#朝菊
やらなくもない。Ωなんて誰も欲しがらないからな。しょうがなくな。」と考えに至り、彼を採用する為に人事部に掛け合ったり色々画策し、菊さんは晴れて採用となった。
本当は菊さんにアプローチしたいけど、新入社員の彼と跡取りの自分ではそれ程接点はない。どうやって近づこうか、いや俺はΩ相手に一体何をと1人で一進一退状態のアーサーさん。そんな素直じゃない彼と鋼メンタル菊さんがどうやって接点を持つのか考えたい。

#朝菊
必死にその場を離れた。その時初めて精通してしまい、か弱いはずのΩのフェロモンにあっさり屈してしまった自分の身体が許せず、泣きながら処理した。その時から何となくΩを嫌厭するようになる。女遊びをする時も、Ωは自然に避けるようになった。
そんなアーサーさんだったけど、面接で会った運命のつがいのことがずっと忘れられなくなる。軟弱で理性のないΩにまた屈するのか俺、いやつがいだぞ？本能的に求めるのは当然だろ、と２つの感情が鬩ぎ合った結果、「そういえばあの時、俺の運命のつがい(暫定)は発情してたのに咄嗟に薬飲んで対処してたな、Ωでもあんな理性的なのもいるのか、おもしれー奴。あんな奴ならうちで雇って

#朝菊
豪遊し放題。顔も良いから遊ぶ女が尽きることもない。自由奔放に過ごしてきたけど、漸く落ち着いてきて今まで散々好き勝手やってたしそろそろ家に貢献するか、と面倒ながらも一族が経営する会社に入る。将来会社を継ぐ者として社長の父の下経験を積んでいた。カークランド一族はα家系で、余所からΩの嫁を貰って優秀なαの跡取りを輩出してきた。しかしα至上主義なので、カークランド一族に嫁入りしてきたΩの肩身は狭い。アーサーの母もΩだったけど、心労が祟って早逝した。そんな母を見ていたから、Ωはか弱く庇護すべきものだと幼いながら思った。10代の頃、初めてΩの発情期を目の当たりにしフェロモンに充てられそうになり、

#朝菊
態度の裏に息子を心配し息子の行く末を憂いた父の深い愛情が見え隠れしていた為、反抗せず素直に父の言う事を受け入れていた。第一志望だった会社に採用が決まった時、菊は真っ先に尊敬している父に報告した。「Ωのお前があっさり雇ってもらえるとは。だが大変なのはここからだ。お前が思う程社会は甘くない。男のΩなんぞすぐ淘汰される。浮かれてる暇はないぞ。」といつも通りの罵倒という名の叱咤激励をされる。それを聞いた菊は、気を引き締め就職に望むことができた。
一方、アーサーさん。一族が代々経営している会社の社長息子として生まれる。生まれた時から金持ちでαで人生勝ち組。金は使っても使っても尽きることがないから

#朝菊
もできたのに、男でΩなんて誰が望むというのか。父は男のΩを一番下に見ていた。それから父は息子の菊に厳しく接した。お前はΩの男だ、誰もが厄介者としてお前を見てくる、誰もお前を娶らない、婿にもしない、せめて自分1人で生きていく術を身に付けろ、理性のないΩは発情期は誰彼構わず誘惑するのだから自分の身は自分で守れ、男の癖に軟弱だ、鍛えろ、そんな立ち振る舞いで社会に出られるわけないだろう、男のΩの時点でお前のスタートラインは他と違う、他より何倍も努力してやっと普通の人と並べる、と散々こき下ろした挙句、剣道、柔道、空手を無理矢理やらせ心身共に強くなった菊。
父は厳しく差別的だったけど、そんな父の

#朝菊
から埋めて味方を作っていく強かな菊さん。人は好きだけど自分は目標達成に忙しいので他人を構ってる暇はない、とも思っているから不当な扱いされても全然めげない。仕事も早くて的確だから、徐々に周りに受け入れられる。
菊さんのメンタルは、父親に鍛えられた。菊さんは老舗の店を持つ裕福な家に生まれた。父はαでΩに対して嫌悪感は抱いてはいないものの、少し差別的で古い考えを持っていた。Ωは軟弱で他人の庇護下でしか生活できない、とか繁殖能力が高く理性がない、とか。妻もΩだけど、内心庇護しなくてはと下に見ている。だから切望していた息子がΩだと知った時は物凄く落胆した。せめて女であれば、婿を取って店を継ぐこと

#朝菊
ちょっと落ち込むけど、仕方ない、次！と切り替える。バース性の申告は強制ではないけど、Ωだと知られたら就職は難しい。だから多くのΩはバース性を隠して生活している。だけど今回の面接でバレてしまった以上この会社から採用される見込みはないと思った。ここの会社理念が自分のやりたい事に一番近く第一候補だったので惜しかったけど仕方ないと思った矢先、採用通知が届く。信じられないけど嬉しくて、選んでもらったからには全力でそれに応えなくては、と強く決意。就職して最初の頃は会社内にΩってことが既に知れ渡っていて差別されるけど、持ち前の愛想の良さと鋼メンタルで乗り越える。嫌がらせされても真っ向から対抗せず外堀