エミコヤマ
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エミコヤマ
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うにはともだち(エレン・デジェネレスの声で)
読書報告: http://books.macska.org
seattle/portland
…今回の反省をもとに平時からワクチンのより公平な分配の仕組みと生産拠点の多角化を進めて欲しい。また、いざというときにワクチン接種が成功するかどうかはワクチンの準備だけによるものではなく、普段からの医療への公平なアクセスと、それによる医療への信頼性の確保も必要であり、陰謀論と戦うのはもちろん、アメリカ政府がオサマ・ビンラディンの居場所を突き止めるためにビンラディンが潜んでいそうなパキスタンの山奥でワクチン接種を口実として公衆衛生班を活動させていた(注射針に付着した血液からビンラディンの血縁者を探り当てようとしていた)作戦など陰謀論に実体を与えてしまうような行為も厳しく禁止しなくてはいけない。
November 12, 2025 at 3:37 AM
…そんなこんな無茶苦茶な状況のなか、陰謀論者によって悪者に仕立て上げられたり、低所得国からも高所得国からもあれこれ批判されながら、一人でも多くの人の命を救うためにワクチンの配布を続けた著者以下COVAXの人たちカッコいい。もちろんかれらもいろいろ間違いはおかしたし、活動資金を提供している先進国や製造拠点のある中所得国からの理不尽な要求に妥協せざるをえなかったことも多々あったけれど、著者らの経験がより広く共有されることで、次いつか来るまた別のパンデミックに、今回に比べて少しでもよりマシな対応ができるような準備が行われて欲しいし、…
November 12, 2025 at 3:37 AM
…輸送料はもとより専用の注射針も拠出せず、使用期限も迫っているのに実際に使われる国の言語にラベルを張り替える作業もCOVAXに丸投げしたまま、箱には自国の国旗のシールを貼ってどの国の寄付だか分かるようにしろ、空港に搬入する際に動画に撮らせろと要求ばかりしてくる先進国ひどすぎ。…
November 12, 2025 at 3:37 AM
…ある国のなかでワクチン接種を行うためにはその国の政府との協力が不可欠だけれど、そうなると不利になるのはパレスチナ人や難民など国家の庇護を受けられない人たち。支援対象を国に限らず「地域」に広げることでそうした人たちにもワクチン配布を広めようとするが、低温冷凍保存が必要なmRNAワクチンはもとより、医療施設が不足しており道路もあまり通ってない地域での活動は困難を極めた。また過剰なストックを抱えた先進国は所持しているワクチンの使用期限間近になって「〜本のワクチンを無駄にした」と報道されることを恐れて「ワクチンを寄付するからすぐに持っていってくれ」と要望してくるが、…
November 12, 2025 at 3:37 AM
…自国のワクチンを売り込みたいロシアや中国や、あまりそう言われてはなかったけれどアメリカなどがそれぞれ他国のワクチンについて誤情報を流すなどして混迷。どのワクチンがより有効か分からないなか、全国民が必要とする量より多くのワクチンを先進国が買い占めたり、低所得国に分配するためのワクチンの製造を任せていたはずのインドや南アフリカが政府の決定により輸出を禁止するなど、国家のエゴのぶつかり合いも激化した。…
November 12, 2025 at 3:37 AM
…COVID-19によるコロナウイルス・パンデミックはGAVIが低所得国において行っていた事業を一気に中所得国や高所得国の一部にまで拡大させただけでなく、まだ成功するかどうか分からない多数のワクチン開発に資金を注ぎ込み、またそれらができる限り公平に分配されるような枠組みを推し進めた。しかし先進国で特定のワクチンに人気が集中しそれ以外のワクチンのほうが効果が弱いかのような印象が広まると、低所得国の側からも自分たちに好きなワクチンを選ばせろという意見が高まってきたり、…
November 12, 2025 at 3:37 AM
…せっかく実現したワクチンがきちんと実際に使われて人々の命を守るために必要なインフラストラクチャーの整備をするなどの活動が説明されるとともに、それぞれの感染症に特有の難しさやワクチン実施をめぐる思いがけないハードルなどの経験が明かされ、そうした経験の蓄積がのちにCOVID-19への対応に役立ったことが示される。…
November 12, 2025 at 3:37 AM
…本書は大きく分けて、エボラやHIV/AIDSなどさまざまな感染症に対するワクチンの開発を後押しし、その普及を目指す活動について書かれた前半と、コロナウイルス・パンデミックへの対応に追われる激動の日々について書かれた後半に分けられる。前半では、主に低所得国で広まっている感染症に対するワクチンからは利益が見込めないため民間の製薬会社が開発を行おうとしない現状に対して、ゲイツ財団や各先進国からの支援をまとめてあらかじめ開発に成功したワクチンの買い取りを保証したり、…
November 12, 2025 at 3:37 AM
…同時に著者自身、白人マインドセットを内面化してしまい、自分の出世のために助けを求める黒人の学生を見捨ててしまった経験を挙げているように、白人マインドセットは白人だけの問題ではない。というより白人マインドセットは白人ではない人たちに内面化されたときこそ、その陰湿さが際立つ。黒人男性が全体の0.5%しかいない心理学という分野でさらに少ないゲイである著者による心理学の白人至上主義に対する批判はもちろんもっともな話なんだけど、それより自叙伝的な部分のほうが圧倒的に引き付ける話だし、読んでいて著者の憤慨に共感する。
November 12, 2025 at 2:50 AM
…まあそんな話から、ようやく心理学者として教壇に立っても白人学生からナメられ脅されたり「怖い、もっと笑って」と注文される話やら、業績がないうちは過小評価され、かといって業績を積み上げてきたらこんどは脅威とみなされる話とか、アカデミアの黒人あるある話が満載。…
November 12, 2025 at 2:50 AM
…でもまあ必修なので仕方なく「スポーツ・カルチャーに潜入してみる」というプロジェクトをすることにしてスポーツバーに行ったのだけれど、参加したといえるためにはほかの客と会話をしなくちゃいけないし、そうするとゲイだとばれるんじゃ?相手の男を誘っていると思われたらマシュー・シェパードさんみたいに殺されるんじゃ?という恐怖とともに、「あ、シャーリー・テンプル(ゲイが大好きな往年のハリウッド女優の名前から取られたノンアルコール・カクテル)置いてある?てかそんなの注文したらゲイだってばれるじゃん、ビール飲まないといけない?」とか自問する著者がゲイゲイしててかわいい。…
November 12, 2025 at 2:50 AM
…白人女性が一人で黒人社会に来ることが、黒人社会にとってどれだけの脅威なのか——過去には白人女性に視線を向けたというだけでリンチにあった黒人はたくさんいる––分かろうともせず、その好意に甘えて参加させてもらい、その結果「思ってたほど怖くなかった」ってそれってなんだよと。たった2時間そんな体験をしたからといってマイノリティの経験を理解できるはずもないし、それがダイバーシティ教育だなんてふざけている。…
November 12, 2025 at 2:50 AM
…講師が過去の良い例として挙げたのは、黒人教会の礼拝に参加した白人女性の学生で、キリスト教徒である彼女はそれまで黒人教会には行ったことがなくて不安だったけれども、行ってみたらみんな親切だし讃美歌がリズミカルで踊りだす人がいたほかは同じだった、という学びをした、という話だったのだけれど、これを聞いて著者は怒りを通り過ぎて呆れてしまう。…
November 12, 2025 at 2:50 AM
…とくに著者が「白人はクレイジーだ」と思ったのは、大学院で必修とされたダイバーシティに関する授業で、「自分がマイノリティになる場所に2時間参加してみて報告しろ」という課題を出されたとき。心理学は圧倒的に白人が多い分野で、なかでも近年白人女性が増えているが、著者が周囲を見回しても黒人は自分だけ。さらにゲイである著者は黒人コミュニティでも疎外感を感じており、2時間どころか一日24時間マイノリティであることが避けられないのに、その自分に何をしろと言うのか。…
November 12, 2025 at 2:50 AM


本書はこうした心理学における白人至上主義や男性中心主義・異性愛中心主義への批判とともに、著者はリベラルな街だとされるサンフランシスコでアジア人による住居差別にあったり2008年の住民投票において「黒人が同性婚に反対した」という初期の小規模な出口調査における間違ったニュースが広まった結果白人のクィアたちに人種差別的な扱いを受けた経験から、心理学者を目指して大学に進学して経験した人種差別や、心理学者としてどれだけ業績をあげても評価されずむしろ警戒されるようになることなど、著者自身が経験した不当な扱いについての記述が続く。…
November 12, 2025 at 2:50 AM
…かれらの逸脱性や劣等性を説明する後付けの理論を付け加えた。たとえば心理学の教育課程で必ず扱われるエリック・エリクソンの心理社会的発達理論では、生涯を通して人々が通過する8つのステージが規定され、それぞれにおいて人は心理的課題に直面し、それを通してアイデンティティや価値観を身に着けていくとされているが、エリクソンが黒人がアイデンティティ形成の過程で通る3つのステージを提案し、そのなかで黒人が過剰なセクシュアリティ、暴力性、あるいは表向きの従順さと鬱傾向に陥る理由を説明していることはほとんど知られていない。…
November 12, 2025 at 2:50 AM
…著者が批判する白人マインドセットとは、白人男性による心理学が前提とし、また理想としてきた、独立した個人という概念を中心としている。そこでは家族やコミュニティとの繋がりは個人の心理的充足の一つの道具とされ、過去の祖先や未来の子孫への責任は問われず、人々は個人の利益のために競争し勝利・成功することを目的として生きる。白人男性心理学者(たとえばミルグリムやジンバルド)らは、白人男性の心理の普遍性と優越性という矛盾した前提のもと、白人男性だけが参加した実験により人間の心理を解明したと発表し、のちにそれ以外の人たちが参加した実験で同じ結果が出ないと、…
November 12, 2025 at 2:50 AM
あ、これ開票率じゃなくて、登録有権者数のうち既に集計された票の割合か。じゃあもうほとんど票は残ってないことになる。得票率の差が0.5%以下だと手動の再集計が行われて結果確定にしばらく時間がかかってしまうので、できれば0.5%以上に差を広げて今週中に勝っておきたいところ。キング郡では過去に再集計が行われたことは何度かあったけど結果が変わったことは一度もないので(そもそもの集計がかなり正確だった)、それはあんまり心配してない。
November 12, 2025 at 1:20 AM
あとこの本のなかで、ユナボマーのフォロワーの一人として、過激派環境団体というより反トランスジェンダー団体として知られてしまっているディープ・グリーン・レジスタンスに参加していた男性の話が出てくるんだけど、そりゃ文明社会を破壊することを目的に掲げる環境団体がトランスジェンダー論争でゴタゴタやって自滅していくの、わけわからないよなあ確かに。
November 11, 2025 at 7:39 PM
…同時期にニュージーランドの首相であり「若い女性の国家指導者」としてよく比較されたジャシンダ・アーダーン首相 books.macska.org/026n もそうだけれど、コロナウイルス・パンデミックが起きた時期に彼女たちのような政治家がトップにいた両国はともに(とくにデルタ以前において)低い感染率と死亡率を実現していて、運が良かったといえばそうだけど、政治家って大事だなと。
Jacinda Ardern著「A Different Kind of Power: A Memoir」
Jacinda Ardern著「A Different Kind of Power: A Memoir」 37歳の若さでニュージーランドの首相に就任し、クライストチャーチのモスクで起きた銃乱射事件やコロナウイルス・パンデミックに揺れた政府を率いたジャシンダ・アーダーン元首相の自伝。生い立ちから2023年に首相を辞任するまでが描かれる。 序盤はごく平凡なミドルクラスの白人家庭の話。警察官である…
books.macska.org
November 11, 2025 at 7:17 PM
…こうして激動する時代のフィンランドを率いたマリン首相は、総選挙での議席減を受けて辞任。でもその時点ではすでに疲れ果てていて、関係が冷え切ってしまった夫とも離婚。それまで一緒の時間をあまり過ごせなかった子どもを優先するために議会からの辞任して、トニー・ブレア元イギリス首相の団体に再就職した。…
November 11, 2025 at 7:17 PM