ベンジャミン・クリッツァー
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ベンジャミン・クリッツァー
@benjaminkrtizer.bsky.social
哲学者・書評家/会社員(記者・編集者)

読んでいる本、街と自然の写真、ときたま映画やテレビの感想なんかを呟いていきます。

著書:『モヤモヤする正義:感情と理性の公共哲学』(2024/9/25 発売しました!)
https://x.gd/BvKrY

『21世紀の道徳:学問、功利主義、ジェンダー、幸福を考える 』(現在4刷)
https://x.gd/veSGl

連絡先:davitrice0102@gmail.com
面倒さもリスクもひっくるめて自分で請け負って楽しむのが良い人生の過ごし方だ、というリベラリズム哲学的人間観の強さや朗らかさも逆説的に感じた。

性愛関係に基づく共同性はなぜ“深かったり”強くなったりしがちなのか、というポイントについては答えようがあると思うが、あえて社会学的な視点のみに留まっているから答えは出ないものとする、という感じかな。
November 12, 2025 at 4:06 AM
性愛ではなくケア関係に基づく共同性を保護するものとして結婚制度を換骨奪胎する(エリザベス・ブレイクの)主張に理解を示しつつ、制度を変えるに当たっては司法・行政上のコストや固定観念・ステレオタイプの根強さ(そしてそれらに含まれる一定の合理性)の問題から簡単じゃないし未知のリスクもありますよ、でも未知だから何も変えないのがいいという保守主義が正しいわけじゃありませんよ、と、いつものことなから著者の主張からはかなり目利きの届いたバランス感覚を抱きます。

「自由」を一概に良いものとはせず、選択肢が増すことに伴う「面倒さ」や「リスク」をたびたび強調するのは、ある種の社会学だなあ、という感じ。
November 12, 2025 at 3:56 AM
内部化とは、関係の開始・継続・終了において、当事者(=関係の内部者)が調整できない外部的要素の影響が小さくなることを指す。[不貞をしないこと、子どもを持つことなどから「自由」になる、といったニュアンス]ではなく、現代社会で進んでいるのは、不貞のなさでも子どもの有無でも、また相手に収入があるかどうかも、当事者の重視する価値に応じて重視されたりされなかったりする、持続的な共同関係へのシフトである。ここでは、「不貞の欠如」「生殖」などが、結婚を外から規定しているのではなく、当事者たちがケース・バイ・ケースで重視したりしなかったりする、部分的な構成要素になる。(p.79-80)
November 12, 2025 at 3:50 AM
・ロマンティックラブ・イデオロギーが薄れた現代でもなぜいまだに結婚と性愛関係の結びつきは強いものとされているのか、という問題には簡単に答えは出ない、という点が示されているように思った。

・法律婚や周囲を巻き込むセレモニーは関係を維持する「歯止め」になる、というのは自分が前から思っていたポイントなのでおっとなった(p.172)

・結婚は「外部」にあるものから個々人の人生の選択肢として「内部化」されるようになった、という点が本書で特に重要な論旨かな。

・法律は婚姻期間中の要件として共同性は重視しても性愛関係は重視しない、入口要件では共同性すら問われない、というのは、なるほどなポイントです。
November 12, 2025 at 3:43 AM
あとがきで出てくる「AIの文体を模倣したレポートをAIが生成したというテイで提出した(しかし著者に見破られた)」という小賢し学生のエピソードもまた無性にイラつくんだけど、さすがに象牙の塔過ぎるというか、いまAIが問題になっているのは実存とか人間観とかの話とかフランケンシュタイン・コンプレックスとかではなくて労働条件や雇用に関するもっと現実的な不安(あるいは著作権などの権利侵害、および環境リスク)なのであって、そこら辺をすっ飛ばして藁人形論法的な文明論を行いつつ「美学して楽しむ」をやっているのがきわめてイヤ。

まあサンデルもやっていたような能力主義批判のヘンなところを考え直す機会にはなった。
November 11, 2025 at 11:47 AM
しかし、全体として、AIに対するネガティブな見方を「誇張された脅威論」または「実存的な不安」として扱っているのが藁人形論法的な感じ。

特に終盤では「私たちはAIに取って代わられる、という実存的不安を抱くのは生産性至上主義や能力主義を内面化したからなので、発想を変えて既存の社会の枠外から出た考えや生き方をするようになれば、むしろAIが色々代替してくれるおかげでこれまで『不要不急』や『無駄』とされてきた物事の価値を味わえるようになり豊かな人生が過ごせるようになって…」というのは、AIによって食い扶持が奪われるなどの「経済的不安(≒生存の不安)」を全く無視した物言いで、かなりイラっとした。
November 11, 2025 at 11:41 AM
常識では「自然」と「文明(人工・機械)」が対立するという枠組みで理解されているが、カントの枠組みでは「自然(機械)」と「自由(意図・欲求)」(または「作用」と「行為」)の対立として理解される、という整理(p.51~55)はわかりやすくてなるほど、と思いました。

あとAI生成芸術に関して『判断力批判』におけるナイチンゲールの声真似少年エピソードを持ち出したり、芸術は「人為」のなかに「自然」を見る認識転換、といった説明を行うとこもなるほど感(p.121~128)。

ハイデガーやドレイファスを持ち出しつつ「機械か人間かを問わず知能とは情報処理であるという哲学的前提」を批判するところも印象的。
November 11, 2025 at 11:36 AM
怪物の孤独や、目の見えない老人の家から追い出されるシーンの悲惨さは、原作のほうがずっと伝わった。

まあこの時点で悲惨にし過ぎず希望や善性を持たせることで、ラストシーンの爽やかな解決へと違和感なく向かわせるということかな。主人公や怪物の狂気が「語り」を通じて解毒されることで、それに耳を傾けていた船長の狂気も解毒されて無謀な航海を中断する…というオチもお話として気が利いているなと思いました。

一方でエリザベスの描き方や、パーシー・シェリーの『オジマンディアス』やバイロン卿の名前が登場するなどメアリ・シェリーの周辺の男性をわざわざ連想させるところは、批判の対象になっても仕方がないだろうとは思った
November 11, 2025 at 8:18 AM
おれはせっかく赤ワイン飲むならタンニン効いていたり渋いのが飲みたいけど妻はフルーティなのが好きで、逆に妻が好きな発泡ワインはおれはウームなので、コクのある泡なしシャルドネがちょうどいい妥協点になっている感じです。
November 11, 2025 at 7:53 AM
相模大野の酒屋で白の辛口発泡ワインとライトな赤ワインを購入して家で晩酌。
しかし鼻づまりを起こして赤ワインの香りはあんまり感じられないし、強炭酸な発泡もウームという感じ。あと妻が寝た隙にワイン飲み尽くし系男子になっちゃったし、2本も買っても良いことないというか、決め打ちでいいの1本買うのがいいなと思った(足りない分は箱で常備しているカルロ・ロッシで補充だ)。

というわけで日曜の夜は町田のカルディでエスパナチュレ・シャルドネ・オーガニック(白)を購入。夫婦の間ではリーズナブルなワインの中ではいまのところ一番美味しいとされています。
www.kaldi.co.jp/ec/pro/disp/...
【お酒】エスパナチュレ シャルドネ オーガニック(白) 750ml - カルディコーヒーファーム オンラインストア
フレッシュ感のある酸味とまろやかな果実味心地よい、やや辛口の白ワインです。
www.kaldi.co.jp
November 11, 2025 at 7:49 AM
デカルトとショーペンハウアー、あんな思想してるくせに犬を溺愛していたというのは意外ですね。
November 3, 2025 at 9:07 AM
「ショーペンハウアーのプードル」や「カントの象」など、その哲学者のイメージと合わないエピソードはやっぱり印象的。
一方、「デリダの猫」や「レヴィナスの犬」などは有名な議論だけあってしっかり考えさせられる内容です。

「アウグスティヌスの孔雀」や「ヒルデガルトの鯨」など、昔の人らしい頓珍漢な動物論もコラムとして読む分には面白みがあります。

あと面白かったのは「パスカルのコナダニ」、「ルソーのオランウータン」、「エラスムスのスカラベ」、「キルケゴールの二枚貝」、「ハイデガーの蜜蜂」。

デカルトとモンテーニュ、そしてユクスキュルの環世界論は各コラムを通じてよく登場してきて、さすがの存在感でした。
November 3, 2025 at 9:07 AM
ただまあ、訳者あとがきでも開設されているような自由主義・民主主義(そして個人主義や人権)を支持する立場からの批判的な解説、という「筋」は、さすがに見ることはできました。

ハーバーマスによるシュミット批判が紹介されているくだりも、なんとか理解できることがでたような(そうでもないような…)。残念ながら英語圏ではシュミットの入門書はほとんど出ていないようなので、まあそのうち中公新書の方の入門書を読むことにいたします。
November 3, 2025 at 8:52 AM