちろん、愛おしい、幸せでいてほしい、俺のことを思い出してほしい、そう思う相手はないではなかったし、むしろ複数思い至った。ファウスト、ルチル、ミチル、レノックス、さらにはオズや師と仰ぐ双子ーーそれだけで、もう充分なのだろう、と思うように努めてきたし、実際そう思っていた。彼らが、彼らのやり方でフィガロを呼ぶ時のそのやわらかな声色ーーそれにフィガロは満足していたし、それこそ、気の遠くなるような生のあいだ、なによりも得難い宝であるはずではなかったのか。 　だがフィガロは、いまだ、あなたが好きだ、そのたったひと言すら唇にのぼらせることができず、暗闇に迷っている。それは彼をひどく腹立たしく、切なく、にじられるような気持ちにさせた。皆がなんの疑問もなく手にした招待状を、自分だけが持っていないというような感情。美しく着飾った万人が、甘くひそやかな会話をささめきあいながら踊るダンスホール、しかし自分だけがその壁の花であり、簡単なステップも踏めずにシャンパンを嗜んでいる。 　本来なら主役であるはずのこの俺が。そのような矜持がなんの意味も持たないのはわかりすぎるほどわかっていたし、いや、実際はごく単純なのだ。ただ自分もその踊りの輪に加わりたい。誰かの腕に抱かれ、または誰かを抱いて、咲き始めた花と蜜蜂のようにくるくると笑い合い、戯れたい。そしてその相手と、よもや情を交わせたら、その一晩だけを胸に抱いて残りの日々を過ごしたっていい。 　ほんとうにその相手だとわかれば、約束だって、この身の果ての石だってあげるのに。フィガロはそう考えたりもし、いやこれは馬鹿な、夢みがちな少女のおとぎ話だと卑しんでみせたりもした。だがやはり、あなたが好きだ、そう告白したくて堪らない夜は無情にも、彼の部屋の扉を叩くのである。 　卑近な人間と約束をし、あまつさえその子供を身籠ったチレッタに罵倒されたとき、フィガロは心底彼女を理解しなかったし、それはいまだ同じだ。ただ血の滲むほど張られた頬に治癒魔法もかけず、ああ、これが、と思ったのだった。これが恋か。これが愛か。愚かな民草がそう呼ぶものか。賢者なる魔法使いたちが尊んできたものか。であれば。俺には一生わからない、と。 　それは、諦念と名づけてしまうにはあまりに羨望を含んでいた。たかが十数年を共に暮らした犬のクーリール、それを心から愛したと今も言って憚らないレノックス。共にいられないのであればと相手の命を奪おうとし、薄暗い軛に互いを繋いでいるふたりの師。フィガロには解らなかった。だがそうしたかった。できることならば、舞台の真ん中で踊りたかった。ひとを愛し、そのひとに愛され、互いに望むように肌を重ねてみたかった。それを至上の幸せだと思いたかった。 　だがそれはおそらく手に入らないーー二千年以上生きて、智も美しさも力も手に入れたひとりの存在が、ちかぢか冷たい石に還るまでーー手に入らない。さびしかった。この先もさびしいのだろうと思った。だがそれに耐えられてしまうことを、フィガロは長い生の間に知っていた。 　今夜も月は明るい。カーテンのない窓からは、箒に乗った人物が飛んでいくのがよく見える。ムルは今夜も恋する相手に睦言を捧げているのだろう。まったくフェアじゃない、とフィガロは思った。公正さなど求める方が愚かと知っていて。 　月の光は、テーブルの上の花瓶をまぶしく照らす。ルチルとミチルが置いていった花が活けてあるのだ。君たちを大切に思っている、ほんとうだよ、と、必要もない言い訳をするように考えた。幸せでいてほしいよ。 　わかっていますよ、フィガロ先生。私たちも、心から願っています。あなたの幸せを。もしそう伝えたなら、南の兄弟は笑ってそう言うだろう。レノックスも微笑むだろう。そんなこともあなたはわからないのか、とファウストには呆れられるかもしれない。けれど。 　ごめんね、とまたフィガロは懺悔する。愚かだってわかってる。でもたった一度でいい。ありふれたその奇跡を、儚い手のひらの中のきらめきを、手にして踊ってみたかったんだ。
November 10, 2025 at 6:12 PM
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母の30年以上前のヴェールが出てきたので作品撮りをしてみた。特権階級出身のフェミニストなこと、その特権をどうしたらいいかわからないこと、アカデミックなフェミニズム偏重への批判、家父長制はもちろんだけど恋愛規範にもパートナー規範にも逆らいたいこと、などを考えながら撮ってみたけど、美術は勉強したことないので難しい！！！！表象の力ってあまりに強い……！！
結婚式用のヴェールをかぶった人物がペンを持って、なにか考えているように俯いているようす。 結婚式用のヴェールをかぶった人物が本棚にもたれかかっている様子。膝の上にも何冊か本が散らばっている。
October 31, 2025 at 1:03 PM
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国旗損壊罪が成立するまえに発表します。実話をもとにした詩です。
日の丸 眞鍋せいら 四歳か五歳のとき 日の丸を振ったことがある 保育園にりょうへいかが来るというので 玄関で旗を持たされて立っていたら たつるくんがやぶれたと言った あたらしい旗に替えてもらっていたのを見て わたしも破いた ずっと年長になってから あの旗たちどこへ行ったのだろうと考える 新しいのもたつるくんのも わたしが破いたのも りょうへいか いつも旗を振られて うれしかったですか わたしももう問えないだろう 三十手前になったいま ふるぼけた日の丸をそこかしこに見るが
October 28, 2025 at 5:56 AM
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ワァ〜！？！？！？小野田大臣はやたらブロックしているらしいけどまさかね……と思ったらブロックされていた……こんな市井のアカウント（フォロワー1100人くらい）を！？！？！
小野田紀美大臣のアカウントのスクリーンショット。onoda_kimi has blocked youとある。
October 27, 2025 at 3:51 PM
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きのうは『アンティゴネー』を朗読してきました。暴君クレオーン役をさせていただいたのですが、息子ハイモーン役の方との掛け合いがとても楽しかったです。

「ただ一人のものであるようなのは、国ではありませんもの」
『アンティゴネー』のテキストのコピー。 『アンティゴネー』のテキストのコピー。クレオーンとハイモーンのセリフが見える。 クレオーン「では、わしは他人の顔色を見ながら国を治めなければならぬのか」 ハイモーン「ただ一人のものであるようなのは、国ではありませんもの」 など。
October 26, 2025 at 4:12 AM
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今日の新宿・歌舞伎町ビキニマシーン眞鍋がお店番です！19:00-23:00（18:00開店じゃないので注意してくださいね）。

写真はもち太郎とくーです。このふたりはちびなのでお店にでません。
赤い帽子とマフラーをしたクマのぬいぐるみと、ちいさなカワウソのぬいぐるみ。
October 23, 2025 at 7:58 AM
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皇居散歩、無事終了しました！ご参加くださったかた、ありがとうございました〜！ゆっくり休んでくださいね🍵
（国会の写真ヘタクソ選手権に出せそうな写真feat.もち太郎）
夜の国会と、ぬいぐるみの後ろ姿。逆光で国会の建物はあまり見えない。
October 22, 2025 at 12:17 PM
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山中千瀬『死なない猫を継ぐ』を読んで、胸がいっぱいになって、栞だらけにしてしまいました（画像だと伝わらないね）

スノードームを激しくシェイクするあいだイルカに喝采のごとく雪は

雪の町はうつくしい名を持っていて発音できないのだあなたには
山中千瀬『死なない猫を継ぐ』の書影。
October 14, 2025 at 6:12 AM
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🌖BOOKSHOP TRAVELLER内、#十三夜書房 、新しく本をお迎えしています！

『いるよの話』いるよの話のひと
『隙間』高姸
『明るいほうへ』『わたしと小鳥とすずと』金子みすず

ほか取り揃えてあります。お店入ってすぐ右の棚です。ぜひ📚
十三夜書房の棚の写真。『「ハーフ」ってなんだろう？』他、本が並んでいる。
October 10, 2025 at 3:47 AM
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さて明日は #ビキニマシーン 眞鍋お店番です。18:00-23:00です〜！お茶もありますよ。来てくださいね🐼🍵
パンダのイラストと文。「次回まなべのビキニマシーンお店番　10/9 18:00-23:00です！きてね」
October 8, 2025 at 4:29 AM
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誘ってもらって「鯨が消えた入り江」観てきました……よかった……観られてうれしい……
鯨が消えた入り江のポスターの写真。
October 1, 2025 at 12:40 PM
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【うれしいおしらせ📚】
本日9/29より、東京・祖師ヶ谷大蔵のBOOKSHOP TRAVELLERさん（@Bst_BSL）にて、一箱店主をさせていただくことになりました。「そこにいる／あるだけで大丈夫」をテーマに選書しています。名付けて「十三夜書房」です。
お近くにお寄りの際はぜひ！よろしくお願いします🥰🌖
十三夜書房の写真。『今日もクィアでクエスチョニング』ほか、本が並んでいる。
September 29, 2025 at 7:48 AM
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すごく時間がかかりましたが、明日ビキニマシーンで配布するフリーペーパーできました！わたしにしては珍しく音楽についてのフリペです。明日のプレイリストからの3曲を紹介してます🙌
もらいに来てくださいね！
フリーペーパー。ところどころスタンプで隠してある。
September 26, 2025 at 1:25 AM
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新宿歌舞伎町のビキニマシーンでのお店番まであと2日〜！今日はお出しするためのイギリスの紅茶を仕入れてきました……☕️

27日土曜日、18:00-23:00です。
🆕 フリーペーパー用意する予定です！
・クエスチョニングZINEもっていきます

・チャージ700円、ドリンク700円〜
・お店は地下なのですが階段があります
・喫煙できます（分煙はなしです）

初めましてのかたももちろんどうぞ！
おひとりでもお誘い合わせの上でも、ぜひいらしてください🙏
テディベアの膝に乗せられた、ヨークシャーティーゴールド（紅茶）の箱。
September 25, 2025 at 10:41 AM
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角悠介『呪文の言語学　ルーマニアの魔女に耳をすませて』（作品社）、とっても面白くて実質2日で読了。わたしたちの「魔女」イメージの西欧への偏り、呪文の分析など、固定観念が根本から解きほぐされる一冊でした。読書体験はこうでなくては！読みやすくユーモラスな文体も個人的にありがたかった。
角悠介『呪文の言語学　ルーマニアの魔女に耳をすませて』（作品社）の書影。
September 24, 2025 at 2:02 PM
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久しぶりに自分を占った　今後も穏やかだけれどもそれは停滞でもあり、必ずしも自分が望んでいるものではない、みたいに読んだ
テーブルクロスの上に5枚広げられたタロット。
September 19, 2025 at 3:19 PM
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ついにたくさんのアクセサリーを整理して、キャビネットの上を綺麗にしました
キャビネットの上に並べられた小物たち。人魚が描かれた缶、編み物の百合の花、香水の瓶たち、額に入ったイラスト、小箱などが置かれている。後ろには花柄の額の鏡がある。
September 16, 2025 at 2:42 PM
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#ネロ・ターナー誕生祭
#まほやく短歌
おめでとう💐代表してリケ、ファウスト、ブラッドリーから
リケ 幸福をただありふれたものとしてあなたが手渡してくれる朝 ファウスト 愛してる僕らの望むやりかたでグラスのきらめくような囁き ブラッドリー 待つことは祈りだという陳腐な詩お前が俺の祈りだとして
September 8, 2025 at 2:19 PM
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#tanka
#折句
#まほやく短歌
fanatic（ルビ：狂信者） そう蔑んで　囚われの寵愛にすら証がほしい
September 3, 2025 at 6:59 PM
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『今日もクィアでクエスチョニング』、東京・東中野のloneliness books さんに置いていただいています。ありがとうございます！クィア関係はもちろん、アジアや詩歌関連も多く、ついつい長居してしまう本屋さんです。お近くにお寄りの際はぜひ✨
lonliness booksさんの棚。手前に『今日もクィアでクエスチョニング』が平積みされている。
September 3, 2025 at 11:59 AM