「リアル・ペイン」すごくすごく良かった。きっと私にとって大切な生涯の一本になる。

複雑でどうにもならない心の機微を繊細にとらえているにもかかわらず、重たいどころか軽やかで、痛々しいのに美しくエレガント。ジェシーアイゼンバーグの天才的なバランス感に脱帽。

ベンジーとデヴィッド。彼らの不器用で、滑稽で、下手くそな傷だらけのあいしてるがたまらなく愛おしい。
抱える孤独や悲しみを分かり合えなくとも、寄り添うことはできる。長い長い抱擁が全てを語っていて泣いた。

旅は終わる。人生は続く。いつしか訪れていた夜明け。腕には友のぬくもりが残っている。やわらかな陽射しが優しく横顔を照らす。

『カモン カモン』観た。
理解し合えないことを理解し、受け入れ、その上で理解しようと努めること。伯父と甥。二人の些細な会話はまるで絶え間のないビッグバンのよう。静寂と爆発のさきに見えてくるもの。その尊い煌めき。ジョニー、ジョニー、ジョニー。僕の心に気付いて。ちゃんと拾って。そしてずっと忘れないでいて。

第九軍団のワシ、こんなに面白くて本当に良いんですか…？って取り乱すくらい見応えあって震えてる。ローマ人とブリトン人。征服者と被征服者。焚火を囲みながら交わす視線の緊張と、彼らのあいだに横たわる深い深い溝。霧が立ち込める晩秋の渓谷でふたりきり。自由と誇りをかけた旅の先に手にするもの。