音響的にも、太いベースとホーン、ギターのスカ・リズムが生き生きと機能しており、“踊りながら考える”ことを可能にしてくれます。Chronixx のヴォーカルも、自身のルーツと現在をつなぐ架け橋としての説得力を持っており、レゲエ界の“次の章”を体現していると言えるでしょう。

本作は、ピアノ、クラリネット、モジュラーシンセ、フィールドレコーディングなど多様な音源を用いて「自然の中に漂う響き」「時間の流れと記憶の交錯」を音で描いています。例えば、彼のBandcampページには「Colorado Front Range（コロラド山麓）で録音されたフィールドレコーディングが本作の基盤となっている」と記されています。
「Telegraph Weed Waltz」というタイトルは直訳すれば「電信草のワルツ」のような語感を持ち、自然／人工／踊り／時間といったテーマの交差を暗示しており、曲自体もワルツ的な3拍子感覚・浮遊感を備えながら、淡い電子的揺らぎを伴っています。