柑奈
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柑奈
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櫂トシキが好き
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また全然違う感じw
3枚目:地声(1枚目より声大きめ)

３つとも共通の表層における行動は結構信頼性がありそう
とにかく元気ぽく聞こえるらしい
それ以外はよくわからんね
December 2, 2025 at 2:17 PM
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声分析のやつ
1枚目:地声
2枚目:仕事の時っぽい声
線の量の違いはおそらく声量
外側が表層、内側にいくとより内面の表れらしい
表向きには元気っぽく、裏でいろいろ考えてるタイプっぽい？
思考とか分析とか表層には一切出てないの逆にすごいな
December 2, 2025 at 2:13 PM
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モレクさんいらっしゃい！！！！！！！
November 27, 2025 at 12:08 PM
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ナド・クライの探索はそれなりにやりがいあったわ
他の地域のコンパスもナド・クライのと同じ仕様にしてくれないかな〜
せめて探知範囲を全域にしてほしい
November 25, 2025 at 7:22 AM
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（7/7）
けない。師である無限にすら頼らない。 　鹿野が無限に何かを求めたのは、最初に無限のもとへ訪れた時の、たった一度だけ。 　強くしてほしい。 　それ以外は何もほしくない、と。 　鳩老はひげを撫でて短く嘆息した。彼も、鹿野の過去と現在に至るまでの変遷を知っている。 「まあ、そう心配せずともいいだろう。あの子は賢く、実力もある。会館でもうまくやっている」 「……ああ」 「無限、お前は十分にあの子を育てた。儂が思うに、あの子はとっくに最初の、一番難しい艱難を乗り越えている。あとは、時間の問題だ」 　青い指先がそっと菓子の載った盆を無限の方へ押し出す。手元の湯飲みに視線を落としていた無限は、それに気づくとゆっくり顔を上げた。 「時間しか癒せない傷はある。時間でも癒せない傷もある。だが、お前が見守っ ているんだから、鹿野は大丈夫だ」 　盆に積み上がった菓子をしばし眺めた無限は、ふ、と微笑んだ。 「……まさか、励まされるとは」 　剣を握る無骨な、しかししなやかな白い指先が、小判型の饅頭をつまんで口元へ運ぶ。咀嚼して飲み込み、茶を啜る。その後の声音は、先ほどよりずっと明るかった。 「確かにあの子は立派になった。きっと、これからも成長していく」 　いつか、彼女が誰にも負けないくらい強くなったとして。 　いつか、長い時間が彼女を癒し、彼女が屈託なく笑える日が来たとして。 　その日からは、鹿野のことを考える時立ち込める心の暗雲は消え去るだろう。無限は安堵し、喜びをもって彼女を思うことができる。 「けれど、いつまで経っても、私はあの子を心配するよ。それが師匠の特権というものだ」 　次の心配はきっと、とても些細なものになるに違いない。鹿野は、そんなことをいちいち気に留めないでと苦言を呈してくるだろう。それをなんとか誤魔化し て、小さな贈り物を押し付けて。 　湯飲みを置いて、無限は鳩老にたった今思いついたアイデアを告げる。 「何を贈るか決めたよ。昔老君からもらい受けた法宝に、使い勝手のいいものがあった」 「なんだ、そういうものを持っているなら、さっさと渡してあげればいいものを」 「毎年は厳しい……」 　無限の切実な声音に、鳩老は声をあげて笑った。 　鹿野ともそうやって笑い合える日を、無限はずっと待っている。
November 18, 2025 at 1:08 PM
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羅小黒戦記２　SS（4/7）
映画の六十年くらい前、無限と鳩老が鹿野について喋ってるだけ
疑似家族に弱いオタクなのでだいぶくらった
印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。付記に「あなたに笑顔を贈りたい」、「@kaminasi7」と記載されています。 以下は本文の内容です。 「そういえば聞いたぞ無限（ムゲン）、鹿野（ルーイエ）が追跡チームのリーダーになったそうだな」 　鳩老（キューじい）が向かいの席に座るなりそう言ったので、ちょうど湯飲みに口を付けたタイミングだった無限は茶を飲み込む分の間を置いてから応答した。今は任務が終わり報告書の処理を待つだけの時間なので、会話も急ぐ必要がない。 「そうなのか」 「なんだ、知らなかったのか？　弟子のことなのに」 「うん。あの子はあまり、自分のことを知らせない」 　そして探られることも好きではない。なので、無限もあれこれ聞かないようにしている。 　鹿野が無限の手から離れてもう二十年ばかりになる。すぐ会館に入ってあれこれ勉強し、十年ほど前に追跡チームに入ったことは知っていたが、こんなに早くリーダーにまで伸し上がるとは。彼女の感知能力はもともと優れていたが、無限では教えられることに限りがあった。ひとり立ちしてから相当努力したのだろう。 「……なにか、祝いの品でも贈るか」 「それがいい。あの子も喜ぶだろう」 「……どうだろう」 　無限はそう呟いて茶を啜った。 　自分は果たして、あの子が喜ぶようなものを用意できるのだろうか。 　無限の嘆息に――鳩老は怪訝そうに目を眇めた。 「ん？　お前、毎年鹿野に誕生日プレゼントを渡しているだろう。喜ばれていないのか？」 　ぴたりと無限の手が止まる。短い沈黙の後、無限はぼそりと答えた。 「……アクセサリーの類は、センスがないと」 「ふうむ」 「本は、手を付けてないと」 「……ううん」 「食べ物を渡したら、賞味期限が短いのは嫌だとか、甘いものは食べないとか。現金を渡したら、子どもの小遣いじゃないんだからと」 「難しいな……。欲しいものを聞いたらどうだ？」 「自分で買うからいらないと」 「なるほど……」 　無限と鳩老の間にしばらくの沈黙が落ちる。二人はつんと澄ました顔の鹿野を思い出した。 　……年ごろの女の子は難しい。ため息を吐く無限はさながら娘との交流に悩む父親だ。 　鳩老は少しおかしく思って、低く笑いながらひょいと急須を浮かせて自分の湯飲みに茶を注いだ。 「まあ大事なのは何かを渡したいという思いだ。鹿野だってそれはわかっているだろう。口ではいろいろ言うが、本心ではお前の心遣いに喜んでいるはずだ」 「……まあ」 　次いで無限の手元にも急須が向けられ、差し出した湯飲みに茶が注ぎ足される。茶の水面に照明の光がゆらゆらと揺れ、その間隙に教え子のかつての様子を思い出す。 　最初は、何を差し出しても手を振り払われた。 　次に、受け取りながらもこちらの意図を探るようだった。 　次第にそれらのやり取りは何気なくなり、何かしら文句を言いながらも彼女は無限から物をもらうことを躊躇わなくなった。 　鹿野の態度の軟化は著しく、ひとつひとつが喜ばしかった。けれども――無限は一口茶を飲んでから、ぽつりとつぶやいた。 「だが、結局あの子は心を閉ざしたままだ」 　何もかもが良くなったわけではない。無限は、ひとり立ちしてからこっち、ろくに会いに来ない弟子を思う。時折会館内ですれ違ったり、現場で鉢合わせしたりはするが、たいていは目礼だけか、届けさせたプレゼントへの文句が短くある程度だ。 　会いに来ないことが不満なのではない。例えば、師匠のことを忘れるくらい毎日が楽しいというのなら、何も言うことはない。けれども彼女はそうではない。 　無限は、すれ違いざまの鹿野の様子を思い出した。少し強張った表情、暗い色が揺蕩う眼差し――それは出会ったころの少女だった彼女が受けた心の傷が癒えていない証拠だ。 　彼女はいまだに過去の自分を許していないし、それゆえ、人をほとんど寄せ付
November 18, 2025 at 1:08 PM
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アオイちゃん
November 8, 2025 at 3:54 PM
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泣いてねえよ
November 4, 2025 at 3:09 PM
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睦はじ
ちゅーしてる
印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。付記に「俺はきみの特別」、「@kaminasi7」と記載されています。 以下は本文の内容です。 　肩に手が添えられたら、キスがしたいという合図だ。 　はじめは顔を上げて、近づいてくる睦生の唇を受け入れた。 「……――ん」 　睦生の唇は柔く温かい。触れていると肩の力が抜ける。たっぷりと長い時間重ねて、最後に下唇に軽く吸い付かれてから離れる。ちゅ、と鳴ったリップ音にはっとなって、はじめはじろりと睦生を睨んだ。 「……急に盛るな」 「だってしたくなっちゃったから」 　てへ、とおどけてみせる睦生はまったく反省した様子がない。そっちが勉強を教えてほしいとはじめの部屋に押しかけて来たくせに。 「集中しろ……んっ」 　しかし口では文句を言いつつも、再度顔を近づける睦生をはじめが拒むことはない。今度はべろりと唇を舐めてきたので、口を開いて舌を招き入れる。睦生ははじめの舌を捕まえると、己の舌で丹念になぶった。唾液で滑る舌がにゅるりと絡む感触は、はじめの脳髄をびりびりとしびれさせた。 「……はっ、はあっ……」 「相変わらず息継ぎが苦手だねぇ」 「うるせぇ……」 　くすくすと笑う睦生は息一つ乱していない。憎らしい話だが、いつまで経っても深いキスに慣れないはじめと違い、この一個下は最初からキスがうまかった。幾度か仕返しをたくらんだことがあるのだが、いつもいつの間にか主導権を奪われてしまうのだ。 「そういえば聞いた？　陸ったらクラスに気になる女の子がいるんだって」 「へえ、陸がね……」 「恋の先輩としてアドバイスしてあげなきゃね」 「やめろやめろ、何言ってんだ」 　冗談のように聞こえるが、睦生はいささか冗談と本気の垣根が低い。止めておかないとやらかした時に後悔する。 「冗談だよ。俺たちの〝コレ〟は、まだ秘密だからね」 「わかってるなら言うなよ……」 　睦生がはじめにぴったり身を寄せて、はじめの手の甲の上に手のひらを重ねる。 　ふたりが恋人だということは、まだ誰にも話していない。同性だし、親戚だし、まだ高校生だし。なにやら察しの良い人たちには感づかれているような気もしないではないが、明言しないうちは疑惑で済んでいるだろう。そのはずだ。 　いつかは家族や友達に伝えると決めている、ふたりで。けれどもタイミングはというと、はじめはぼんやり社会人になったらと考えているが、睦生はもしかしたらもう少し具体的に考えているかもしれない。「たくらむ」とか「くわだてる」とかに妙に長けているこの男の時機を見極める目はそれなりに信頼に値する。 　でもたぶん、そうでなくとも、はじめは睦生の意思を尊重しただろう。調子に乗るのであまり口にしないが、「睦生である」というのは――はじめにとってそれだけで受け入れる理由になる。 「おい、そろそろ」 「え～、もうちょっと」 　睦生に利き手の自由が奪われているせいでシャーペンも持てない。声をかけると、睦生ははじめの肩に頭を乗せたままごねた。首をひねって顔を覗き込むと、 睦生も目を上げてはじめを見る。その大きな目がふいに煌めいて、耳元に口を寄せてくる。 「ねえ、はじめ」 「課題が先だ」 「え。終わったらしていいの？」 　嬉しそうに笑う睦生に、回答を間違えたことに気づいたが、撤回は利かないだろう。はじめは深くため息を吐いて、「さっさとどけ」と睦生を肩で押した。今度は素直に体を起こした睦生は、机に向かうかと思いきや指先をはじめの頬に伸ばした。 　何、と思う間もなく口元にキスが降る。 　目を丸くして睦生を見ると、彼は目を細めて不敵に笑った。 「じゃあ、続きは後で」 　あっさりと手を引っ込めてもともと座っていた場所に戻った睦生は上機嫌で問題集をめくった。 　はじめはといえば、動悸を抑えるのにもう少し掛かりそうだ。
October 31, 2025 at 4:31 AM
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（5/5）
　ていうかこいつの戦い方無茶苦茶じゃない？　身体を酷使するやり方は忍者生命短くするぞ。まだ若いからって油断してると後に響くんだからな。ったく、俺のもとに来たからには、こういうのは改めさせなきゃな。 　そういうわけで、俺は任務の当日ヨダカにウザがられるくらいに喋り倒した末、めでたく今でもオペレートしている。やったね！
September 23, 2025 at 1:51 PM
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しのびごとSS　オペさん　本誌49話ネタ（4/5）
オペさん、“光”の男です（大好き） #文庫ページメーカー https://sscard.monokakitools.net/bunko.html
印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。付記に「はじめましての前」、「@kaminasi7」と記載されています。 以下は本文の内容です。 『この任務には、ヨダカを使え』 「え」 　え～！？　いいんですか～！？ 　通信越しの上司の言葉に、俺は口から飛び出そうになった歓喜の声を咄嗟に飲み込む。でもあの、ヨダカってあのヨダカだよな？　トリノスを最年少かつ主席で卒業した麒麟児。俺には縁のない忍者だと思っていたが、まさかオペレートの機会があるなんて。 　俺はごくりとつばを飲み込んだ。オペレートできるということは――部隊に組み込んでもいいということだ！　だが、オペレーター業界は複雑で七面倒臭い。一応確認したほうがいいだろう。がっついているとは思われたくないから、なるべくさりげない感じで……俺は顔も見えない上司相手に無駄にきりっとした顔を作って口を開いた。 「それはつまり……」 『ああ。もちろん、具合が良ければそのまま使い続ければいい』 「え～！？　いいんですか～！？」 　◈ 　もちろん、俺は馬鹿にされている。この業界はツテとコネが九割九分を決めるのだ。それらを持たない俺の立場は弱い。まともに忍者を招集できないから、評価は最底辺を這っている。ヨダカを派遣されたのも温情の一面があるのだろう。久しぶりに難しい任務で、俺がかろうじて連絡を取れる忍者では手も足も出なさそうだ。 　しかし、俺にとっては好都合だが、ヨダカはなぜこんな底辺オペレーターのもとへ？　オペレーター間で取り合いになっているという噂じゃなかったか？　何か問題行動でもしたのだろうか。俺は疑問に思いながら、ヨダカの任務記録を閲覧した。 「……いや、これは――」 　そこにあったのは、凄惨な記録と言ってよかった。 　任務。任務。移籍。任務、任務、からの移籍。ずらりと並ぶのは過酷な任務と部隊移籍の連続だ。詳しい報告を読むと、どれも激しい戦闘部分をヨダカが担っている。どれほど強くたって、こんなんじゃ体が持たない――。 　ああ、そういうことか。 　ヨダカは鳴り物入りでデビューした。それは単に優秀だからというだけでなく、彼が忍者の家系でないというのが大きい。家という後ろ盾に守られたほかの忍者たちと違い、身寄りのないヨダカならどれほど無茶をさせても、最悪使いつぶしたところで誰も何も言わない……。ヨダカは使い勝手の良い駒なのだ。 　だが――俺はため息を禁じえなかった。 　なんてもったいない使い方してやがる。 　優れた戦闘能力を持ち、無茶をさせても構わない駒。そうだとして、これほどまで移籍を繰り返しているのは何故だ。オペレーターなら誰しも優秀な人材は囲い込みたいはずなのに。 　理由の見当はすぐついた。ヨダカは優秀すぎるのだ。ほかの部隊員が添え物にしかならないほどに。所詮民間の出に過ぎない少年が、歴史ある忍者の一族の者たちより活躍するなんて、一族のお歴々やそれとズブズブの関係を結んでいるオペレーターたちには許しがたいのだろう。結局、ヨダカは一時的な助っ人としてでしか使えず、いくつか任務をこなさせて部隊の評価が上がったらすぐ他所へ押 し付ける。そういうことが繰り返されたのだろう。 　そして、最終的に、俺の元まで回ってきた。 　俺は椅子に深く腰掛けて長い長い息を吐いた。 　それから、こらえきれずに笑った。 　なんて――都合がいい。 「いいな。こいつ、俺が貰おう」 　そうと決まればと、俺は体を起こしてヨダカの戦闘データを集め始める。 　どの家ともコネがない俺は、逆に言えばどの家にも気兼ねする必要がない。俺なら、誰にも文句を言わせずヨダカを主戦力にした部隊が組める。トリノス主席を部隊に組み込むことができれば、底辺からだってオサラバだ。楽しい展望に笑いが止まらない。ふふん、俺を侮っていた連中の面目をつぶす千載一遇のチャンスだ。絶対に逃すわけにはいかない。 「ヨダカ、俺がお前をうまく使ってやる」 　くだらないプライドも、つまらない忖度も、俺たちの間には存在しない。お互いコネがないせいで辛酸を舐めた同士だ、きっと俺たち、うまくやれると思うよ。
September 23, 2025 at 1:51 PM
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迷走
September 22, 2025 at 4:02 PM
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これかも！！！！！
September 22, 2025 at 1:18 PM
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色相を敢えてずらしたほうがやりやすいかも　正しいかは知らん
September 22, 2025 at 1:02 PM
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今えっくすで流行ってる隣の色との差異で色を決めるやり方、まじでわかんないからわたしには早い技法だったんだろうな
まじで絵の才能なくて涙
なんならやるほどに下手になっている気すらするぜ（たぶん集中力が切れた）（お花はガチで途中だけどもう書きたくない）
September 21, 2025 at 2:09 PM
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（8/8）
　男の声音は優しかった。だが、それがかえってセノを苛んだ。沈黙の殿で己のルーツを知ってからこっち、幾度か過去に思いを馳せたが、記憶は一向に判然としなかった。そもそも、セノはずっと自分の過去を探ることを意図的に避けていた。自分の出生がはっきりせずともセノは恵まれた生活を送っていたし、頑なに口を噤むジュライセンの様子から、過去を知って愉快な気持ちになれるとはとても思えなかったからだ。 　そんな姿勢でいたにもかかわらず、セノは今更失った記憶を惜しんでいる。傲慢だ。自ら目を逸らしておきながら、思っていたよりも悪いものではなかったのだろうと知って初めて関心を向けるなんて。 　黙り込むセノを、男はただ苦笑して見つめていた。彼の態度は確かにセノを知っている者のそれだ。記憶を持たないセノからすれば、座りが悪くなるような受容の姿勢。セノに過去を語って聞かせたバムーンの眼差しと同じだ。 「悪い、落ち込ませたかったわけじゃない。ただ……」 　気配に気づいたのは、ほとんど同時だった。男は振り返り、セノは顔を上げて男の肩より向こうを見つめる。曲がり角の向こうから、ばたばたと幾人かの駆け る足音が近づいてくる。 「ようやく来たか」 　男はつぶやいた。十字路から姿を見せたのは、二十代から三十代くらいの若い男女だった。みなセノたちを見てほっとした顔になった。 「まだいたか、よかった」 「片付けでばたばたしてたから気づくのが遅れたよ」 「セノ～！」 　そのままセノを取り囲む。その勢いにセノがやや身を引くと、気づいた男が彼らを窘めた。 「おい、ほどほどにしろよ。――すまん、セノ。みんな本当はもっと早くに話しかけたくてうずうずしてたもんだから」 　確かに今まで話すタイミングなどなかったろう。しかし、そもそも沈黙の殿に自分に話しかけたいと思う者がいるなどと想定していなかったセノは、若干胡乱な目で彼らを見てしまった。 「こいつらは……」 「ああ。こいつらも、俺と同じで、お前のことをよく知ってるんだ。歳が近くて、幼いころから沈黙の殿にいる」 　一人が親しげにセノに笑いかけた。また別の一人も笑ってひらりとセノに手を振る。一人はうんうんと何度も頷いている。 　男も微笑んで、彼らを紹介するように腕を広げた。 「お前の幼馴染さ」 　幼馴染。その言葉を聞いてセノは大きく目を見開いた。友人の少ない学生時代を送ったセノにとって、そんな言葉が身近だったことはない。 「幼馴染……」 「そうさ。セトスも含めてな」 　男は揶揄うような口調でそう言うと、にっと笑った。その笑みから伝わるのはセノからすれば奇妙な親愛だ。セノはここにいる誰のことも知らない。好意を向けられるいわれもない。しかしそれはセノの主観で、彼らからすればまったく違う。 「お前が覚えなくたって、俺たちは覚えている。お前がここに根を張ることはな くとも、お前がここにいた過去は消えない。沈黙の殿はお前の故郷で、俺たちはお前の幼馴染だ。思い出せずとも、覚えていてくれ。ここにはお前の幼馴染が何人もいて、いつでもお前の力になるってことをな」 　セノはその言葉を聞いて、ほとんど呆然と周囲を見回した。幼馴染と称された彼らは照れくさそうな笑みを浮かべ、セノを見つめている。また、ともにここに来た友人たちも静かに成り行きを見守っていた。 「……まさか、この年になって幼馴染ができるとはな」 　セノは神妙にそうつぶやくと、目を細めて微笑んだ。 「わかった。今度は絶対に忘れないよ」
September 15, 2025 at 5:00 PM
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セノと沈黙の殿の若者たち
セノ伝任２の終盤
（4/8）
セトスの幼馴染ってことはセノの幼馴染でもあるはずだよなあ！？　全部捏造だよ #文庫ページメーカー https://sscard.monokakitools.net/bunko.html
印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。付記に「思いがけない幼馴染」、「@kaminasi7」と記載されています。 以下は本文の内容です。 　沈黙の殿での用をすべて済ませたセノ一行は、すぐに帰還の準備を整えた。早く帰って友人たちを安心させてやりたかったし、事の次第をクラクサナリデビに報告する必要もある。それに、首領の死を悼む沈黙の殿に、部外者が長居すべきではないだろう。 　そう考えていたので、まさに沈黙の殿から出ようという時に呼び止められ、セノは正直かなり驚いた。 「ああ、いたいた。セノ！」 　しかも、こんな明るい声音で。 「お前は……？」 　足を止めて振り返ると、若い男がひとり駆け寄ってくるところだった。見覚えがあるなと思ったら、セトスと出会った時そばにいた男の一人である。のんびりした雰囲気とは裏腹に一切隙のない身のこなしだった男だ。 「帰る前に捉まってよかったぜ、はあ……少し時間をくれないか？」 「何かあったの？」 　ティナリが男に問いかける。このわずかな時間でトラブルが起きたのかと懸念 しての問いだったが、それは男が手をひらりと振って否定した。 「いや、なに。お忙しい大マハマトラ様と話せる機会が次いつあるかもわからないからな」 「うわあ、もしかしてこいつ、ミーハーってやつなのか？」 　冗談めかした言葉にパイモンが呆れ返る。もちろんそんなわけがないと、パイモンを除いた全員が承知していた。 「何の用だ？」 　セノが問うと、男は表情を改め、真剣な顔で胸に手を当て、静謐な一礼をした。 「まずは、謝意を。ジュライセン……お前の家族に狼藉を働いた沈黙の殿を、お前は寛大に扱ってくれた。俺は首領の考えなどまったく知らされていなかったが、きっとこの点が最も大きな懸念点だったと思っている」 「どうだか」 　それを鼻で笑ったのは当のジュライセンだ。意地っ張りな彼は亡き友人の部屋で消沈していた様子をすっかり消し去り、表面上はもとの陽気な調子を取り戻していた。 「バムーンは狡猾な奴じゃ。セノの気性をよく調べていたに違いない」 「……確かに、そうかもしれないな。特に首領は、セノのことをよく知っていたはずだ」 　男は思案するように腕を組むと、セノに視線を戻した。 「セノ、お前が昔ここにいたことは聞いただろう？」 　セノは頷いた。セノと沈黙の殿の因縁は、此度の騒動で詳らかになったばかりだ。 「記憶にはないが」 「だろうな、セトスも同じだった。跋霊を受け入れた負荷が記憶に行くみたいだ。しばらく寝込んでたと思ったら、俺たちのことをすっかり忘れちまって、幼心に傷ついたよ」 　見れば、男の年頃はセノやセトスとそう変わらないように見えた。二人が跋霊を受け入れたのはかなり幼い頃だから、そんな年齢で友に忘れられるのはかなりショックな経験だっただろう。 「まあ、セトスはとはすぐまた改めて友だちになったからいい。けど、そのまま いなくなられちまうとなあ」 　続いた言葉に、はた、とセノは目を瞬かせた。てっきりセトスの話になるのかと思っていたのだが、どうやら違う。跋霊を得て間を置かず沈黙の殿から離れた――それはセノの話だ。 「……もしかして、昔の俺を知っているのか？」 「ああ。よく知っているよ。お前とセトスがそこら中を走り回ってたのも、よく覚えてる」 「それは……」 　セノはなんとなく気まずさを感じて、横目で周囲を見回した。この静寂に包まれた大殿堂を、幼い自分とセトスがぱたぱたと駆け回る様子を思い浮かべようとしても、うまくいかない。 「思い出そうとしなくていい。セトスも結局思い出せなかった。お前も無理だろう」 「……すまない」 「いいんだ。お前のせいじゃない」
September 15, 2025 at 5:00 PM
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続き
September 4, 2025 at 5:13 AM
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赤髪の白雪姫（ゼン白）
髪色について
印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。付記に「君みたいな色」、「@kaminasi7」と記載されています。 以下は本文の内容です。 　眠れなくて、白雪は自室から忍び出た。庭に出て夜風に当たるか、キッチンへ行って何か飲み物を調達するか。決めかねた白雪は下り階段の前で足を止める。 　ゼン殿下の側近たちに与えられた王宮の東の一角は、庶民の出の白雪からすれば驚くほど広く壮麗な造りをしている。壁も床も磨かれた真白の大理石で精緻に組まれており、夜闇の中でも階下の広間の輪郭が薄ぼんやりと浮かび上がって見えた。 　踏み外さないように段差の位置を目測していた白雪は、背後の庭園につながる扉が音もたてずに開いたことに気づかなかった。 「……白雪？」 　突然名を呼ばれ、白雪はびくりと肩を跳ねさせ周囲を見回した。背後だと気づいて振り返ると、静かに開いていく扉の隙間から白雪よりやや背の高い人影が見えた。ぞっと慄いて身構えること幾ばくか、白雪はようやく彼がよく見知った人物だと気づいた。思わず大きく口を開く。 「ゼッ……！」 　ぱっと手が伸びて白雪の口を軽く抑える。あっという間に距離を詰めたゼンは、 もう片方の手で己の口の前で人差し指を立てた。 「しーっ！　……あいつらに気づかれるだろ」 　白雪はこくこくと頷いた。ゼンがここに来た時点で優秀な側近たちは察知していそうだが、そんなことは彼も承知の上だろう。騒ぎさえしなければ夜にベッドを抜け出す主君のことも適度に見逃してくれるような人たちだ。 　ゼンはジェスチャーで庭園を指した。外に出ようということだろう。白雪としても渡りに船だ。一も二もなく彼について行った。 　広い庭園を明るい月光が照らしていた。足元に影ができるほどの月夜である。おかげで白雪もつまずくことを恐れずすいすいと歩いて行けた。庭園の端に立てられた欄干までたどり着いてようやくゼンが振り向く。 「ここならいいか」 　それでも控えめな声量である。彼の声をしっかり聞くために、白雪はすぐ隣に立った。無意識に詰めていた息を吐く。 「……びっくりした～……」 「俺の台詞だそれは。なんであんなところで突っ立ってるんだ」 「ちょっと眠れなくて……ゼンこそ、なんでここに」 「いやミツヒデの寝顔でも見てやろうと……」 　またゼンによるミツヒデいじりの一環か。白雪は呆れて半目になった。たぶんミツヒデならゼンがいたずらを仕掛ける前に目を覚ますのだろうが。 「やめなよ、起こしたら可哀想だよ」 「まあ今晩のところはやめておいてやる」 　ゼンは無駄に偉そうに答えた。もしかしたらこれまでもちょくちょくチャレンジしてはミツヒデの安眠妨害をしてきたのかもしれない。 　ゼンは不意に欄干に足をかけて乗り上げた。行儀悪く片足を上げて抱え込むように座る。この王子の振る舞いが粗雑なのは常のことだ。 　だが一方で、彼の所作は非常に優雅だ。欄干に乗り上がってもなお野卑さを一切感じさせないのだから徹底している。なんなら明るい月も相まってとても絵になる。 　この一見相反しそうな粗雑さと高貴さはゼンの優れた魅力だ。彼はとても気さくに騎士や庶民に声をかけ、すぐ打ち解ける。いわゆる貴族的な近寄りがたさと は無縁な男である。一方で、所作や言葉遣いの節々からにじみ出る王子の品格は、人を惹きつけ、従わせる。 　どちらかが欠けたならば、威厳に欠けた粗忽者か、高慢ちきなエゴイストとなるだろう。だが、ゼンはそのどちらにもならなかった。奇妙なバランスで気安さと品格を保ち、白雪はそれをしばしば奇跡のようだと思う。 　白雪も、彼がそんな風だから、ここにいる。 「……どうした？」 　ゼンをまじまじと見ているうちに視線に気づいたのだろう、彼は首をひねって白雪に問いかけた。月光がてらてらとゼンの髪を照らし、その間から覗く青い瞳もよく見える。 「うん、ゼンを見てた」 「……そうか」 　照れたのかふいと逸らされた横顔を、月光に照らされ青白く光る髪が隠す。夜風が彼の髪を攫い、さらさらと遊ばせた。 「ゼンの髪って、不思議な色だよね」
September 4, 2025 at 5:11 AM
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櫂くんおたおめ！！！！！！！
August 27, 2025 at 3:04 PM
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三和ミサちゃん
August 16, 2025 at 10:09 AM
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しのびごと　ムクドリ　「変遷」
July 22, 2025 at 3:55 PM
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July 16, 2025 at 2:41 PM
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しのびごとSS　火室姉弟（ムクドリとウミネコ）
今週号39話のネタバレあり
July 2, 2025 at 4:05 AM
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しのびごとSS　アオイと野月（ヨダカ）
June 23, 2025 at 3:31 PM